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作成年月日:2013年1月17日

海外情報プラス

海外情報−中国12月分

作成者:中国 上海 佐藤 忠幸

企業管理は放任するな

山東省のB社は、日系食品加工業であり、創立は15年前である。創立以来、派遣幹部は製造実務管理者であり、企業管理は合弁相手の中国系企業に依存していきた。しかし合弁相手は大手企業であり実際は中国人幹部に放任であった。

このため、過去は大きな赤字も出さないが黒字にもならない。黒字だとしても派遣している日本人の給与負担すら出来ず、株式配当すら出来ていない。これでは、中国に進出した意味がないという日本の株主からの意見があり、再建すべく相談があった。

工場見学と、幹部社員面談から感じた現状の課題と、人事労務面からの対処案の概要を報告する。

一、課 題
【工場見学からの課題】

1、設備・建物が旧態通りで過去10数年の進歩が見られない・・・内容省略

2、5S水準が低い・・・5S運動そのものを誰も知らないし、教えてもいない。

@ 整理・・・使用可否不明、使途不明の設備がそのまま保管されている

A 整頓・・・動線のムダが多い。表示方法が悪く保管期間の判断困難。

B 清掃・・・ホコリが多いが発生源を断つ対策を考えてなく、清掃の習慣も無い。

C 清潔・・・制服の意味を理解してなく、制服着用の目的と実態が合わない。マスクの意味も逆(製品への衛生面よりも人体の保護のみ)。各種の行動規範が不明。

D しつけ・・・社員の労働意欲はあるように感じる。会社として行うべき事項を徹底して、教育すれば変わる。

3、製造管理・在庫管理方式が古い・・・内容省略

4、品質管理をしていない 顧客要求の記録のみ

@ 資料やデータは残しているが統計処理はしていなく、それの活用もしていない。

A 品質管理としてすべき事項(品質パトロール、品質改善活動、目で見る管理など)をしていない。

5、作業の多くは、永年勤続者の経験に頼っている

@ 作業者は永年勤続者が多いようであるが、それに頼りすぎ。

A 作業標準は形式のみでメンテナンスをしていない。

B 日々の改善活動をしていない。

【幹部社員面談結果および関係文書からの課題】

1、 名実ともに社長(総経理)不在の会社

@ 総経理は日本在住で現場を見ていない。

A 次任者である総経理助理が、実務上の最高責任者となっているが製造実務指導しかできず、間接部門や下からの意見は総経理に報告のみ。しかも、人事・財務などの専門外は中国人スタッフに放任。

B 企業経営の基本(タイムリーなトップダウンと下からの意見具申の融合)が見えない。また、経営者と管理者との議論・葛藤もなく惰性に流れている。

2、 中国人幹部に改善意欲および主体的行動意欲を感じない

@ 会社は創立時の姿から変わってなく、現状維持しかできない。

A その原因は、現状維持しかやらせてもらっていないとも言える。つまり、それが与えられた職務だという経営方針とも言える。

B 能動的に行動したい幹部は退職しているのであろう。

3、 管理者としての意識と知識不足 

@ 素直さとやる気は感じるが固定観念にとらわれすぎている。

A 幹部としての職責を知らず、各種管理手法、改善手法も知らない。

4、 人事・労務管理諸制度は無いと同じ

@ 各種の規定は作ってはいるが、大部分が現状の法律から外れている。また、賞罰に関する規定ばかりであり、親会社の経営方針を反映しているとは思われない。

A 折角作った規定は、職場に掲示してなく探さなければ見られない。これも法律違反であり無いと同じ。

B 肝心な就業規則は無く、これも法律違反。

C 労働者代表者組織がなく、労働者の生活や職場環境に強く影響する事項も協議・交渉して無いようであり、社員が規定に違反しても罰することはできない。

5、 合弁契約書・会社定款が実態に合致していない

 

二、改革のための提案

1、 新たな経営理念・経営方針の策定・・・内容省略

2、 組織命令系統の見直し

@ 社長(総経理)は、現地に置き、現地に権限を委譲し即断即決の体制を取るべき。

A 総経理と幹部は直結し、指示命令系統は単純にすべき。

3、 意識改革のための社員研修実施

@ 全社員を対象として、次のテーマで研修会を行う。

  職業人としての心構え、仕事の上手な進め方、職場のコミュニケーション基礎、改善の基礎

A 監督者以上を対象として次のテーマで研修会を行う。

  命令と報告の受け方と仕方、PDCAの回し方、職場のコミュニケーション応用、改善の進め方、職場運営の基礎、部下の扱い方、仕事の教え方

4、 意識高揚のための幹部研修実施

@ 4項の終了後、また組織が固まった時期に開催。

A 幹部としての強い意識付と高揚を図りながら、専門性の高い内容にて行い、強力なピラミッド組織を構築する。

5、 5S運動開始・・・内容省略

6、 制度・規定の制定

@ 日系企業はコンプライアンス重視とすべきであり、そのためには会社として具備すべき諸規則は全て作る。

A 就業規則は、経営理念を表したものであり、法規・法律遵守したものを作る。

B 関連諸規定も同様とし、会社としては必ず守り社員にも守らせるものを作る。

7、 賃金制度・評価制度の制定

@ 現状の賃金制度・評価制度の実情把握と分析をして、新会社として最適な制度を構築する。

A 年功・年齢・性別・学歴などの属人的要素は排除し、極力、能力・実績重視とする。

B 透明性・公平性を重視する。

C その他

8、 合弁契約書・会社定款の見直し・・・内容省略

9、 労使関係の構築

@ 2008年より、労働者の条件に関する事項は労働者代表者組織との協議が義務付けられているが、それへの対処を指導する。

A 基本は、労使対等・互恵平等・企業の発展成長により福利向上であることを理解させる。

B 社員が頼りにする労働者代表者組織を構築させ、外部訴訟や力任せの行為を防ぐ。

10、改善業務の指導

改善の停滞は、相対的に業界から遅れることとなり、会社の存続が無いことを理解させ改善の必要性と改善手法を指導する。

 

B社の現状は非常にひどいように思われるが、1990年代に進出した企業の実態はこれが多い。当時は安価で豊富な労働力を使うことにより、経営努力をしなくても利益が出たからである。現在は、日本並みの高度な経営管理をしなければ存続出来ないことを覚悟すべきである。

  以 上