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作成年月日:2013年2月6日

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海外情報−中国1月分

作成者:中国 上海 佐藤 忠幸

日本で学んだ中国人の悩み

上海市大学機電学院の黄宗南教授は上海生まれの上海育ちである。しかし、20年ほど前に日本の国立大学を卒業し、博士号も同大学院で取得している。大学院を卒業後は日本の大手家電企業に勤務し研究室で活躍していた。

彼は帰国後、大学に勤め助教授から教授へと順調に出世し、日本を愛し、日本で学んだことを誇りに思っていた。しかし、この5年、それに迷いが出、悩んでいる。そんな彼の心情の変化を聞きながら日系企業の中国人労働者との付き合い方について意見を伺った。

日本車に乗れない哀しさ

黄教授は、2007年にマイカーを買った。しかし、日本車は買いたくても買えずヨーロッパ車を買った。2005年の反日騒動のあおりで、日本車で大学に通うと学生の反発を招くからである。今年は買い換えるつもりだが、やはり昨年の反日騒動で日本車は買えないだろうと諦めているが、内心歯がゆくもあり、寂しい気分である。学生に向かって「俺は日本で学んだ!今の俺も中国も日本のおかげだ!」と、堂々と言える関係に早く戻って欲しいと願っている。

日本人から学ぶことは限られてきた

この10年間で中国は急速に発展成長し、生産技術も管理技術も急速に進歩してきた。数年前の中国とは全く違うことを日本人の多くは理解していない。数年前までは、どんなレベルの人でも、日本人なら学ぶところが必ずあり歓迎されていた。しかし、現在は学ぶ範囲は限定されてきた。
指導者として赴任していただくにはそれなりの水準の人、或いは中国に不足している技術を持った人で無ければ、高給を払う価値がない。これが分からず、中国に行けば仕事があると思われて来てもらっては困る。

日本人は過去の栄光にすがり付いている

日本の電子業界は、かつては世界をリードしてきた。しかし、電子業界は様変わりしており、半導体とソフト、そしてパネルなどの基幹部品で主たる構造が出来上がっており、機構は簡単になり製品化はアッセンブル技術の世界となった。したがってアップル社の新製品もアメリカや日本では製品化せず、中国系や台湾系の中国メーカーに委託生産している。心臓部の半導体でさえも日本だけに頼る必要はなくなっている。もちろん、一部の基幹部品は相変わらず日本製に頼ってはいるが、それも範囲が限定されてきた。

したがって、日本企業の生き方は、全く変わらなければ生き残れないはずである。しかし、多くの日本人および日本企業は、過去の栄光にすがりつき絶対的な優位性を持っているはずだという姿勢を変えない。この保守的な姿勢が日本の家電業界の赤字体質を生んでいるのであろう。円高という外部要因もあるが、それが全てではない

日本製品は中国を勉強していない

中国でも、かつては、日本製品と言うだけで「高くても品質がよい」ということで売れていた。しかし、購買層は富裕層に限られており量的には限界があった。現在の購買層は中流階層にまで拡がっておりその規模は日本市場よりも大きくなっている。しかし、そこでは日本製品は期待どおりには売れていない。中流層の心を掴む製品がないからである。購買力はあっても購買意欲をかきたてる魅力ある製品が無いと言えるだろう。

かつては、圧倒的シェアを誇った、携帯電話はほぼゼロ、TVも完全に締め出された。理由は省略するが中国人と中国そして中国市場を勉強してこなかったツケであろう。

品質が高ければ売れるというのは昔の日本だけである。どうせ3年しか使わないのだから3年もてばよいという考えもある。使えればよい、という人に対する品質管理は自ずと変わる。また、使わない機能は不要である。

尊敬できる日本人が減ってきた

黄教授が最も残念がっているのは、尊敬できる日本人が極めて少なくなったことだと言う。どういう点で尊敬できないのか?

主体性が無い・・・親会社の言いなり

出稼ぎ根性・・・・・中国を利用するだけ

過去を語るだけ・・・これからどうすべきかの主張が無い

一流の人が来ていない・・・中国を下に見ている

日本式を押し付けるだけ・・・現実を無視している

日本式を押し付けるな!バランスを取れ

中国人の(日本式の)躾やマナーはゼロであることはご承知のとおりである。これは永い歴史から来ている中国人の特質でもある。だからといって、企業が厳しいルールを押し付けても経営は成功しない。しかも、中国では一般社員の多くが比較的教育レベルの低い地方出身者であり、その流動性が高く、ひどい会社では1年で全員入れ替わる。

そこに、いきなり厳しい日本式ルールを適用するには無理がある。一方、日本に住んでいる中国人は、(日本人から見れば不十分であろうが)驚く程、日本式躾やマナーを身につけようと努力している。そうしないと恥ずかしいからである。中国人の特質とそれとのバランスをとる必要があろう。すなわち、職場が「日本」となるような環境づくりをする努力をすべきである。

  以 上