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作成年月日:2014年2月7日

海外情報プラス

海外情報−中国1月分

作成者:中国 上海 佐藤 忠幸

“ホウ・レン・ソウ”は教育でよくなるか

G社は上海に設立された日系金融コンサルタント会社である。先日、G社の日本人総経理が相談に来られた。内容は、「我社の中国人社員は“ホウ・レン・ソウ”が出来ないので1日か2日教育して欲しい」とのこと。 事情を伺って、中国人向け“ホウ・レン・ソウ”の技術教育はお断りした。

“ホウ・レン・ソウ”技術教育は無意味

“ホウ・レン・ソウ”とは、「報告・連絡・相談」を略した言葉であり、社会人として当然なすべき基本行動である。 基本行動のテクニックを教えて意味があるのだろうか? 報告の仕方、連絡の仕方、相談の仕方の技術的な問題とすれば、タイミング、方式、まとめ方などである。これらを教えたら“ホウ・レン・ソウ”がよくなるのだろうか? 逆に幹部諸君は、報告の受け方、連絡の受け方、相談の受け方、に問題はないのだろうか?幹部にこれを教えたら会社全体の“ホウ・レン・ソウ”がよくなるのであろうか? いずれもNO!テクニック以前の社員の姿勢や意識が問題である。社員(社会人)としてなすべき事項を心から理解してもらう必要がある。コミュニケーションが出来ないということは社会人として失格だということは皆さん分かっている。“ホウ・レン・ソウ”が出来ないということはコミュニケーションが出来ないことと同じである。というよりも、コミュニケーションを取ろうとしないことと同じであり、社会人としての責任放棄である。職務の責任を理解し、“ホウ・レン・ソウ”およびコミュニケーションの必要性を理解すれば、必ず上手にできるようになる。

“ホウ・レン・ソウ”が出来ていないのは日本人

G社の社員構成は、日本人幹部が9人(総経理を含む)、監督者以下の中国人社員が43人である。会社が設立間もないため親会社各営業所からの応援を含めて頭でっかちとなっている。 したがって、総経理に次を伺った。 「日本人幹部の9人の間の“ホウ・レン・ソウ”はしっかりされているのですか?」 「日本人幹部8人と中国人部下との“ホウ・レン・ソウ”は問題ありませんか?」 総経理いわく、「そう言えば、よくないかもしれないなー」 日本人幹部は、G社立ち上げのための寄集め部隊であり、コミュニケーションの良いはずが無い。したがって、通常は顧問団として組織には入れないが、G社は全てを幹部にしてラインの長としてしまったことが失敗である。

最も“ホウ・レン・ソウ”が出来ないのは総経理

さらに次の質問、「あなた(総経理)は(少なくとも幹部や監督者への)“ホウ・レン・ソウ”が出来ているのですか?」答えは無かった。この総経理は正直であるので答えられない、多くの日本人総経理は自分だけはしっかりとやっていると思っている。 しかし、実態は日本の親会社向けの“ホウ・レン・ソウ”はある程度出来ているものの、中国現地法人内の“ホウ・レン・ソウ”は殆んど出来てなく、幹部任せの方が多いようである。

“ホウ・レン・ソウ”は技術よりも必要性の認識

「報告・連絡・相談」は、技術的には簡単に教えることができる。冒頭の依頼事のように2日もあれば充分である。しかし、問題はその必要性の認識である。

社会人として、

プロ(職業人)として、

組織人として、

部下を使う立場の者の責任として、

組織や会社を牽引する立場の者の責務として、

如何に認識し、それを実行するかどうかである。

必要性が分かれば自ずと行動面に現れる。大多数の者にその自覚が出来れば、「報告・連絡・相談」の良し悪しを人事評価項目にも加えてもよいだろう。

G社の対策

@社員教育で意識改革

G社は「報告・連絡・相談」の技術教育の前に、各種の必須実務を教えながら必要な意識と職責を身心に教え込むことを開始した。

社会人として、

プロ(職業人)として、

組織人として、

部下を使う者として、

組織や会社の牽引者として

これだけは、演習を中心とした集団教育でなければ出来ないため、半年かけて監督者以上の社員教育をすることとした。

A社員教育には総経理を含む日本人も参加

中国人の社員や監督者の“ホウ・レン・ソウ”の良し悪しよりも、総経理を含む日本人幹部の“ホウ・レン・ソウ”が悪いことを知った総経理は、自分を含めて幹部としての知識も自覚も出来ていなかったことを反省した。 上記の社員教育には、総経理を含む日本人幹部の全員が参加することも決った。

 

以 上