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中国

作成年月日:2011年4月4日

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親会社からの指示ルートが多く現地法人は混乱!

 上海市のS社は創業して8年の精密機構部品の製造会社。販売は親会社が行ない、そこからの生産指示にしたがって作るだけ。
 総経理(社長)のK氏は技術畑出身の3代目社長で、赴任して約1年が経過したが、中国のことを学ぶ期間もないことから親会社からの信頼は薄い。他に製造部長と技術部長が日本から出向赴任している。
 親会社では、営業本部が事業部に所属して地方に多くの営業所がある。営業本部以外からの指示は行わないこととなっているが、営業所からの依頼事項や情報が直接S社に寄せられる。本社の人事本部・財務本部からの指示事項も多く、S社への窓口が一本化されていないため、今回の相談となった。

<2011年3月現在の問題点と相談内容>
 相談内容は、以下のような状況について、親会社からの指示・情報を一元化できないか、現地法人に任せてもらえないかという、日系企業に多い課題である。

 @ 親会社からの指示は、大きく分けて本社、事業部、営業の3ルートがある。
 A 本社ルートからは、人事・財務・法務などバラバラに指示が来る。
 B 事業部ルートからは、製造・技術・生産管理・品質管理などバラバラに指示が来る。
 C 営業ルートからは、営業本部と地方営業所からバラバラに指示や依頼が来る。
 D 指示の受け手は3人だけであり、営業関係および本社からの情報は主にK総経理が受けており、その対応に追われ本来の社長業ができない。
 E たまに、現地S社が独自に判断して進めると、親会社各ルートから質問や叱責が来るので結果的に判断や実行が遅れる。

<中国の会社法およびS社の会社定款>
 中国の会社法においては、総経理とは「董事会(株主総会兼取締役会)にて決められた経営計画及び経営目標を達成するための執行責任者として、総経理一名を董事会にて任命する」と定められている。即ち、会社を実際に経営する人、つまり社長である。
 S社の会社定款にも同様のことが定められており、総経理の権限と責任は非常に大きい。現場では即断即決が必要であり、そのために多大な責任と権限が総経理に集中しているはずである。
 総経理の上司は、組織上からも定款からも董事長だけであるが、実質的には親会社の関連部門の長の全てが上司となっている。しかし、どこも責任は取らない。責任は組織上明確な董事長と総経理が負っている。

<対策・処理>
1 親会社からの情報一元化呼びかけ現地法人の位置づけ見直し
 最優先事項として、董事長(親会社事業部の取締役事業部長)に面談のうえ依頼した。事業部内の情報一元化については、了解を取り付けたが、本社については権限が及ばないため、取締役会にて現状を訴えて改善を図るよう依頼した。
 現地法人の位置づけを見直すことは、時間をかけて努力していただくこととなった。そのためには現地側においても「色々と言われなくても、自主的にやるべきことをやる体質と水準にする必要がある」との見解が示された。

2 現地法人の体質強化
 親会社の姿勢が変わっても、子会社が親に頼る姿勢を変えない限り意味がない。このため、S社の日本人出向者は、1日かけて中国と中国人について勉強会を行なった。
 中国人幹部は、未だ教育らしきことをしていないので、年内に幹部教育と5S運動をすべく、その体制を作ることとした。現在、総合管理システムを日本から導入中であり、中国人幹部はそれに集中しているため、その上に新たな教育と5S運動をするのには抵抗が強すぎるだろうとの配慮である。

3 現地法人への営業情報管理
 S社への情報で一元化が最も困難な事項は、営業情報である。本来は、営業本部に各営業部課および営業所からの情報が集まり、整理した上で各事業部や子会社に生産計画が出され、緊急変更時であっても営業本部が一括調整することとなっているが、地方営業所はそれを待てず直接事業部に依頼してくる。
 日本のその習慣を中国子会社にも持込んで来るのであるが、中国現地法人の位置づけが日本の子会社と違うことを知らない営業所に対して、中国子会社としてそれを無視することは難しい。時間をかけて、営業所に知らしめる努力をすることとした。