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作成年月日:2014年4月5日

海外情報プラス

海外情報−中国3月分

作成者:中国 上海 佐藤 忠幸

中国人から尊敬されない出向者

日本の多くの会社は3月が年度末。ちなみに中国にある企業は会計年度が一律に1月〜12月である。事業年度は変えてもよいことになっているが大部分の会社は会計年度に合わせている。しかし、日本の親会社の年度に合わせて、3月末で帰任される出向者が多数おられる。

私にもその挨拶メールが6通、そして退職の挨拶を5通いただいた。 任期を全うした、あるいは無事定年まで勤め上げたというのであれば「おめでとう」だが、そういう方ばかりでは無いようだ。

不本意な帰任

先月にも報告したように、日系企業への出向者は、赴任初年度は親会社向けの仕事が多く、中国や中国人に慣れるまでには至らない。仕事の上でも、日本時代よりも遙かに広い範囲の高度な責任を負わされている。それらに慣れて本来の実力を発揮するのには普通は3年、早くても2年は必要だ。したがって、成果が出るのはその後。

しかし、一般の出向赴任者の任期は2〜3年、総経理でも3年〜5年が多い。これでは成果が出る前の帰任であるから帰任者から考えると、達成感を感じない極めて不本意な、ストレスの残る帰任となる。

 

浦島太郎にさせたくない?

これは、昔の長期雇用を前提とした労務管理の名残といってよいだろう。3年以上現職から離れていると浦島太郎になってしまい、原職復帰が難しくなることを恐れた親会社の親切心あるいは配慮である。しかし、多くの出向者から言えば逆である。

中国赴任に慣れるために必死だった(ここまでに大きなストレスを抱える)のに慣れたら帰国とは、とますます大きなストレスを抱える。

そして帰国したら原職復帰で元の軽いポスト。子会社とはいえ、経営者から管理者へ、あるいは高級管理者から監督者へと軽い職位となる。この落差がまた大きなストレスを生んでいる。浦島太郎にさせないようにという親心が逆効果となっている者も多いのである。

残念なことだが、上海帰りの者に「うつ」患者が多く、自殺者が多いのもうなずける。

 

会社より人材育成が大事?

赴任任期が欧米系企業に比べて短いのは、派遣する側すなわち親会社の人事政策であり、子会社の都合では無く親会社の論理で決まっている。

日系企業の親会社からの派遣方法は全て、原職復帰が約束された「出向」である。出向期間は親会社および被出向者の都合(人事管理上の)を考えて決まる。

欧米系企業のそれの多くは、籍を移動してしまう「転籍」である。帰任の保証はないが、現地法人が成功すれば莫大なボーナスが出る。また、原職復帰の約束が無い代わりに、能力を見込まれれば親会社や関連会社の各事業所からの勧誘は凄まじいものがある。

現地法人にとってどちらが良いかは明白であろう。

 

中国人から尊敬されない出向者

中国に子会社を作り、親会社から人を派遣することが決まった場合、どのような基準で選択し出向させるのだろうか。

@ 親会社各部門の不要あるいは逸れ者の中から、選択して派遣。

A 赴任してくれる者の中から、選択して派遣。

B 社員教育の一環としての人事ローテーションで、2年以内の短期赴任命令。

C 子会社の必要職務にとって最適な者を、若手管理監督者の中から選択し赴任命令。

D 子会社の必要職務にとって最適な者を、役員を含めて選択し赴任命令。

かつては、多くの日系企業は@かAの基準で出向派遣者が決まっていた。それだけ中国を見下し、中国現地法人の位置づけが低かったのである。

最近増えてきたのが、BでありそしてCである。すなわち教育のために派遣することが多いのである。それであるならば、赴任期間が短くなるのは自然である。また、何れも親会社の人事管理・人材育成の都合で決まったことであり、派遣された子会社にとっては偉い迷惑なことであり、出向者が中国人社員に尊敬されるはずがない。

さらにBCの出向者の特徴は、比較的優秀な人材ではあるが親会社ばかりに顔が向いており、やはり中国人からは面従腹背の関係であり、現地法人が成長しないのは当然。

早く、Dの基準で最適任者へ、赴任命令を出していただけるように中国子会社の地位を上げていただきたいものである。 それが子会社の発展成長そして日中友好にも繋がることだろう。

 

以 上