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作成年月日:2012年12月10日

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海外情報−中国11月分

作成者:中国 上海 佐藤 忠幸

軽視するな!監督者教育

監督者(係長や主任、班長、組長など)は、一般社員と直接的に接している第一線の管理者である。しかし、社長から見れば、部課長を通して見る距離が遠い存在であり、中国ではその育成は部課長に任せているのが実情である。それが故の問題が多発しているのが中国にある日系企業の特徴でもある。

上海郊外の機械加工C社は操業開始して10年近く経っている。日本の親会社は有名な機械加工メーカーであり、顧客の大部分が親会社経由で納品する日本である。
C社も親会社に習い、品質改善に積極的に取り組み毎年年末に「QC大会」を開催しているほどである。しかし、QC大会で発表される内容が近年マンネリ化しており、それが製品品質改善に役立っていないことが分かり、そこから如何に脱皮するか相談があった。

形式的なQC大会

C社の品質は、親会社に比較して不良率が3倍以上と不安定なため、親会社は顧客に直接納品させず親会社で再検査してから納品をしており、その費用で中国生産したコストメリットは消えている。
実情を探ると、C社にはQCサークルなどの定常的な小集団活動はなく、年末近くに開催されるQC大会間際となって慌てて班ごとに、QC大会向けの改善報告資料を作っているのみであった。1月に行われる昇給の人事考課をめがけての形式的作業である。

多くの企業で見られる改善提案と同じである。改善提案も、制度を作って数年するとマンネリ化し年末近くに集中して出されるのは何処も同じである。

形式的な5S運動

C社は新人教育に熱心である。立派な研修室もあり、その壁には教育内容が貼られている。その中に5S運動に関する項目が多数あり、その中でも躾(しつけ)に関する事項が多数掲示してあった。しかし、社員の応対などから見えるのは日系企業らしかぬ「しつけ」ゼロの会社である。

品質管理課のT係長は、QC教育責任者である。

5S運動をやっているはずだが「しつけ」教育はどうなっているのかと聞くと、『6S運動はきちんとやっているが「しつけ」は中国では無理です』とのお答えである。「しつけ」なくして、5S運動は出来ないし、5S運動なくして品質管理も何もできないことはご承知のとおりである。C社は6S運動をしていると自称しているが、その実は何もしていないのである。6S運動とは5Sに何かのS(安全、単純、など)を加えているのだが、「しつけ」という土台が出来ていない上に何を積み重ねても成果は得られない。

手法よりも必要性の意識付けが先

C社は、QCサークル活動をしており、毎年その発表大会をしているが、大会での発表内容が近年マンネリ化しており、またそれが品質改善に役立っていないことは前記のとおりである。

監督者数人にQCサークルの年間活動内容を伺ったら「QCサークルはあるが、発表大会が12月ですから10月〜12月しか活動していません」とのお答え。発表の為の改善などは意味がないし改善に終わりは無いことは日本であれば常識である。一旦改善が終わったと言っても、それを評価し、反省し、更なる改善に挑戦する、すなわち「計画Plan、実行.Do確認Check.処置・対策Act」のPDCAサイクルを回すのである。 C社の監督者はPDCAサイクルもQC手法も知っているが、それの活用の必要性を認識してなく活用方法も知らない。

そもそも、改善は何のために、誰のために行うのか、その必要性の認識をさせることが先決である。大会で発表しなければならないから改善をして終わりでは、効果ある改善ができるわけが無いことを徹底的に教え込む必要がある。

監督者教育を管理者任せでは無理

日系企業の教育内容を見ると、多くが部課長教育に精力を注いでいるが、監督者研修ではテクニックを教えているだけで、監督者の意識付け教育は部課長に任せきりである。
監督者の多くは、監督者として採用したのではなく、作業者など一般スタッフから仕事がよく出来る者を抜擢しており、監督者として素質があるかどうかは疑問な者が多い。業務能力と監督能力は別物である。
  また、中国人部課長は管理者意識が相対的に低く、責任逃れの言い訳が多いことはご承知のとおりである。それらの部課長は監督者の能力不足を「うちの監督者は程度が低くて困るよ」と嘆くだけである。

しかし、実際には冒頭に書いたように監督者が直接抱える部下は部課長よりも多い。
部課長が監督者に意識付け教育をさせることは絶対に必要だが、監督者を教育出来る部課長になるには期間が必要であり、部課長に100%期待しては危険である。

故に、会社として監督者教育を並行して行う必要がある。なお、部課長教育をせず監督者教育のみをする会社もあるがこれも危険であり、教育効果は全く出ない。

 

 

監督者教育が熱心で、意識付けをしっかりとしている会社にはストライキも少ない。ストライキの(裏の)先導者の多くは監督者であることも認識すべきである。

  以 上