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作成年月日:2013年9月8日

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海外情報−中国8月分

作成日:2013年9月8日
作成者:中国 上海 佐藤 忠幸

中国子会社の独立行動を許せ

中国にある日系企業の評判は残念ながら下がる一方。だから学生の就職志望先ランクも落ちる一方である。理由は日中関係の問題もあるが、一方でメイドインジャパンの人気は回復しつつあるのだからそれとの関係ばかりではない。日本の親会社の中国子会社に対する姿勢がそうさせているのである。

先日、日本へ帰国したおりにO社のY課長と面談した。中国子会社へ赴任していた時は社長として行ったが、帰任したら元の課長。「仕事の範囲が一挙に狭くなりやる気を出すことが困難」という赴任者共通の悩みを伺った。

中国の子会社には独立行動を許さない

ここ数年は、現地化を進め中国子会社の独立行動を許すどころか助長させる動きを見せる会社も出てきたが、大部分の企業は子会社の独立行動を許していない。

日本にある子会社は、親会社が開発した商品を、親会社が作った製造方式で生産し、親会社が作った管理方式で管理し、親会社が指示した顧客へ販売させる。その人事考課も決算も親会社が行う。すなわち経営は親任せでも親会社同様に儲かった。故に独立行動を許してもらえなくても問題はなかったのである。昔はこの方式が中国子会社でもまかり通った。

今ではそれが出来るのは日本の子会社だけであろう(日本でもそれでは経営不可になりつつあるが)。だから日本の子会社社長は親会社の管理職でも務まった。

中国ではそうはいかなくなってきたのは明白だが、日本からしか中国を見ていない方にはそれが理解出来ないらしい。中国という分り難い国で独立行動を許せば何が起こるか分からない、心配だから何もさせない。・・・・だったら、最初から進出すべきではなかった。

中国子会社の社長には権限を与えない

中国日系企業の社長が会社定款どおりの権限を持っていることは希である。中国会社法では社長(中国では総経理という)のことを次のように定めている。

「董事会(取締役会兼株主総会)にて決められた経営計画及び経営目標を達成するための執行責任者として、総経理一名を董事会にて任命する」

総経理とは会社を実際に経営する人、つまり日本でいうところの社長に間違いない。大部分の会社定款にも同様のことが定められており、そこで定められた社長の権限と責任は非常に大きい。現場では即断即決が必要であり、そのために多大な責任と権限が社長に集中しているわけであるが、社長業をする暇がない方が多い。

中国子会社の定款や企業理念では現地化を進めているが、現実の姿は日本側の役員連中の目が厳しく光っており、その命を受けた部課長たちが厳しく監視・管理しているのである。月次決算は勿論、どこへ売った、何を買った、誰を採用する、全てに報告どころか承認を求めてくる。結果は現地法人の社長は少なくとも初年度はそのお相手をするだけで精一杯であり、経営どころではない。実は親会社の上層部の思うところは次である。

中国子会社社長は経営しなくてもよい、管理だけすればよい。

中国子会社の社長任命は日本の人事ローテーションの一環

日系企業の特徴として、株主よりも社員を大事する。そのため、中国に行きたくない、行けないという者は赴任対象者から外し、必ず期限付き原職復帰条件付き出向を命ずる。そして、出世のための人事ローテーションの一環でもあり、教育のための派遣ですらある。したがって出向条件は、日本の子会社向けと同じく二階級特進。日本の部課長が社長として赴任である。しかも浦島太郎にならないようにと、社長であっても数年間という期限付き出向という腰掛仕事。

観察眼の鋭い中国人はそれを見抜いて、腰掛社長の言うことには面従腹背ですし、優秀な者は入っても直ぐに辞める。冒頭の日系企業の不人気原因の一つがこれである。

そして、最も可哀想なのはそのような赴任命令を出された方である。

冒頭のY課長は中国子会社へ派遣される前は課長であった。それが社長として赴任し、最初の1年は、社長らしきことは何もできず、2年目で社長業とは何か、また中国とは、中国人とは何かなどが掴めてきた。3年居て、ある程度理解しやる気も出てきて、これからが本業かと思ったら任期となってしまった。

帰任したら部下数人のこじんまりした部門の課長。それはよいとして、同僚課長の話にはついて行けない。浦島太郎となってしまって本社のことが分からないからというのではない。彼らの話が余りにも狭い範囲の話題ばかりだからである。会社のあるべき姿や経営方針も論じたいが到底相手にならない。例え短期間でも本格社長業をしてきた者にとって課長業は厳しいことであろう。

ニューヨーク支店長が帰任すると社長か副社長、上海支店長が帰任したら定年退職か子会社役員

昔の商社や銀行ではその様に言われていた。それだけ中国は下に見られていたのである。現在では大手ほど中国の位置づけが高まり、中には逆転している会社すらある。

しかし、製造業の中堅や中小は相変わらず、中国を下に見ている。中には日本での稼ぎよりも中国での稼ぎの方が大きくなっていても、である。中国や、中国子会社をいつまでも舐めていると親もダメになることがご理解されていないようである。

日本のいうとおりに作って全量を日本へ輸出して儲かった時代と違って、大きいとは言え、競争の激しい中国市場を相手に儲けるには、そういう姿勢で経営をしていたのでは、親子共々将来が行き詰まることは明白である。

  以上