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中国

作成年月日:2014年3月6日

海外情報プラス

海外情報−中国2月分

作成者:中国 上海 佐藤 忠幸

日本人赴任者のメンタルヘルス

上海在住の日本人は10万人を超え、一都市の在留邦人では世界一である。そのせいか、ある県の精神科医院の統計では患者の大半が“ウツ”であり、その内の半数近くが上海赴任者あるいは帰任者である。 何故、上海経験者にそれほど患者が多いのだろうか、対策と共に考える。

近いが異国

上海は、隣国中国を代表する大都市であり、日本からたった3時間のお隣りである。生活する上では日本に比べて、食事も住居も気候も大差なく、生活に慣れ易い都市である。しかし、実際に生活をするとなるとやはり異国である。日本とは異なる言語や文化の中での生活や仕事は容易なことではない。反日感情は地方都市に比べれば悪くはないが、予断は許されず、ストレスは大きい。

日本親会社の問題

 中国が異国であるという以上に問題なのは、親会社、すなわち本社の姿勢である。中国子会社は重要だと言いながら、先進他国に比べると地位が低い。このため、本社経営者が経営者として赴任する企業は少ない。管理者が経営者として、監督者が管理者として、何れも二階級特進制度を利用して赴任している。赴任のために教育訓練をしてからなら未だしも、それなくして未経験の地で、新しい企業組織で、高い役職が勤まるはずがない。これだけでも大きなストレスを抱えている。  親会社にとって、中国子会社の成否は極めて重要な存在となっている。したがって、各役員の関心は大きい。人事・財務・営業・生産管理・技術・製造・品質管理・・・・・、全ての部門で関心を持ち、つい質問や意見・注文を現地法人社長に出してしまう。特にこれらの部門長は部長であり役員が多く、現地法人社長よりも上位職位者が大部分であり、現法社長としてもこれに応えない訳にはいかないが、それらに全て応えていたら、現地の業務がこなせず悩みとなっている。日系企業の赴任者、特に現法社長にストレスが大きいのは当然である。

個人的な資質の問題

親会社との板ばさみや仕事の幅と責任が急に高まったことなどの他に、赴任者の資質や生活姿勢・勤務姿勢による問題も数多くある。

仕事や生活の場で、「日本語で話せない!通用しない」ということが最大のストレスである。

その上、コミュニケーション能力が低いという日本人の特色がある。結果は何でも自分でやろうとしてしまう。しかし、それは全ての場面では出来ず、ますますストレスが溜まる。

しかし、社外を含めて交流の幅が狭く、毎日決まった通勤路であり、飲食店も行きつけの店が少なく、ストレス発散には不適な生活をしている。

事例 なんでも自分でやる現法社長

? 上海へ社長(総経理)として3年前に赴任したG氏は、几帳面であり何でもキチンとやらなければ気がすまない。

? 書類をホッチキクスで綴じるのは、いつの間にかG氏自身でするようになった。

? 事務員はあきれて見ているだけ。

? G氏が自分でやる理由は、「横書き書類を綴じるのは左斜め上を一箇所綴じる。これを教えたら直ぐに覚えたが、綴じ方がいつも、紙に平行に綴じるのが気に入らない。45度で綴じろと何回言ってもできないので自分でやっている」

? G氏は相談相手もなく、ストレス発散は、いつも同じ居酒屋で呑むだけ。

ウツの防止対策

赴任者の“ウツ”を防止するための特効薬はない。次のことを小まめに行うだけである。

そして、これは現地法人社長および親会社がしっかり観察し指導すべき事項である。

仕事への干渉よりも遙かに重要事項である。赴任者の心身の健康が、現地法人成功のカギを握っていることを認識していただきたい。

? 親会社は、現地法人の自治権を極力認める。

? 赴任者は、本社であっても、言うべき事は、はっきり言う。

? 日本語でよいから、命令の仕方、指導の仕方の勉強をする。

? 中国と中国人(できれば中国語も)を勉強する。

? 通訳を根気よく育てる・・・初めからできる通訳はいない。

? 中国人幹部を育て、腹心と後継者を作る。

? 社外での交流の幅を広げる。

? 中国人の友人を作る。

? メンタルヘルスの定期健診を受ける。

日系進出企業支援公開講座の紹介

 日本人の、心身の健康についての認識を高めるべきと、お二人の講師のご協力を得て、上海で公開講座を開催します。(開催日:2014年3月26日)

〜現地法人の成功は駐在員の健康管理から〜

@ 駐在員のメンタルヘルス

A 異文化適応曲線

B 駐在員の健康管理

C 生活習慣の改善

D 中国現地法人必須事項 等

講師  杉谷麻里 上海デルタ西クリニック 上海在住、唯一の臨床心理士

葉 紅 上海春澤中医クリニック 院長

詳しくは、http://www.sh-hra.cn/seminar/20140326.html をどうぞ。

 

以 上