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作成年月日:2012年10月8日

海外情報プラス

海外情報−中国9月分

作成者:中国 上海 佐藤 忠幸

反日デモに遭わない企業経営

尖閣諸島の国有化発表に合わせて、中国全土にて反日デモや日本叩きがなされている。デモそのものは、中国政府が厳しく管理しており怖くは無い。しかし、日本人への個人的な嫌がらせや日本製品不買運動には困る。

もっと怖いのは反日運動に便乗した企業内のストライキなどの労働争議や破壊行為である。政治に関することは他に任せ、企業における便乗労働争議について分析する。

日系企業攻撃と労働争議には2種類ある

9月におきた日系企業への攻撃行動と労働争議には2種類ある。一つは当然反日行動である。その理由や指導者については、色々ありそうだがそれには触れない。

二つ目は、反日行動の名を借りた「不満のはけ口に利用」されたというものである。その不満は色々なものに対するものがあるが、企業に対する不満があることは確かである。

特に日系企業は、大金持ちの少数の日本人経営者が多数の中国人を抑圧している。また、大金持ちの親会社が搾取しているなどと誤解されて、不満を持ちやすい環境にあるから尚更である。

絶対に防ぎたいのは企業に対する不満

企業に対する不満を解消するために、反日行動の名を借りた争議をされることだけは絶対に避けなければならないし、企業努力で避けることもできる。

労働争議をされる企業の多くは、労働組合が無いか、労働組合があっても、外部から作れと言われてお義理に作っただけで労働組合として機能していない。 そのような企業の労働組合の責任者の多くは、会社幹部である。中には人事部長や財務部長、工場長などが就任している。

そのような企業の人事部長に「会社幹部が組合の委員長では、労使協議や団体交渉の時に、委員長は会社側、労働者側の席のどちらに座るの?」と聞くと「我社は、労使が円満ですので、協議や交渉という場面はありません」とのお答えが大部分である。すなわち、全く労使関係というものが分かっていない。

中国の法律で、賃金改定など労働条件の改定や就業規則の改定などは、全社員または労働組合に説明し理解を求めることが義務付けられている。「協議や交渉がない」という企業は文書のやり取りだけなのだろうか?

労働組合のもう一つの役割は、職場の不満や問題を吸収し会社との協議で解消することであるが、その役割も果たしていないのであろう。

労働組合がその機能を果さず、しかも組合幹部が会社幹部との兼任で職場に不満が生じた場合、社員はそれを何処にぶつけ、相談するのであろうか?外部機関に訴えるか、勝手にストライキやデモ行進などの労働争議に走るしか方法が無いだろう。

平時の労使関係の構築が重要

そうならないためには、労働組合あるいはその他社員代表者組織とのよい関係を、如何に維持向上を図るか、いわゆる労使関係に関心を持たなければならない。 特に、経営者はそれに関心を持たなければならない。 中国における労使関係の歴史は浅い。 中国は、元々労農国家であり労働者は保護すべき対象ではなかった。それを180度変えたのが2008年より施行された労働契約法である。したがって、労使関係を意識し、構築するにはその歴史を持っている日本人経営者が指導しなければならない。

幹部と企業理念・目標の共有化

「何のために会社を作り、どういう方向に向うのか」、「そのための手段は」、「そこに向う経営姿勢は」、などは固まっているだろうか?

固まっていなければ幹部と共に議論し固めて欲しい。固まっているのであればそれが経営者だけのものではなく、幹部社員と徹底的に議論し共有化して欲しい。

企業の方向や向い方などが、少なくとも幹部と一致していれば、そして幹部がその姿勢で一般社員と接していれば、企業が攻撃されることは無いだろう。

人間対人間の関係にする

「社員(部下)は人間である」とは、「社団法人 日本産業訓練協会(JITA)」がTWI(Training Within Industry=監督者訓練)で教える基本中の基本ある。

中国にある日系企業は、経営者の大半が日本人であり、労働者の大半が中国人である。労使の対立は、ともすれば日本人対中国人の対立に置き換えられやすい。

さらに、親会社の意向が強く働き主体性・独立性が見えない会社や経営者が数年で交代する腰掛け社長の会社は、労働者の経営者・企業不審が強まりやすい。該当する会社は充分気をつけられたい。

しかし、そうであっても、社員は人間である、さらに社員は仲間であるとして、日常的に接している企業には労働争議も企業攻撃も無いであろう。

 以 上