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中国

作成年月日:2012年6月4日

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作成者:中国 上海 佐藤 忠幸
タイトル:「中国だから」と諦めるな!企業改革

ひどい中国の運転マナー
 中国は相変わらず交通事故が多い。というよりも毎年増えており、ドライバー比で日本と比べれば10倍以上の死亡者である。交通ルールも規制の頻度も日本と同じであるが、何故これほど多いのか。自動車社会の未成熟ということもあるが、その原因の多くは、ドライバーのマナーの悪さである。

スピード違反、車間距離短、割込み運転、急ブレーキ、急転換、歩行者無視等々である。それらがいけないことは自動車教習所で学んでおり、それが違反であり危険だとは、誰も分かっている。
では、何故そういう行為をするのか。彼らにすれば理由はある。

 ・急いでいるから。
 ・ みんなやっているから。
 ・ 自分だけ守っても意味がない。
 ・ やらなければやられる。
 ・ ここは取り締まりをしていないから。
 ・ 罰せられないから。

数え上げればキリがないほどある。

ひどい運転マナーを持込まれたM社
 この姿を会社に持込まれたらどうなるであろうか?多くの日系企業は「これが中国だよ」と諦めてしまっている。結果はご想像のとおりである。

 江蘇省の金属加工M社は、まさに中国人社員のモラール、マナーの悪さ、そしてやる気のなさに困っている。結果は能率と品質低下を招き毎日残業が続いた。元々、典型的な3Kの仕事だということもあるが、残業時間の多さに嫌気がさして退職者が相次いだ。そのため、大量の新人募集をしても過去1年間に、3か月以上続いた新人は1人もいない。中国でも若者は長時間労働と3Kに耐えられないためである。
 これを改善すべくY総経理(社長)から相談があり、M社を視察した。
 視察すると、M社の中は、まさに中国の道路と同じである。
 ▲ 我々の姿を見ると、今まで明らかに遊んでいた者が慌てて仕事に戻る姿が見える。
 ▲ 床はゴミだらけだが、掃除をしようともしない。掃除道具も見える所に無い。
 ▲ 機械はほこりと錆だらけ。
 ▲ 作業標準は見ようともしないし、掲示もしていない職場すらある。
 ▲ 過去のデーターを見たくても掲示していないし、ファイルも探さなければ出てこない。
 ▲ 作業服は汚れ放題。
 ▲ 通路で出会っても挨拶もしない。
 ▲ 掲示板にある掲示物は古い期限切れのものもそのまま。
 ▲ 月間予定表に毎週火曜日の午後は、5S パトロールと書いてあるが忙しいとの理由でやっていない。
 中国人幹部に、それらを「何故しないの?何故改めないの?」と聞いたら「ここは中国。しかも田舎だから仕方ない」とのお答である。その幹部の姿勢を見ているY総経理は、「やはり、中国だから仕方ないのでしょうか?」と半分諦め顔で問いかけてきた。
 そこで、5月の半ばに、M社幹部とY総経理を連れて、バスで蘇州のK社に案内した。

躾(しつけ)のよい会社は成長する
 蘇州へバスを仕立てて行ったのは、「しつけ」がしっかり出来ているK社へM社幹部をご案内したのである。
 よい会社は朝から違う。
 ・ 制服では通わない。・・・ケジメを付ける。頭を切り替える。
 ・ 入門時には挨拶を交す。・・・気分がよくなる。そのため自転車の者は降りて、自動車の者は窓を開けてしっかりと挨拶をする。
 ・ ラジオ体操をしっかりする。・・・格好付けでするのではなく、身体を慣らしている。
 ・ 朝令をする。・・・きちんと整列し、課単位と組単位、それぞれ行い、スローガンも斉唱。
 ・ 掃除をし、始業点検をして仕事にかかる。・・・自分の職場は自分で守るという姿勢。掃除は普通の会社なら大掃除レベルを毎日やり、掃除夫に任せない。総経理でさえも便所掃除当番に組み込まれている。
 ・ 職場に我々が行っても、わき目もふらず仕事に集中している。・・・お客に安心感を。
 ・ 通路ですれ違えば、挨拶をして道を空けてくれる。・・・気持ちがよい。
 ・ 改善と5S運動活動内容は、随所に見える。・・・見える化。

 このような会社に発注したくなるのは、お客の立場になれば当然であろう、結果は毎年大増産で3年ごとに倍増産となり増築するほどである。
 よいのは「しつけ」だけではない。それを基に、品質向上、生産性向上など、日本の親会社以上にしっかりとやっている。
 理由をT総経理に伺うと「中国だからといって諦めたらダメでしょう。中国だからこそ、日本以上に真剣にしなければ直ぐにレベルが落ちてしまいます。また、我々が必死にやらなければ誰も付いてきてくれません」とのこと。

幹部研修と5S運動、そして人事・賃金制度の3点セットで改革
 T総経理に、しつけの素晴らしさの秘訣を伺うと、しつけは最初からよい訳ではなく、他社と同じであったが、次のことをしてから良くなり、今の姿が出来上がったとのことである。

 ・5S運動の展開・推進
 ・幹部研修による幹部の意識改革と意識結集
 ・しっかりと業務を行った者の期待に応えられる人事・賃金制度の導入
 上記3点のどれが欠けても今の姿はできなかったであろう。そして、経営者のゆるぎない信念で推進した。
 毎度日系企業の困った現状ばかり訴えているが、中国で成功している会社は全て同じである。中国だからといって特殊なことはなく、日本のどの会社でも行っていることを「諦めずに」やるだけである。

まずは幹部研修
 K社を見学して、Y総経理以上に、感服し驚いたのはM社の中国人幹部である。自分自身の過去の行動や姿勢を恥じたのは当然であるが、中国人作業者をここまで変えられるのかというのが最大の驚きであった。
 実は、「中国ではこれで当然だよ」と最初に諦めていたのは中国人幹部である。Y総経理は、幹部の主張によって「そうかな〜」と半分は諦めていたのである。
 M社は、6月から幹部研修を開始する。毎月2回、年内かけて行うそうだ。
 経営理念・方針・目標などを共有することから始めて、それらを達成し儲かる企業にするための幹部の行動と意識、そして職責を理解させ、牽引する幹部に変えようと模索中である。

以 上