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作成年月日:2013年7月7日

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海外情報−中国6月分

作成者:中国 上海 佐藤 忠幸

原価数字を隠すな

上海郊外のT社は、改善活動を本社に見習って2012年当初より開始したが、職場に根を下ろした活動が定着せず、その場の思い付きによる簡単な改善に終始していた。Y社長の求めにより訪問し、改善小集団の改善テーマ選択方法を観察したところ、彼ら自身、数字的な現状を知らされておらず、当然、数字的な目標も立てられない。

自分たちの原価も知らずして、中長期の改善目標やテーマが選べる訳がない。

改善は効果の大きいものから

改善活動開始直後は、足慣らしとして簡単で皆が興味をそそりそうな身近なテーマを選ぶが、ある程度慣れたらマンネリ化する前に、中長期(改善に数ヶ月要す)の課題に取組ませるべきである。その場で改善案が出るような内容は、日常業務の中に組込むか改善提案制度の活用程度で済ませられる。

中長期での課題となれば、改善チーム全体にとって効果の大きいものから取組むべきである。改善効果が大きいとは次である。

1、改善チーム構成員の成長に役立つテーマ チームによる改善活動を通して、チームプレー、チームワークが成長され、かつ改善手法が学べるテーマ選択が望ましい。

2、改善チームの利益増大につながるテーマ

利益増大は、売上増大または原価低減の何れか、或いはその両方の活動によって図られる。その効果の大きいものから行う為には、決算数字や原価数字を知る必要がある。

 

改善テーマ選択は現状分析から

利益増大に効果の大きいものとは、何の売上がどう利益に影響するかという決算数字を、そして製品ごとの原価構成を知らなければ、何処にどうやって着目し着手すべきかアイデアが出ない。 更に、改善チームは、通常部や課ごとに作られるので、そこでの利益増大とは、部門別原価を知る必要がある。 現状を知って初めて現状分析ができ、改善テーマが生まれるのである。 改善活動が低調な会社の大部分が、原価資料を公開されていない。

 

原価資料は公開せよ

原価は企業秘密である。だから社員には知らせない?そのような会社は現代日本には殆ど無くなった。昔は、株主一族だけが知って利益を独占していたが、そんな会社は今では存続できない。 中国に進出し始めた数十年前は、同じ現象が起きていた。

すなわち出資者の日本親会社およびそこから派遣された一部の経営者だけが経営数字をつかみ、中国人社員には教えていなかった。したがってその数字をつくる財務・会計・原価計算部門などは単に計算部門としての役割しか果たしていない。社内で最も経営数字に強いはずの部門が計算マシンであるので、そこから改善や新施策への提言などはあろうはずは無い。

当然他部門の大多数の社員は、会社のことよりも、自分の直接的利益拡大、すなわち所得向上しか考えなくなり、会社に対する忠誠心はますますなくなり、日系企業の人気や地位は落ちる一方である。幹部社員も、会社のことよりも自部門、および自分の保身し考えなくなるのは当然である。「中国人は・・・・」と批判する前にそうさせたのは誰か、反省すべきである。

現実の在中国日系企業の多くがこれであり、赤字である。 T社のY社長も、これではいけないなとは感じていたが、原価数字の公開に踏み切れなかったのには二つの理由がある。

一つ目の理由は、親会社の理解を得られるか心配だった。(これは親会社の社長が二代目に交代した数年前から問題はなくなっていた)

二つ目の理由は、原価数字の正確性に疑問があるためである。しかし、これは公開しない理由にはならない。正確性を高めるためには、その数字の重要性と信頼性の向上を訴えて公開すべきである。それなくして数字の精度は上がらない。

なお、公開すると言っても、幹部から段階的に行うべきである。

 

原価計算は細部に拘らない

原価数字の正確性に疑問があり、数年前から会計監査はきちんとした会計事務所にお願いしていたが、その疑問には答えてもらっていない。一般的な会計事務所は、記帳が漏れなく正しい科目で行われているか、正しく計算され正しく納税されているかという監査しかできず、経営数字が正しいかどうかは確認しない(できない?)。

経営数字が正しいかどうかの判断は、社長が最もできるはずである。おかしいと気がつけば、数字をジーッと見つめれば、どこがおかしいか気がつくはずである。それでも分からなければ、その専門の経営コンサルタントに依頼すべきである。

社長はじめ経営者が数字を見るときには、大きな数字から見る習慣を付けよう。そのためには経営資料は全ての経営数字が、多くてもA4一枚に収まるように、大分類中分類した表で構成すべきである。小分類項目はその必要性があれば見える程度とすべきである。 毎月の推移表なら更に大雑把にし、大分類だけの表にすべきである。

細部に拘らず、大局から着手するには、大きな数字の大きな変化から見る習慣を付ける必要がある。

  
まず頭で計算してから数字を見る

中小企業の経営者は、「今月は幾ら売った、その為にどれだけ仕入れ、どれだけ作った、だからどれだけ在庫が残り、幾ら儲かったはずである」を、頭上で常に計算しているはずである。この基礎があれば、細部にこだわる必要はなく、自分の計算と財務部門から出た数字が一致しているかどうかの確認だけで良い。一致しない場合、どの項目が違ったのかが分かればその原因追求は簡単である。不正も見抜けるし不正も生まれない。

加えて、前月比や前年度比という過去の推移数字を客観的に眺めれば、間違いは確実に防ぐことができる。 何の前知識もなく、漠然と数字を眺めても、間違いも課題も浮かばないだろう。

 以 上