各国・地域情報

中国

作成年月日:2012年1月7日

海外情報プラス

 

中国の5S運動の基礎「しつけ」について

 

 中国では、5S運動を起こすことが難しいと言われている。

 それは、一般的に中国人は5S運動の基礎をなす「しつけ」水準に課題があり、それを日本人赴任者が対処できないからである。

 

「しつけ」を徹底して成功した企業を見習う

 上海のT社は、5S運動を開始しても、社員の行動を変えることができなくて悩んでいた。できない理由の一つは、総経理(社長)が、自分自身5S運動の必要性・重要性を理解しているものの、運動を自ら起こした経験がなく、手法を知らないからである。

 そこで、5S運動の成功により業績も上げたことで有名な蘇州市のK社を、総経理が幹部社員12名を引率して訪ねた。T社はK社の理念および手法をつぶさに観察し学んだ。

 観察内容は別途報告するが、T社は総経理のみならず幹部が大きく刺激を受けてその後の行動や5S運動活動が変わった。

 

5S運動とは

 5S運動とは、整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)の5つのアルファベットの頭文字を取った、総合的な企業活性化運動である。

日本企業は5S運動を管理業務の基礎として、様々な品質管理手法を推進した。1960年代以降、品質の向上と勤勉さにより、経済大国の地位を固めた。

 1970年代、トヨタのスローガン的推進のもとに、5Sが企業イメージ作り、コスト削減、納期厳守、労働安全、標準化、快適な職場作り、職場改善等あらゆる面で大きな役割を果たし、次第に各国に認識された。

 日本の大企業は1980年代以降、5S運動をさらに進化させ、崩れない仕組みを作った。したがって、新人でもいつの間にか5S運動の中に組み込まれ行動するようになった。崩れない仕組みを作らなかった企業は、経営者や推進責任者の退任・交代により、いつの間にか形だけの5S運動となっている。

 

5S運動の基本はしつけ

・整理しなければ整頓できず、能率が落ちる

・整頓しなければ整理できず、無駄(物と時間と空間)が増える

・整理・整頓しなければ清掃もできず、意欲が落ちる

・清掃は、しつけのはじまりでもある

・整理・整頓・清掃の3を高水準に保たなければ清潔な職場を維持できない

・しつけの悪い職場は4Sの水準を恒久的に保てない。
故に「しつけ」は5S運動の基礎であると言われている。

 「しつけ(躾)」は、中国では修養または素養というが、日本では「身+美」と書く、日本で作られた、日本だけの文字であり、「美しさを身につける」「身についた美しさ」という意味。幼い時から日常の行動様式、生活習慣、生活技術を身につけ、体得させるための「仕付ける」という言葉が語源である。人への接し方、物や金への対処方法、仕事に向かう精神的姿勢・物理的姿勢、そしてあるべき姿への追及姿勢などの全てを、自分で律する。他部門と次のプロセスをお客様と心得、お客様は神様と心得る、日本古来の考え方である。さらに「しつけ」とは、上長から束縛・命令されるものではなく、自分が自分を束縛するものである。

 

 中国では、文化大革命以降この「しつけ」の考え方は薄まり、「しつけ」水準に課題のある国となっている。

 街中で見られる次の行動を社内に持ち込んでは、まともな会社にならないが、従業員の行動を見て諦める経営者も多いのが実情である。

・ルールはあっても、その心を理解していない。(させていない)

・やってはいけないと、書かれてないからやってよい。

・罰せられないから、やってよい。

・見つからなければ、やってよい。

・命令されなければ、やらなくてもよい。

中国で「しつけ」を諦めたら何もできない

 「しつけ」は5S運動の基礎であり、5S運動は全ての企業活動の基礎であることは、日本企業の発展成長の歴史から大多数の経営者は理解している。しかし、中国の実情を見て「しつけ」を諦め、罰則制度や性悪説に基づく検査制度を実施している会社も多い。

結果は、詳細は別途報告するがトラブルも多く利益率も低いことは事実である。

以 上