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作成年月日:2013年4月8日

海外情報プラス

海外情報−中国3月分

作成者:中国 上海 佐藤 忠幸

労務費の直間比率の改善

江蘇省のI社は、日系精密機器メーカーであり、創立は13年前の独資企業である。創立以来、派遣幹部は製造実務管理者であり人事労務に関しては中国人幹部に放任であった。

製品は極めて特殊性がある高付加価値なものである。このため、過去は大きな赤字も出さないが大きな黒字にもならないという典型的な日系企業である。社長(総経理)は2011年に親会社から派遣されたH氏である。

従業員は200名程度であるが、驚くことに間接部門が90名と45%も占めている。労務費比率で比較すれば、間接部門の労務費は全体の75%をも占めている。間接部門の方が高い賃金の者が多いからである。

製造部門の各種不満が高まってきた。そこで、H社長から人事制度・賃金制度を導入することにより現状を改善したいとのご相談があった。

製造部門の不満内容

会社は「我社はもの作りの会社だから製造部門が主役だ」といつも言いながら、うまい汁を吸うのは間接部門の人間だという不満が製造部門従業員に根強くある。その他の主な不満は次のようなものである。

・ 合理化・生産性向上は製造部門だけ残業も厳しく抑えられるなど、製造管理は厳しいが間接部門、特に事務部門の能率は極めて低い。そのくせ直ぐに資料を製造部門に押し付ける。

・ 事務間接部門は高学歴の者が多く、初任給そのものが高い。高学歴の必要性があるのか。

・ 事務間接部門は高給のため永年勤続者が多く、仕事はその経験に頼っており改善はしていない。

・ 全社的に賃金決定のルールが曖昧である。

・ 人事考課方法と基準が曖昧である。エコひいきがある。

・ 全て間接部門が有利に見える。不公平だ。

H社長の悩み

製造部門の不満はもっともなものであり、人事評価制度と賃金制度を確立したい、さらに目標管理制度を導入したい。

しかし、長い間の習慣を壊し、間接部門の縄張りを壊すのは容易でない。人事評価制度と賃金制度を確立し、目標管理制度を導入したら、かなり反発するだろう。間接簿門は縮小したいが今主力メンバーに辞められたら困るし、ストライキをされても困る。また、社内に各制度を設計できる者はいないので外部に委託するしかない。

従業員の反発を抑えながら中国でも実施可能な制度や仕組みを導入するにはどうしたらよいのか?

人事・賃金制度導入に関する提案

13年間放置してきた労務管理を変えるには、制度の改定からという順序では成功しない。過去の管理方法の何が悪かったのかを知らしめる必要がある。特に、事務間接部門は業績評価が難しいこともあり、目標管理制度の導入により、合理化を推進すべきである。

しかし、いきなり過去を否定されたのでは反発を招くだけである。 I社が今後さらに発展成長し、社員が豊かな生活をするためにどの方向にどうやって進みたいか、そうするためには何をすべきか、何を変えるべきかを議論し、少なくとも幹部との間で共有化することが先決である。

その議論を通じて幹部の意識が高まれば、人事制度・賃金制度・目標管理制度などの導入の必要性は自ずと理解される。 理解されたと判断したら、一挙に制度導入すべきである。反発や抵抗は一回だけに抑えるためには段階的に導入するのではなく、究極に近いもので過去のやり方と全く違うものを導入すべきである。当然、導入する制度は、公平・透明であることは絶対条件である。

I社の間接部門はひどいように思われるが、古くに進出した企業の実態はこれが多い。当時は安価で豊富な労働力を使うことにより、経営努力をしなくても利益が出たからである。現在は、特に事務間接部門の賃金は高く、効率無視の労務管理をしたら労務費の高騰だけでなく、製造部門との葛藤を招き内部崩壊すら起こす危険がある。

以 上