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中国

作成年月日:2011年11月5日

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中国に多数ある事業所の幹部研修について

 

 中国での社員教育はどなたも悩んでいる。正確にいうと、まだ悩んでいる方はよいほうで、無関心な方もいる。

 上海市Y社は、中国全土にある15社を管轄する投資会社。主に、販売と人事・財務を指導・管理している。15社の子会社は、ほとんど社員教育をしていない。Y社は、まとめて予算を取りY社で教育しようと考えたが、肝心な社員研修が進まない。

 

<主な課題>

  1. 15社の総経理(社長)は、日本では管理職であり会社経営経験は無い。ある程度基礎知識の研修をしてから赴任してはいるが経験不足を補うほどではない。
  2. 年2回、全総経理15人を集め、全体の方針や目標の説明に加えて講師を呼んで教育を始めたが、効果が見えない。
  3. 全社の幹部代表を集めて教育しようとしたが、思うように集まらない。各総経理の理由は下記のとおり。
  • 操業して間もないため、他社の幹部と席を同じくする実力がまだない。
  • 特定の者だけを上海で行われる研修会に派遣したら、選ばれなかった者がひがみ、選ばれた者は慢心する。などで、チームワークが悪くなる。
  • 教育しても直ぐに辞められ、意味がない。
  • 仕事が忙しくて派遣する暇がない。

 

<現状打破の方策(案)>

 

(1)中国子会社の位置づけを見直す。

 「ニューヨーク支社長が帰任すると副社長か社長。上海支店長が帰任すると定年退職か子会社派遣」というのが日本企業に多い。現状において、ニューヨーク支店と上海支店の営業力はどちらが高いのか。中国だからというだけで下に見ていては、中国市場で競争に勝てない。中国で負けるとは世界市場でも負けると同じであろう。

 もう一つの日本企業の問題は、中国の子会社を日本の子会社と同じ扱いをしていることである。日本の子会社に派遣あるいは出向させると「2階級特進」という慣例があり、それを多くの会社は踏襲している。すなわち親会社で部長は、役員を飛ばして総経理(社長)へ、課長クラスは部長を飛ばして副総経理(副社長)か本部長へ、監督者は課長を飛ばして部長として派遣している。しかも、2階級上のポストにふさわしい教育はしていない。

 何もかも親会社が面倒を見、経営判断している日本の名目子会社と異なり、中国の子会社は完全な独立会社として経営することを要求されている。中国にあれば日系といえども、中国の法規・法律・習慣の基に、中国人で会社を構成し、中国人で仕事をしている「中国企業」である。しかも、現場では即断即決を求められる。

 中国子会社は、資本関係は親子でも、経営上は兄弟と見なさなければ欧米系など他国の系列には勝てない。それどころか成長著しい中国系企業にも負けるだろう。

 

(2)総経理教育の重要性

 日本の社長は、創業者は別として、社長になるための教育を充分にしてから就任させている。多くの教育は、OJTと自己啓発ではあるが、何よりも強みはジョブローテーションで経験を各所で積ませていることにある。

 しかし、中国に派遣している社長(総経理)にそうした話は聞かない。数時間基礎知識を教えただけで派遣している。そのための負い目か、期限付き原職復帰を約束された「出向」である。これでは、現地法人よりも親会社の方を大事にせざるを得ないだろう。欧米系は、社長としての適性がある者を選び、失敗したら契約終了(解雇)、成功すれば高額ボーナスという契約で「転籍」させている。

 しかし、派遣した以上は徹底的に教育機会を与え、経営者にふさわしい者へ変えなければならない。「私は製造専門だから、私は営業専門だから・・・」という言い訳は排除しなければならない。

 

(3)幹部教育の鍵は、壁の撤去

 Y社は、中国全土の子会社から幹部を集めて教育しようとしたが、これが大間違いである。故に参加者が少ないのである。

 企業には様々な壁が出来ている。もし無いという総経理がいたら、その総経理と社員との間に壁があって見えていないのである。

壁の代表は次のとおりである。

 

 ◯総経理と幹部、幹部と社員

 ◯部門と部門、間接部門と直接部門、工場部門と営業部門

 ◯中国人と日本人(一番大きな壁)等々

 

 これらの壁を撤去するには、集合教育しかない。

 

(4)研修は事業所(会社)単位で

 集合教育・研修は、事業所単位(会社)で、日本人も中国人も、総経理も幹部も全て一緒に集めて、演習問題やグループディスカッションなどを通してその職場に適した課題をともに解決させる。しかも、この場でその会社の経営理念や方針を共有化する努力をする。その事業所のレベルや考え方に合った研修会をすることによって、初めて教育効果が出る。

 最も教育効果が出るのは、総経理である。次に日本人幹部。幹部たちは何を考え、何を元に行動しているのかが理解され、自分の行動も見直されるからである。その結果、全ての幹部の一体感が生まれ活力が生まれてくる。

 事業所単位で行えば、選抜して派遣するのではなく、職位別に機会均等に研修できる。実力がないものは、発奮して努力するか、自ら実力を悟って辞める。