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中国

作成年月日:2011年9月

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親会社からの質問・意見が多く、現地法人の困惑

 

 上海市のR社は、創業してまだ1年の化学薬品製造会社。何もかも足固めの大事な時期である。 総経理(社長)のT氏は日本では購買部長。中国のことを学びながら会社立ち上げに東奔西走中。


 親会社は、大企業の部類に入るが、中国での本格的な現地法人は初めてで、各本部・部門からの質問や意見が毎日数件来る。

 

<2011年8月現在の問題点・課題>
 @ 親会社各部門からの質問は事実上の詰問、意見は事実上命令と捉えられ、それらに対応せざるを得ない状況で、異を唱えることがきわめて困難。
 A 総経理の上司は、定款上では董事長(会長)であるが、董事長は親会社のオーナー会長であり雲上の存在。このため、総経理には董事会(株主総会兼取締役会)以外に、董事長と話す機会はない。
 B 親会社各役員始め部課長からの質問や意見という表現の直接指導が入る。
 C 指示の受け手は唯一の日本人であるT総経理だけであり、その対応で過去1年間は本来の総経理(社長)業ができていない。
 D 現地R社が独自判断でことを進めると、親会社各ルートから質問や叱責が来るので結果的に判断や実行が遅れる。
  もう少し現地法人に任せてもらえないか、その中でどうしたらよいのかという、日系企業に多い課題。

 多くの日系企業現地法人総経理は、現地法人よりも、帰国後の身分を考えて行動するようになる。これが、欧米系企業に負けている根本的な原因とも考えられる。

 

<中国の会社法およびR社の会社定款>
 2011年4月にも報告したが、総経理とは、中国の会社法では「董事会にて決められた経営計画及び経営目標を達成するための執行責任者として、総経理一名を董事会にて任命する」と定められている。即ち会社を実際に経営する人、つまり社長である。
 R社の会社定款にも同様のことが定められており、総経理の権限と責任は非常に大きい。現場では即断即決が必要であり、そのために多大な責任と権限が総経理に集中している。
 総経理の上司は、組織上からも定款からも董事長だけであるが、実質的には、総経理の原職が購買部長であるため、日本の役員はじめ他部門の部長はすべて事実上の上司であり、親会社の関連部門の長の全てが上司となっている。しかし、現地会社の責任は組織上明確な董事長と総経理が負っている。

 

<対策・処理(実例)>

1、 董事長交代と現地法人の位置づけの見直し
 まず、親会社の社長にお会いし、董事長交代をお願いした。
 @ 非常勤の名目的経営者ではなく、実質的経営者である社長が董事長になって、総経理をかばっていただきたい。
 A もし、T総経理に任せる自信がないのであれば、役員の中より任せられる者を任命して派遣していただきたい。
 B 役員の誰もが拒否するあるいは、適任者がいないのであれば、口先介入は厳禁させること。

 

2、 現地法人の体質強化
 親会社の姿勢が変わっても、子会社に力がなければ意味が無い。このため、R社の幹部教育を開始した。
 2012年からは、5S運動も開始し日本以上の会社水準を狙うこととした。

 

3、 T総経理の決断
 T総経理は、R社が大事か、帰国後の立場が大事かの決断を迫られた。
 仮に、帰任できなかったとしても、R社を立派な会社にすることを選択し、解雇覚悟で開き直り雑音は無視し、R社の立ち上げに専念し始めた。
 この結果彼の立場はどうなるのか心配ではあるが、R社の中国人幹部はT氏を尊敬し、本当のトップとして意識を結集したことは確かである。