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作成年月日:2014年5月9日

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海外情報−中国4月分

作成者:中国 上海 佐藤 忠幸

年功序列型賃金では優秀な者から嫌がられる

人事コンサルタント会社のA社に呼ばれ、Y社長およびT副社長と面談した。大手日系企業B社の人事賃金制度の改定につき、協力要請と相談を受けたのである。B社は、親会社人事部の意向で職階別賃金となっており、運用は簡単だが事実上年功序列型賃金である。創業をして既に10年を超えており、そろそろ大胆な改革が必要だが親会社人事部は労働争議を怖がっている様子で改革には消極的である。

日本的な年功序列型賃金制度では優秀な者から嫌がられる

日系企業の多くは、会社創設時は人事・賃金制度を作らず、俗人的(年齢、性別、学歴、勤続、出身など)年功序列型賃金でスタートしている。

まだ小人数だから制度導入は早いと言っている内に5年、10年経ってしまい、数百人となってしまっている。

会社として、そう云う方針を取っていないのにも関らず、知らない間に俗人的年功序列型賃金制度が定着してしまっている。その方が中国人でも人事担当者にとっては楽であり、各部門の管理者も楽である。そして長く勤めることが美徳であり、高い地位と処遇を得られる制度となってしまっている。

逆に考えると、例え優秀な者であっても年齢・勤続・学歴などが他に優れていなければ賃金は上がらないということになる。若い優秀な中国人にはこれは耐えられないことであり、それが分った途端にジョブホッピングされてしまう。

このような会社の永年勤続者は、会社創設時に共に苦労した者か、何処にも移れなかった事情のある者、または何処も採用してくれない能無しである。会社創設時に「共に」苦労したといえども、経営者が変わっていれば「共に」は無くなり、辞められているだろう。 そうなると、残っているのは・・・・・・、怖いことである。

 

人事・賃金制度は、職務給制度か職能給制度

対策として導入する中国の人事・賃金制度の主流は、職務給か職能給制度である。

職務給制度は仕事別賃金とも云われ、仕事の難易度と到達度により評価し賃金を決めようというもので欧米方式とも云われており、中国人を評価しその額を決めるのには、最も合う制度だと思われるが運用が難しい。専門のコンサルタント会社に委託すれば設計してもらえるが、職務分析と評価は自分ですべきである。

これまで委託したらものすごい金額となり、超大手企業でしかできない。しかも、毎年新たな仕事が増えており、これの運用ができなければ崩壊するのが難点である。

職能給制度は、主に仕事の遂行能力を評価する制度で日本はこれが主体。職務給とちがって、仕事別に細かく決めることはせず、「こういう仕事ができる能力を持つこと」と概略を決め、最終的には同クラス者との相対比較で決めてしまう制度。運用は比較的容易であり、日本人管理者・経営者も比較的馴染みやすい制度である。それでありながら年功序列型よりは、一歩、能力主義に向かった制度である。

いずれにしても、俗人的な要素(年齢、性別、学歴、勤続、出身など)を排除することが成否を決めている。 どちらの制度を取るかは会社の実力で決めればよい。どんなに素晴らしい制度でも、それを正しく運用できなければ意味がないし、長続きしない。

 

会社より人材育成が大事?

赴任任期が欧米系企業に比べて短いのは、派遣する側すなわち親会社の人事政策であり、子会社の都合では無く親会社の論理で決まっている。

日系企業の親会社からの派遣方法は全て、原職復帰が約束された「出向」である。出向期間は親会社および被出向者の都合(人事管理上の)を考えて決まる。

欧米系企業のそれの多くは、籍を移動してしまう「転籍」である。帰任の保証はないが、現地法人が成功すれば莫大なボーナスが出る。また、原職復帰の約束が無い代わりに、能力を見込まれれば親会社や関連会社の各事業所からの勧誘は凄まじいものがある。

現地法人にとってどちらが良いかは明白であろう。

 

会社利益よりも部門利益優先

中国人幹部は、何故、制度改定をしないのか?

理由は簡単である。 社員の既得権を尊重する・・・自分の既得権がもっと大事

楽な道を選ぶ・・・何故自分がやる必要があるか 労働争議が怖い

管理者の私が判断すべきことでは無い・・・ここは日本が経営している会社だよ

結局、中国人幹部は経営判断はせず、日本人経営者にそれを求めるというよりも任せているのである。

では、日本人経営者は?

彼らの赴任任期の大部分が3年である。

自分の任期中に、彼ら中国人幹部の不人気なことはしたくない、または気が付かないままに任期を迎えてしまうのである。

たまに問題に気がつき改定しようとしても、それができる中国人幹部はいない。外部委託しようにも親会社はそれを許さず、本社の人事担当者を派遣して改定をさせている会社が多い。しかし、親会社人事担当者が中国でまともな制度を作れる訳がなく、中途半端な改定でお茶を濁しているのが実態である。

理由は?

前記中国人幹部と同じであり、加えて彼らは中国と中国人を理解していないからである。

日系企業の人事・賃金制度は古いままが多く、不人気な企業が多い。

これは、反日運動や労働争議に口実を与えることになり、困ったことである。

 

以 上