各国・地域情報

中国

作成年月日:2009年10月28日

職業能力基準、職業能力評価制度

4.1 職業能力基準

 中国の職業訓練システムは主として4つの要素、すなわち、(a)職業分類と職業技能基準、(b)職業訓練、(c)職業技能検定と資格認証、(d)職業技能競技会と技能表彰で構成されている。中国が、1994年に職業資格認証制度を採用して以来、まずはその適用を進めるための労働システム並びに関連法や規定が制定されてきた。中華人民共和国の職業教育法によれば、中国における職業教育は、国家教育事業の重要な構成要素であると同時に、経済社会の発展と雇用を促す重要なツールとなっている。中国政府は、職業教育の発展を促し、その質の向上並びに社会主義市場経済のニーズと社会発展のニーズに応える職業教育システムの制定とその完成を目指して改革を進めている。2008年から2009年の間に、家庭用電気製品修理と家庭用設備修理の2つの職業基準が改定され、18の新規職業基準が審査と認可を経ており、その一部はテスト段階にある。なお2009年は、印刷版労働者、製本労働者、印刷労働者等6項目の職業基準が作成中で、また、ワイン作り、ソムリエ及び新産業での労働管理者など10項目の職業基準が検討されている。

  1. 繊維玩具製作者職業基準
     繊維玩具製作者とは、繊維を裁断し、縫製機と手動工具を使用して繊維玩具を製作する技能専門家のことである。職業には、初級製作者(国家職業資格5級)、中級製作者(国家職能資格4級)、高級製作者(国家職業資格3級)、技師(国家職業資格2級)の4等級がある。中国の職業分類規範によれば、繊維玩具製作者はコード番号6-21-03-02に分類され、この資格で数百万人の雇用を擁している。基準を公布することで、国の玩具産業の質を改善し、玩具産業技術の構築を強化し、玩具産業の地位を高めることができる。繊維玩具メーカーの研修と試験のための行政法案が作られ、審査概要、試験概要並びに当該基準に関わるQ&Aを作成している。

  2. 速達宅配業職業基準
     本基準は、初級宅配員、中級宅配員、高級宅配員、管理職員(技師)及び高級管理職員(高級技師)の5等級に分かれている。基準は、職務機能、業務内容、必要技能及び関連知識等の諸点から厳格に定義され、宅配員の技能向上に資するものとなっている。目下、宅配業務員国家職業基準のための教材、Q&A、運用試験概要の作成・編纂が進められており、初級教材と試験問題例等が2009年6月には公開される。

  3. 地質調査関連6項目の職業基準
     労働社会保障部と国土資源部当局は、地質探査職業基準を含む地質調査関連6項目の国家職業基準を公表した。6項目の基準は、地質調査関連の最初の職業基準として、掘削調査士、水分地質調査士、地盤工学地質調査士、地質サンプル調査士、地質測量士、掘削設備修理者等の地質調査作業にわたっている。これら基準の体系的構築と編纂により地質調査管理を網羅している。掘削を含むこの6項目の技能基準は、以前からあった初級、中級、高級という3基準に、第4等級技師、第5等級に高級技師が追加されたもので、調査技士のさらなる育成につながっている。
     職業基準は、各等級における活動範囲、作業内容、必要技能、必要知識レベル等の諸点から明確に規定し、活動範囲を目標とし、職業技能が目標達成の鍵となることを示している。これら基準は、従業員に求められる作業能力であるとともに従業員が作業を遂行するための職業教育や訓練・試験を受ける基礎となるもので、雇用主側にとっては地質調査における技能労働者育成の、重要な基礎作りの役割を果たしている。

  4. 漢方薬分野
     労働社会保障部は、伝統的な漢方薬分野で、漢方薬売買取引、漢方薬調剤師、漢方薬草栽培、漢方薬生産管理、漢方薬の焙煎と調合師、漢方薬液体調合師、漢方薬固形調合師、漢方薬検査師、漢方刮痧師※1 など10項目の特別職業基準を公表した。労働社会保障部は漢方医薬業特殊技能労働者試験実施弁法を公布、これら特殊技能者の、初級技能者、中級技能者、高級技能者の評価区分並びに技師、高級技師の資格認定法を規定した。同弁法では、特に貢献の大きかった技能労働者は、資格認定申請書で要求されている就業年限制限を受けないことが規定されている。国家中医薬(漢方薬)管理局人事教育司が職業資格認定書を発行することになる。
    ※1
    刮痧とは、漢方民間治療法の1つで、水牛やヒスイなどで作られた刮痧板に水や油を付けて胸や脊などをこすり、皮膚を局部的に充血させて炎症を軽減する治療をいう。

4.1.1 制度概要

 職業能力基準制度は、中国の職業技能教育システムで規定されている。国家は、中国各地の異なる経済発展レベルや異なる普通教育水準に照らして、異なる段階における(主に初等中学卒業生を対象に)教育区分を行っている。こうして卒業生の一部は普通上級中学教育を受けることが可能となり、その他の卒業生は職業学校教育を受けることができる。このように、国家は、職業学校教育を職業訓練と並行して行い、異なる種類の教育が調和するような職業教育システムを構築・完成することになる。さらに職業学校教育は、初等、中等、上級の3等級に区分される。初等及び中等職業学校教育は初等及び中等職業学校で行われる。上級職業教育は、必要性や条件次第で、上級職業学校か通常の高等教育機関でも行われる。その他の種類の学校は、教育行政部門で描いた全体計画に沿って、同等レベルの職業学校教育を行うことができる。職業訓練は、就業前訓練、転職支援訓練、見習い訓練、OJT、配置転換訓練及びその他の職業訓練から成っており、それぞれ初等、中等、上級の3等級に分かれている。職業訓練は、相応する職業訓練機関及び職業学校によって行われている。その他の学校あるいは教育機関も、それぞれの能力に応じてさまざまな形の職業訓練を提供して社会のニーズに応えている。障害者のための職業訓練は、障害者教育機関、さらには職業学校及び異なるレベルのさまざまなタイプの職業訓練機関により行われており、それ以外の教育機関も国家の関連規定に従って障害者学生を受け入れている。通常の中学校は各地の状況に照らして職業科目を提供したり、あるいは実際のニーズに応じて職業教育に関連した適切な事項を含む補習科目を提供したりしている。
 職業能力基準については、そのシステムは人力資源社会保障部(Ministry of Human Resources and Social Security:MHRSS)により統一的に制定される。中国では標準(規格)化の対象を、技術基準、行政基準、作業基準の3種類に分類している。作業基準は、作業員の権利、義務、品質、手順、効果及び検査方法や評価方法を規定している。一般的に、作業基準には部門作業基準と職場(個人別)作業基準が含まれる。国家の職業基準は作業基準に属し、業種と職種に従って、作業員の能力レベルに対して要求される条件の明細を示している。国家職業基準は実践者の職業能力の基礎、職業教育訓練、職業能力評価基準を規定しており、同時にそれらは労働者雇用の基礎にもなっている。

  1. 国家職業基準の主要内容及び基本構成
     国家職業基準は、職業概要、基本的要件、作業要件及び具体的で詳細な図表等を含む4部門で構成されている。作業要件が核心の部分である。職業概要では、職業名、定義、等級及び労働条件、職業能力特性、研修要件、評価内容等を含む職業に関する基本情報が示されている。

  2. 国家職業基準の指針効果
     国家の能力制度の中でも、国家職業基準は指針案内で重要な役割を果たしている。職業基準は、職業教育訓練、評価、技能競技会等の指針を示している。労働者の質の向上と雇用促進は重要であり、国家の職業基準制度は統一され労働市場の要求に応えている。一方、制度は科学的で、標準化され、近代的な人材管理を強化する上でも重要である。他方、国家職業基準は、職業教育の訓練課程開発の基礎となるものである。能力基準は、作業分析方式に基づき各職業が要求する適応性を示しており、雇用者側の要求を反映している。このようにして、訓練課程では、理論を強調して実務を軽視したり、知識を強調して技能を軽視したり、そして学究的な認定書類を強調して職業技能認定書を軽視したりすることを回避することができる。こういった仕組みにより、訓練課程で理論と実際の緊密な協調を図り、多くの学生の能力を職場に適応させることができる。

  3. 国家職業基準の種類
     中国国家職業分類大典は4等級のグループで構成されている。大分類(一桁数字コード)は最も高いレベルのグループで特定の作業というよりも広範な分野の作業を意味している。大典コードによると、下記8項目の大分類がある。
    【第1分類】国家省庁、党組織、企業及び機関等の代表で、中分類5項目、小分類16項目、細分類25項目を含む。
    【第2分類】専門科学技術者で、中分類14項目、小分類115項目、細分類25項目を含む。
    【第3分類】定型的な業務に従事する従業員で、小分類12項目、細分類147項目を含む。
    【第4分類】第三次産業に従事する従業員、中分類8項目、小分類43項目、細分類147項目を含む。
    【第5分類】農林、畜産、水産、灌漑分野に従事する従業員で、中分類6項目、小分類30項目、細分類121項目を含む。
    【第6分類】製造業、運輸業、設備操作産業及び関連の従業員で、中分類27項目、小分類195項目、細分類1119項目を含む。
    【第7分類】軍人で、中分類1項目、小分類1項目、細分類1項目を含む。
    【第8分類】分類困難な労働者で、中分類1項目、小分類1項目、細分類1項目を含む。
     中分類、小分類及び細分類はすべて二桁の数字コードで表される。中分類とは大分類を細分化した分類グループである。小分類は、中分類の下のグループであり、職業分類で最下位のレベルはすべてのレベルの中で最も特殊な職業である。広範な大分類グループから特殊な職業に区分けされるにつれて、分類は細かく具体的になってくる。細分類の中でもこれ以上の細分化が難しい部類は、コード番号00で表記される。その構成と表記システムには、要求される細分化の程度に応じて、データの分析や図表作成時に柔軟性を持たせてある。大分類2と大分類6を例として説明すると、中華人民共和国国家職業分類コード1999の4グループの分類は下記のようになる。

    表4‐1 国家職業分類の例(大分類2)
    コード番号 職 業
    2(大分類) 専門科学技術者
    01(中分類) 科学研究員(科学者)
    02(小分類) 経済研究員(経済学者)
    00(細分類困難)  

    表4‐2 国家職業分類の例(大分類6)
    コード番号 職 業
    6(大分類) 製造業、運輸業、設備産業に従事する従業員
    10(中分類) 織物業、編物業、捺染業、染物業
    05(小分類) 染物業
    09(細分類‐職業) 捺染労働者
    ※出典:
    労働社会保障部「中華人民共和国国家職業分類大典1999年初版」

4.1.2 整備状況

 職業能力基準作成の法的根拠である1994年公布の中華人民共和国労働法では、政府が職業分類を行い、そこに規定された職業の職業技能基準を作成し、職業資格と認定制度を実施することや、政府公認の評価機関が労働者の職業能力評価の任に当たることなどを規定している。また中華人民共和国職業教育法では、職業教育は時代のニーズに適合し、政府認定の職業分類と基準に適合することを規定している。そして職業教育では、教育証明書、訓練証明書及び職業資格証書制度等を一体として構成すると規定されている。これら二法が職業資格と認定制度の法的根拠となっている。同法によると、職業分類に関する最初の権威ある文書である中華人民共和国国家職業分類大典は、1999年に、労働社会保障部、質量監督検験総局、国家統計局により、公式に共同公布されたものである。
 中華人民共和国職業教育法によれば、県レベルあるいはそれ以上のレベルの政府は、職業学校及び職業訓練機関を設立し、中心的存在として模範的な役割を果たさなければならない。そして地域社会や他の公共組織及び個別市民により合法的に設立された職業学校や職業訓練機関に対して指導と支援を提供しなければならない。いずれの企業も実態に応じて、自社の従業員や採用予定者に対して、体系的な職業教育や研修を提供しなければならない。企業は職業学校や職業訓練機関を、独自で、あるいは他企業との協力の下に設立することができ、同時に既存の学校や職業訓練機関に対して、自社の従業員や採用予定者の職業教育を委託することもできる。技術分野の仕事に就こうとする労働者は事前に訓練を受けなければならず、特殊技能を必要とする職に就こうとする労働者は訓練を受け、当該職業に必要な資格を取得しなければならない。
 教育において、職業学校や職業訓練機関は、教育と工業生産とを一体化し、地域経済発展のニーズに貢献することを目指し、企業と密接な関係を維持しなければならない。このようにして訓練受講者が実務能力を取得し技能労働者になることを支援するのである。職業学校設立には、下記の基本的条件を備える必要がある。

  • 組織的な機構並びに規制や規定を有していること
  • 資格のある教師を有していること
  • 所定の水準に見合う教育の実施に必要な土地や建物を有し、職業教育のニーズに相応しい施設や設備を有していること
  • 学校設立に必要な資金と堅実な資金運営能力を有していること

 職業訓練機関設立には、下記の基本条件を備える必要がある。

  • 組織的な機構と管理組織を有していること
  • 所定の研修プログラムのニーズを満たす教師と管理職員を有していること
  • 研修のニーズに対応できる場所、施設、設備を有していること
  • 必要運営資金を有していること

 職業学校あるいは職業訓練機関の設立、変更及び閉鎖については、関連する国家の規定に準拠しなければならない。 職業学校あるいは職業訓練機関で所定の職業訓練を受け、学校あるいは職業訓練機関が実施する試験に合格した学生に対して、国の関連規定に従って訓練証明書が発行される。修了証明書及び訓練証明書は、職業訓練課程を修了した職業学校卒業生並びに訓練受講者にとって、求職の際に資格証明書として役立つ。
 他方、中国全体では、職業技能鑑定機構(Occupational Skill Testing Authority:OSTA)が、学生に能力基準資格の取得を促す役を担っている。OSTAは雇用と職業資格証明書の所轄当局であり、OSTAの証明書は全国で有効である。OSTAの仕事は中国職業訓練技術指導センター(China Employment Training Technical Instruction Center:CETTIC)により具体化される。このセンターは人力資源社会保障部の傘下で、主として雇用、職業訓練、職業能力評価に関する技術指導に責任を負っている。同センターは地方政府に、例えば山東OSTAや江蘇OSTAのような、多くの提携先を持っている。これらセンターの主要任務は以下のとおりである。

  1. 国の雇用サービスにおける技術指導とサービス提供の責任
    • 労働市場開拓、職業紹介機関や新制度の普及の任務
    • 地方の労働力及び女性、少数民族、障害者等の特殊グループに対する職業訓練などの雇用促進や再雇用を行う任務
    • 小企業に対する雇用サービスとコンサルティング指導の任務

  2. 中国全土にわたる職業訓練機関に対する技術指導の任務
    • 職業訓練課程や設備の調査と開発の任務
    • 遠隔地にある職業訓練の組織化
    • 人力資源社会保障部(MHRSS)の委託を受けて行う国家職業能力協議会及び国際職業能力協議会の開催
    • 国家技能人材の選定と表彰

  3. 国家職業分類規範の作成と改定事務作業
    • 国家職業能力基準作成への参画
    • 国家職業証明書制度における技術指導
    • 職業能力評価試験の組織と管理の責任
    • 国家データバンクの構築(教育部門関連の試験問題の漏洩防止のために構築されたデータ集中管理のためのデータバンク)

  4. 人力資源社会保障部(MHRSS)の委任下の雇用情勢、職業訓練・能力評価に関する諸統計の作成と分析の責任

  5. 雇用、職業訓練・能力評価における多国間もしくは二国間国際協力組織の開発の任務
    • 国際職業証明書の導入技術に対する責任
    • 中国職業証明書の普及

 中国職業訓練指導訓練センター(CETTIC)における管理能力基準は、CETTICの職業技術訓練制度を通して規定される。この訓練制度は全国的、試行的かつ実証的なものである。訓練制度の使命は、労働者の職業能力と就業能力向上のために、新職業、新知識、新技術を取り纏め、管理し、研修を容易にすることである。現在、CETTICの職業訓練課程は、教師教育、起業家訓練、特殊技能訓練、移民労働者訓練、新職業、新知識及び新技術におけるその他の訓練など一連の訓練事業を行い、これまでに数十万人以上が訓練を受けている。訓練で資格認定を受けた生徒にはCETTIC認定書を与え、それが学生の就職を助けると同時に学生が職業能力評価を申請する際の能力証明書となる。CETTICは、課目開発、訓練サービスの実施、政策やCETTIC認定書に関する相談等に関わる仕事をすべて華鑑資料サービス・センター(華鑑資料服務中心)に委任している。

4.1.3 利用状況

 近年、中国は中等職業教育の発展を極めて重視しており、2008年には中等職業教育の学生数は2,057万人と2000年当時の1.7倍となった。

図4‐1 中等職業教育学生数の伸長状況(1949~2008年)
図4‐1 中等職業教育学生数の伸長状況(1949~2008年)

※出典:
中国教育部,
http://www.moe.gov.cn/edoas/website18/26/
info1251088632781226.htm

表4‐3 職業学校の一般状況(単位:万人)
年度 職業学校数 新規
入学者数
学生数 卒業生数 教師及び
職員数合計
資金
(百万元)
2005 2,855 118.4 275.3 69.0 20.4 123.4
2006 2,880 134.8 320.8 86.4 21.5 143.1
2007 2,995 158.5 367.1 99.7 24.0 198.2
※出典:
中国統計出版社「中国労働統計年鑑2008年(初版)」

表4‐4 職業技能検定統計
年度 検定機関数 検定機関 試験会場 労働者評価
委員会
評価者数 評価
申請者数
2005 7,567 4,144 3,260 163 161,458 9,577,395
産業行政機関 1,848 5 1,824 19 59,974 1,595,369
地方政府 5,719 4,139 1,436 144 101,484 7,922,895
試行企業 - - - - - 59,131
2006 7,998 3,860 4,002 136 161,596 11,821,552
産業行政機関 2,020 12 2,008 - 65,571 2,473,429
地方政府 5,823 3,848 1,839 136 91,729 9,279,660
試行企業 155 - 155 - 4,296 68,463
2007 7,794 4,251 3,378 165 158,186 12,231,413
産業行政機関 1,938 6 1,932 - 56,673 1,622,348
地方政府 5,845 4,245 1,446 154 98,395 10,515,051
試行企業 11 - - 11 3,118 94,014
※出典:
中国統計出版社「中国労働統計年鑑2008年(初版)」

表4‐5 職業能力試験統計(表4‐4続き)(単位:人)
年度 証明書
取得者数
初等 中等 高等 技師 高級技師
2005 7,857,292 2,732,405 3,756,905 1,133,278 195,577 39,127
産業行政機関 1,233,171 278,809 551,073 372,000 27,357 3,932
地方政府 6,575,037 2,438,276 3,194,681 745,632 162,062 34,386
試行企業 49,084 15,320 11,151 15,646 6,158 809
2006 9,252,416 3,124,130 4,390,924 1,440,591 260,830 35,384
産業行政機関 1,576,857 377,737 660,904 488,129 43,178 6,909
地方政府 7,619,774 2,734,026 3,712,773 933,739 211,694 27,542
試行企業 55,785 12,367 17,247 18,723 5,958 933
2007 9,956,079 3,687,419 4,518,674 1,429,235 274,176 46,575
産業行政機関 1,284,859 384,585 499,805 361,828 32,760 5,881
地方政府 8,593,861 3,259,275 4,007,337 1,050,805 236,480 39,964
試行企業 77,359 43,559 11,532 11,602 4,936 730
※出典:
中国統計出版社「中国労働統計年鑑2008年(初版)」

 以下は江蘇省の例である。改革開放以来の加速する工業化に伴って、江蘇省では、応用型人材の要求に応えようと、高等職業教育を急速に発展させた。高等職業教育は大躍進で発展し、生産、マネジメント及びサービスの最前線の任に堪える人材を育成、さらに高等教育の一層の大衆化を進め、以下のような変化をもたらした。

  1. 高等職業教育体系の確立
     1980年には、地域経済の発展への貢献という目的に沿って、江蘇省は江蘇職業大学と呼ばれる地方職業大学を設立し、高等職業教育制度の確立に先導的な役割を果たした。それに続く20余年の間、江蘇省は世界中の製造業が揚子江デルタに移りつつある機を捉えて、良質な教育資源の拡大と統合を推し進めることに注力した。その結果江蘇省のすべての都市が高等職業教育センターを設立するに至り、江蘇省南部のいくつかの地域では多くの職業技術研究学院が設立されてきた。現在江蘇省全体で78の職業技術学院があり、在校生は72万4,400人である。江蘇省における高等職業教育の規模は全国第1位となった。

  2. 高等職業教育のインフラの顕著な改善
     2000年から2008年の間、江蘇省の職業技術学院の校舎建築面積は209万7,500m2から1,964万7,400m2に拡大、同期間に、校舎の床面積は2,522万1,500m2から2億8,341万4,000m2に拡大した。同時に、生徒1人当たりの計器・装備類の価額は2,005元から6,198元に増大し、専任教師数(全日勤務)も4,854人から4万7,565人に増えた。江蘇省の職業技術学院の校舎建設は基本的に完了し、江蘇省には、現在7つの国家級レベルの模範的職業技術学院、13の省級レベルの模範的職業技術学院、1つの省級レベルの高等職業教育センターがある。また、江蘇省には32の国家級レベルの訓練基地と56の省級レベルの訓練基地がある。2009年6月、国家職業技術学院の技能競技会で江蘇省代表が勝利した。

  3. 高等職業教育の集約化レベルの継続的な上昇
     江蘇省の高等職業教育の強化方法は以下のタイプに分けられる。
    1. 群型発展
       同一地域内にあるいくつかの職業学院を計画に従って段階的に発展させる方法で、常州市の高等職業教育センターがその一例である。
    2. 集団型発展
       高等職業学校を筆頭に、中等職業学校を主体とし、また広範な企業の参加を伴って、地域をまたがる商業性の職業教育グループの組成である。現在、江蘇省では、商業、農業、近代的サービス、建築、観光、情報、芸術等から構成された12の高等職業教育グループが設立され、江蘇省の重点産業領域の大半をその影響下に収めている。2003年には、江蘇連合職業技術学院が設立され、小学院、大学校という学習方式を実行している。いくつかの職業技術学校が学院の分校となっている。学院の主要な任務は、職業技術学校学生の教育と管理に関して指導とサービスを提供することである。

  4. 高等職業教育の多様化
     高等職業教育の経営には、政府経営以外にもいくつかの経営方式がある。例えば、社会組織による経営や海外からの投資による財政支援である。現在、江蘇省では、非政府部門の経営する24の高等職業技術学院があり、それらで高等職業教育訓練生数の16.8%を占めている。また省級レベルの政府が全体の責任を負う、新しい管理と監督の多重レベル方式も具体化している。江蘇省は北部や中部(発展途上地域)における高等職業教育の発展をも全力で支援し、江蘇省北部や中部地域のいくつかの強力な高等職業学院を組織化して支援している。

  5. 高等教育指導者人材の質の向上
     職業技術学院はすべて、それぞれ特色のある科学的専門体系を築いてきた。現在、省級ブランド科目204、国家級優良科目55、省級優良科目254、及び省級優良教科書233となっている。江蘇省における高等職業教育卒業生の平均就業率は95%で本科生のそれに迫っている。第6回高等教育部門・指導成果評価競技会においても江蘇省の高等職業学院の成績は上位にあった。

  6. 高等職業教育の国際化レベルの継続的な上昇
     江蘇省は高等職業教育における国際協力を奨励し精力的に支援してきた。今日現在までで、高等職業教育における国際間の協力は全省で212件ある。江蘇省は、さらに、中国・フィンランド職業教育定期フォーラム、中国・シンガポール高等職業教育フォーラム、中国・オーストラリア高等職業教育フォーラム、中国・カナダ高等職業教育フォーラムを開催している。江蘇省は、毎年、高等職業教育の教師3,000名をドイツ、英国、カナダ、アイルランド、オーストラリア、及びシンガポールに派遣して、他国の進んだ経験の学習と選抜後の研修を行っている。 将来、江蘇省は科学的発展の方向を見通し、高等職業教育の全体的な質を高め、職業教育と社会経済の発展の結合を推し進めていく。問題の焦点は以下の6点である。
    1. 基礎能力の近代化をさらに進め、江蘇省の職業教育発展の環境を整えること
    2. 職業教育の質の改善を一層進め、江蘇省の職業教育の核心となる能力を高めること
    3. 高等職業教育の多様化のさらなる推進
    4. 高等職業教育の集約化レベルの向上
    5. 江蘇省の能力研修の国際化推進、高等職業教育の国際競争力の強化
    6. 職業学院や学校の高度な科学的経営を進め、自己発展能力を高めること

4.2 職業能力評価・資格制度及び実施状況

 職業能力評価は、労働雇用制度の重要な要素であり特別な国家試験制度である。その制度は、国家が定めた基準あるいは数量化された条件に基づいて、国家の指定する評価実施機関が労働者の能力レベルあるいは職業資格を客観的に評価し、適格な国家職業能力証明書を与えるものである。国家職業資格は以下の5段階に区分される。

  • 国家職業基準1級(高級技師)
  • 国家職業基準2級(技師)
  • 国家職業基準3級(高級技能労働者)
  • 国家職業基準4(中級技能労働者)
  • 国家職業基準5(初級技能労働者)

4.2.1 制度概要

 2008~2009年の間、制度に新たな変更はなく、中国国務院法制弁公室が2009年8月7日に職業技能訓練検定条例(公開法案)を公布し、一般の意見を募ったのが唯一の新しい点である。報道官によると、経済構造調整と産業高度化の加速化が、職業訓練と技能検定にいくつかの問題をもたらし、以下の問題については特に現在緊急に対処を要するという。

  • 熟練労働者の人口構成と質が、中国の再活性化戦略と革新的国家建設の要求を満たしていない。
  • 職業技能基準の制定主体や手順に法的規範がない。
  • 職業技能訓練への投資が不十分である。
  • 適確性と実用性を欠き雇用促進に訓練効果が見られない。
  • 雇用側が熟練人材の教育と有効活用に十分な役割を果たしていない。

 こういった問題の解決には、社会試験と証明書の交付を規制化し、職業技能検定の質を改善する必要がある。人力資源社会保障部の統計によれば、全国の熟練労働者数は、2007年末に都市及び農村の労働者の33.7%に当たる9,890万人に達したが、そのうち技師及び高級技師は429万人と国全体の熟練労働者の4.3%に過ぎない。高度熟練労働者の比率は22.6%と低く、熟練労働者は37.9%、初級熟練労働者は39.5%である。政府は公開法案に沿って職業分類制度を策定中である。国務院人力資源社会保障部行政部門は職業を分類し、中華人民共和国の職業分類大典の制定と改定を行い、職業技能基準を明確にし、関係部門や産業組織とも協力の上一般公開を準備している。
 2009年職業技能検定の作業要領では、雇用促進と専門職業訓練の実施に焦点を置き、多様な技能労働者の評価制度の構築を高め、年間で技師と高級技師を38万5,000人増やすという目標の下に、企業の技能労働者の評価作業を広範に進めていくこととした。詳細は以下のように4つに分類される。

  1. 高度技能人材の評価
     人力資源社会保障部が2008年に公布した企業技能人材評価作業指導意見によると、企業技能人材の評価にスポット・ライトを当てて、国が初めて選定したパイロット企業グループ60社に対して積極的な評価作業の指導を行い、時機を見て第2企業グループの選出を行う。 また、専科大学と総合大学に対する職業技能検定要領を精力的に開発する。地方政府はいくつかの職業学校を選定し、彼らの教科内容が職業基準と合致していることを基本条件として、教科内容の共通化というパイロット事業を実施する必要がある。専科大学、特に仮採用中の専科大学卒業生に対して、積極的に技能検定サービスを提供し、彼らのニーズに応じて専門職業技能検定を用意する。またすべてのタイプの専科大学及び総合大学の学生と卒業生に対して、コンピュータハイテク試験と能力の中核となる職業技能訓練及び評価サービスを提供し、彼らの就業と職業転換能力の向上を図る。特殊なグループの職業技能検定も行い、移民労働者に対しても、彼らの特徴と就業上のニーズに応じた専門職業能力評価あるいは職業技能検定を円滑に行っている。 さらに、レイオフあるいは失業中の労働者に対しては、職業技能検定サービスを提供し、彼らの将来的な再就職を進めている。同時に、技能向上訓練に参加したばかりの従業員、あるいは職業転換訓練や配置転換訓練で新ポスト就任を待っている従業員に対しては、企業側の要求に応じて、専門職業技能検定を用意する。 また政府として職業技能検定及び完全な職業資格制度の法制化を加速する。国務院法制弁公室と共同で職業技能訓練及び検定条例の改正と審査を行い、技能人材職業資格証明書管理弁法及び境外職業資格管理弁法を検討・制定する。また、職業技能検定規定、職業技能検定規制その他の関連規定を改定する。

  2. 職業技能検定の品質管理体制の構築を強化し、職業技能検定の質を改善する。
     職業技能検定の品質を高め、国家レベルの品質管理チームを編成、国家の統考日(統一試験日)で現場管理の円滑な実施に責任を持たせる。地方や各部門が職業基準の実施、国家の試験問題データバンクの使用、検定管理の実施、また監督や審査を省レベルで行う場合には職業資格の整理を進めながら、すべての地方現場及び各部門の作業内容を評価する。職業技能検定機関の管理を強化し、それら機関の資格基準を開発し、彼らの職務に厳正な許認可を行い、彼らの縦割管理組織を審査し、模範的な機関の建設を広げていく。検定実施機関の品質管理体系の構築を進め、紅黒板(注:良い点と悪い点を色別に記録する黒板)の活用や品質管理責任明示書上で要改良点等を強調することで不適格な機関の整理を強化していく。すべての地方と産業行政部門は、自分たちの地域や産業の品質管理システム構築を鋭意進めて、職業技能検定機関の品質管理レベルを効果的に改善しなければならない。そのためには職業資格認定書の発行管理を強化し、職業資格認定書の新版に着手、認定書申請と発行の手続きを作り、その管理ソフトの機能を向上させ、未完成であった認定試験を完成・発行させるために尽力しなければならない。 なお、専門職業能力試験に合格した者に対する専門職業能力証明書に必要な職業資格証明書はいかなる書き換えも禁止されている。すべての地域とすべての産業部門は、資格を得た人材数の統計報告の評価を正しく行い、証明書発行管理作業と密接に結合させなければならない。

  3. 以下の点について、職業分類とその基準の検討を進めなければならない。
    • 中華人民共和国職業分類のコードAの修正を行い、新規職業の公表内容、認可及び発行を監視する。
    • 新規職業の評価、解説及び公表作業の円滑な実施を継続する。
    • 雇用吸収力の大きい製造業、建築業やサービス業に焦点を絞り、共通する職業、新規職業及び特殊産業職業の基準開発と修正作業を指導しまた実行する。
    • 各地域は、地域の状況に照らして、雇用需要の大きい製造業、建築環境衛生、飲食サービス業で操作技術の比較的容易な技能を1つ選択し、早急に専門職業技能の検定規範を開発し、認可を経てパイロット事業を開始しなければならない。

     また、国家試験問題データバンクを継続して充実させ、その操作運営システムの構築を強化し、2009年国家試験問題データバンクの試験問題の配布作業を円滑に行わなければならない。
    • 10種の職業分野の技師及び高級技師並びに受験者の多い10種の社会共通職業分野の試験問題、データバンクの開発・改定
    • 国家的装飾品試験問題の設置と、NC加工関連職業向けの知能アナログ・シミュレーション試験問題データバンクの研究・開発
    • 専門職業能力評価に関わる試験問題の継続的系統化作業
    • 国家試験問題データバンクの産業分庫建設の加速、国家試験問題データバンクの各地の市レベルにおける試験的分庫の継続的拡大

     また、下記諸規定に関しては改定を行う。
    • 職業訓練試験に関わる命題技術基準、職業技能検定に関わる国家試験問題データバンクネットワークの建設及び運営規定
    • 職業技能検定に関わる国家試験問題の運営管理機構評価基準及び職業技能検定に関わる国家試験問題の安全機密保管に関する作業規定
    • 国家試験問題データバンクに関する運営管理システムの構築を強化し、国家試験問題データバンクに関する経営ソフトウエアの暗号化システムを最適化する。職業資格証明の問題にスポットを当てて、職業技能検定の情報化を全面的に前進させる
    • 職業資格証明の情報検索時間を早め、職業資格証明関連Q&A全国ネットワークを構築する
    • 職業技能鑑定機構(OSTA)による技能検定機構ネットワークの運行・維持を円滑に行い、草の根機構にその活用を広げる
    • オンライン試験運営システム応用のパイロット計画を継続して拡大する
    • 職業技能検定の評価者に関する情報管理システムの試行運用を始め、OSTAデータベース管理維持と更新を円滑に行う
    • 職業技能検定の四半期統計を円滑に行い、統計データの深度分析と応用を強化し、職業技能検定に関する統計指標体系を一層完全なものとする

  4. 技能競技会技術を対象とした職業技能競技会シリーズを実施する。
     2009年度には、全関係部門や関係組織と協力し、全国労働者職業技能競技会、第4回振興杯青年職業技能競技会及び2009年中央企業技能競技会等、3つの国家第一級競技会を含む国家職業技能競技会を開始する。関係業界を組織し24の国家二級クラスの競技会を開催し、並行して大規模国有企業に対して技能競技会開催を促していく。2009年度技能競技会を開催し、単位責任者を対象とした訓練、討議、交流等を取り行い、競技会の試験問題とその技術に関する意見を調査・整理し、裁判員組織を強化し、競技会専門家データベースを完成させ、国際技能組織へ1日も早く加入するため国際技能組織との交流と協力を深めていく。

4.2.2 評価の実施状況

 中国の職業技能認定業務は、1994年以来行われてきた。この16年間、次の点で大きな進展をみた。

  1. 国家級、省・部級、地方政府級、県級等4階級の職業評価機関ネットワークが構築され、2008年末までに、全国の職業評価機関は9,933に上っている。
  2. 職業技能認定業務チームは安定して増え続け、職業技能認定の評価者、監督官、管理者、専門家数は、現在およそ20万4,000人となっている。現在全国に9,800人の監督官がおり職業技能認定機関の80%をカバーしている。
  3. 認定の規模は安定した成長をみせており、1994年から2008年にかけてのべ1億人以上の者が受験し、9,000万人を超す受講者がそれぞれ相応する技能認定を与えられている。特に、2005年から2008年の期間、職業技能資格取得者数がピークに達した。2005年には、受験者が1,000万人を超え、その後3年間同じ状況が続いた。2009年の上半期では、626万人が受験し、530万人が資格認定を受けた。このように職業技能検定制度は、職種を問わず職業訓練の促進と技能レベルの向上に極めて重要な役割を果たしている。

 中国政府は、技能検定の質にも注意を払っている。過去10年間に政府は3度の全国的な広範囲にわたる試験の質に関する審査を行った。特に2005年以降、中国政府は試験の質向上に関する政策を次々と公布してきた。中国政府は、何よりも職業技能検定に伴う不正と無秩序の問題に焦点を当てて、試験の質に関する紅黒板制度を実施するなど、基本的管理体制の改善に努めた。その結果、質の異なる検定実施機関は異なる取り扱いを受けることとなり、彼らが称賛されるか表彰されるか、あるいは検定実施機関の資格を取り消されるかは、彼らの行為次第ということになる。
 2009年9月、職業技能検定を管轄する人力資源社会保障部(MHRSS)は、職業技能検定の質に的を絞った全国会議を開催した。その会議で張小建副部長が行ったスピーチによると、最近職業技能検定はいくつかの新しい問題に直面している。 その第1の問題は、国際金融危機の情勢下で、雇用問題の解決にいかに貢献するかというものである。2008年以降、中国では労働者の雇用問題の改善、雇用促進目標の達成支援、広範な研修による雇用安定化などを目的とした特別職業訓練計画を含め、雇用促進政策が次々と打ち出されてきた。 第2の問題は、いかに現在の経済成長モードの転換を促し、速く安定した経済成長の維持を支援するかの問題である。経済構造改革と産業構造調整とともに、労働者の全般的な質の改善が緊急に求められており、職業技能検定メカニズムの改善と試験の質の向上が強く求められている。さらに重要なのは、職業技能検定は常に新しい職業と新しい技術に歩調を合わせる必要があることである。同時に技能検定の質を改善する恒常的なメカニズムの構築が早急に求められている。
 現在の情勢下で、中国の職業技能検定業務は、労働者へのサービスと雇用者側へのサービス両方を目的としており、質の改善を重要な目標としている。さらに、中国政府は職業技能検定業務が以下の3つの転換を達成することを求めている。

  1. 技能検定の質に一層の注意を払い、特に技能検定の規模拡大の際にはその必要があること
  2. 技能検定の質の一時的な応急措置である現在の管理方式を、長期的なメカニズムへ転換すること
  3. 労働者と雇用者に試験サービスを提供するという技能検定機関の立場を明確にすること(つまり、コストをカバーするだけの料金を徴収し、料金や経費は別途に管理する)

 現在の技能検定業務は次の点に焦点を絞る必要がある。

  1. 技能検定の品質管理の改善
     すべての地域及び産業部門は、品質管理責任通知制度、検定実施機関紅黒板制度並びに技能検定品質状況通知制度を堅持し改善しなければならない。検定の質と奨励並びに管理メカニズムに関する説明責任システムを全面的に確立しなければならない。人力資源社会保障部は、関連法令に準拠して関係規定を作り、品質管理のシステム構築を強化する。
  2. 品質管理の監督の強化
     すべての地域及び産業部門は、品質管理監督のための比較的独立した専門的な作業チームを徐々に設置し、技能検定の全過程の品質管理監督を実行するよう努めなければならない。さらに、信用記録制度と年次決算制度を順次具体化しなければならない。
  3. 技能検定の品質管理システム構築の進展
     すべての地域と産業部門は、以前の労働社会保障部(MOLSS)の公布した職業技能検定機関に関する品質管理体系基準に基づいて、技能検定の品質管理のための標準化され体系化された計画書を作成しなければならない。
  4. 職業技能検定の発展に伴う技術支援
     人力資源社会保障部(MHRSS)は、2年後にはすべての地域と産業部門の技能検定がネットワークで結ばれるよう現在の顧客陳情システムの向上を予定している。同時に、不正試験防止のため、すべての地域と産業部門の職業技能検定に関する情報問い合わせシステムを構築しなければならない。張小建副部長は、すべての地域と産業部門に対して、職業技能検定の作業チームを強化し、相互の経験に関する情報交換を進めるよう要請した。

4.3 相互認証

 1980年代から、外国の職業資格、認定書及び職業技能評価試験などは、中国・英国間職業資格及び認定に関わる協力プロジェクト、中独間職業資格及び認定に関わる協力プロジェクト等を通じて中国に導入されている。また二国間協議に基づいて、中韓、中米、中仏、中加などの提携関係がある。また多国間協議に基づくものとしては国際労働機関(ILO)や世界銀行との提携などがある。
 外国の職業資格認定の管理強化のために、労働社会保障部(MOLSS)は1998年に外国職業技能証明書に関わる通知を公布した。当該通知によると、外国から導入された職業技能認定書は、国際的に認められ、かつ認定の分類と基準が中国職業資格制度の発展のニーズに対応しているものでなければならない。外国の職業資格認定書の導入は、人力資源社会保障部もしくは地方政府により認可されなければならない。中国政府により認可され、中国で登録された外国の認定書は、中国の法律により保護され、中国政府により交付された証明書と同等の効力を持つ。人力資源社会保障部傘下の職業技能検定機関は外国の認定書の管理に責任を持つこととなる。

 現在中国では、多くの外国研修機関や試験機関、あるいは多国籍企業が、各種職業や仕事で技能評価を行っている。現在中国にある外国系認定書は2つのグループに分けられる。

  1. 中国政府と外国機関により認可され発行されたもの
     例えば中英協力プロジェクトでは、1998年以来、職業技能鑑定機構(OSTA)がロンドン商工会議所試験局、シティ・アンド・ギルドによるピットマン試験(英語能力検定試験)、ケンブリッジ大学国際試験などと協力し、中国企業の国際化に有益な関連職業試験を導入してきた。この種の認定書は中国の職業資格認定制度にも導入され、国家の認めた認定書として使用が可能である。
     当該プロジェクトの主要な認定書には次のようなものが含まれる。
    • 人力資源社会保障部職業技能鑑定機構と英国シティアンドロンドン協会の発行する小売業、自動車エンジニアリング、国際旅行及び通信技術作業の管理業務に関する証明書
    • 国家職業資格(National Vocational Qualification:NVQ制度)
      人力資源社会保障部職業技能鑑定機構(OSTA)とロンドン商工会議所試験局により設定され、新規従業員から管理者及びその他のレベルの職業基準まで多くの職業をカバーしている。これはケンブリッジ職業及び職業資格試験制度(Cambridge International Examinations:CIE)により設定され、異なるレベルの管理者に有益な教科を提供し、中国企業の国際労働基準の導入に貢献している。

     サプライチェーン管理及びその他の職業の育成に関しては、中国とスコットランド間での協力体制が2005年から進められ、人力資源社会保障部傘下の職業技能鑑定機構(OSTA)とスコットランド資格認定局が当該事業を担当する。同計画に沿ってOSTAが人力資源社会保障部の承認を得て、同プロジェクトに申し込む職業訓練機関を選別し、資格認定を得た訓練受講者に証明書を発行する。スコットランド資格認定局は訓練コースの実施を担当し、コースを開設した機関の質の評価をしている。
     その他の例としては、電子機械工ではドイツと、庭園、植栽、他7項目の職業では日本との協力プロジェクトを行っている。

  2. 外国企業もしくは外国機関から直接発行されるもの
     その大半は非常に専門的で特殊である。これら証明書の取得は大変難しく、またそれらの証明書は広く認知され容認されているため、取得すれば大変有益である。

    表4‐6 現在中国で通用している国際ビジネス証明書
    種類 注釈
    IT関連証明書
    マイクロソフト証明書 MCPS, MCSE, MCDBA, MCSD.
    Cisco証明書 CCNA, CCDA, CCNP, CCDP, CCIE
    NOVELL証明書 CAN, CIP, CNE, Master CNE
    IBM証明書 IBMは、提携先と協力し、主に学生を対象とした証明書を発給しており、雇用契約あるいは研修受講契約締結の際は、直接IBM大学に申請。
    SUN証明書 SCJPは、JAVAプログラム設計の概念と能力を試験する。SCJPはさらにJAVAを用いた応用プログラムの開発能力を試験する。その他著名な証明書にUnix/LINUX等がある。また国際的な証明書で広く容認されているものが多くある。
    Adobe、Lotus、3 COM 及びMacromedia 証明書等
    経済及び経営関連の証明書
    CDFA 証明書
    (Community Development Finance Association:
    コミュニティー開発財務協会)
    FQC(Financial Qualification Certificate=財務資格証明書)がACCA(Association of Chartered Certified Accountants)により発給される。ACCAは1904年創設の最も大きな会計事務組織の1つである。
    CGA証明書 CGA(Certified General Accountants Association of Canada:カナダ総合会計士協会)は国際的に認識されている会計士資格及び証明書であり、取得者はカナダ及び世界中で財務関連業務に就職が可能。
    ICMA証明書
    (Institute of Certified Management Accountants
    :公認会計士協会)
    IMA(Institute of Management Accountants
    :米国管理会計人協会)は、1919年設立され、70万人以上のメンバーを持つ専門組織。IMA発給の管理会計士証明書は十分検証されたテストによる証明書として信頼があり、米国で高い評価を受けている。
    その他の著名な証明書:CIA 証明書、IPMA 証明書、PMP 証明書など
    金融及び保険関連の証明書
    CFA証明書
    (Chartered Financial Analyst=CFA協会)
    CFA協会(The Institute of Certified Financial Analyzer:ICFA)により1964年に制定され、全産業界で容認されている。
    CII証明書
    (The Chartered Insurance Institute:保険協会)
    CIIが制定した証明書。CIIは世界的保険・金融サービス産業の専門的・教育的組織。CIIテストには2種類がある。
    FIA証明書 これは保険計理資格テスト、北米保険計理協会により制定された英国保険計理資格。
    英語試験
    BEC証明書
    (Business English Certificate:ビジネス英語)
    英国ケンブリッジ大学試験委員会が証明の管理をする。試験は、ヒアリング、会話、解読、筆記の分野で語学レベルがチェックされる。
    ETS証明書
    (Educational Testing Service:教育試験・サービス)
    TOPE(職業英語試験)及びTOEIC
    その他重要国際的証明書
    WBSA(World Business Strategist Association:国際ビジネス戦略協会)
    CIBNE証明書
    (Certified International Business Negotiation Expert
    :国際ビジネス交渉専門家証明)
    CGFNS試験
    (Commission of Graduates of Foreign Nursing Schools
    :外国看護学校卒業生委員会)
    HIAA証明書
    (The Certificates of Health Insurance of Association of America
    :米国健康保険協会)
    ※出典:
    職業技能鑑定機構、
    http://www.osta.org.cn/htm/307/381/index.html

    1. 国際認定書等の申し込み方法
      • 試験が複数の省あるいは産業にまたがって行われるものの場合、申請者は申込書を人力資源社会保障部(MHRSS)に提出する。
      • 試験が単一の省内あるいは単一の産業部門内で行われるものの場合、申請者は申込書を当該省あるいは当該産業部門のMHRSS対応部門に提出する。
      • 申込書受領後、対応部門あるいは対応機関は申請書に関して詳細な意見書をMHRSSに提出する。

    2. 申し込み時提出資料
      1. 証明機関の信用証明関連書類
        • 外国機関の場合は、機関登記簿、機関定款、所属国の政府認可、銀行信用証明書を含む・ 外国企業の法的根拠のある証明資料
        • 国内機関の場合は、営業許可証あるいは事業単位の登記証、機関定款、機関紹介
      2. 申請証明書に関わる専門的技術説明書類
        • 該当職業基準、研修プログラム及び資料
        • 証明書のコピー
        • 試験問題のコピー
      3. 試験規定
        • 試験基準
        • 試験管理規定
      4. その他資料
        • 国外職業資格証書及び発行機関審査表
        • 中外合作機関間の合作協議書コピー
        • 試験の予備調査報告書
        • その他必要な提出資料

    3. 申請機関の必要条件等
      • 独立法人資格を有すること
      • 明確な試験項目と試験規約を備えていること
      • 試験実施に必要な諸条件を備えていること
      • 申請証明証は国の職業能力発展条件に合致し、国際的に広範な影響力と流通性を有していること


参考文献

  1. 江蘇省職業技能鑑定服務網. (n.d.).
    http://www.js.lss.gov.cn/jdfww/index.htm
  2. 国家職業資格工作網. (n.d.).
    http://www.osta.org.cn/
  3. 国家職業資格工作網.(n.d.).「関于我部職業技能鑑定中心与英国蘇格蘭資格監管局开展職業資格証書合作有関事項的函」
    http://www.osta.org.cn/htm/384/71550.html
  4. 国家職業資格工作網. (n.d.).「関于対引進国外職業資格証書加強管理的通知」
    http://www.osta.org.cn/htm/384/71555.html
  5. 国家職業資格工作網. (n.d.).「国際証書注冊指南」
    http://www.osta.org.cn/htm/307/382/index.html
  6. 国家職業資格工作網. (n.d.).「職業標準最新動向」
    http://www.osta.org.cn/htm/306/5240/index3.html
  7. 国家職業資格工作網. (n.d.).「中心簡介」
    http://www.osta.org.cn/htm/317/index.html
  8. 国家職業資格工作網. (n.d.).「中徳職業資格証書合作項目簡介」
    http://www.osta.org.cn/htm/349/3727.html
  9. 国家職業資格工作網国際証書管理平台. (2007).「関于印発“国外職業資格証書注冊管理実施細則(試行)的通知」
    http://gjzsb.nvq.net.cn/htm/6232/106201.html
  10. 国家職業資格工作網国際証書管理平台. (2007).「日本語鑑定証書」
    http://gjzsb.nvq.net.cn/htm/6230/106133.html
  11. 山東省職業資格工作網. (2009).「関于印発2009年職業技能鑑定工作要点函」
    http://www.sdosta.org.cn/htm/7271/119086.html
  12. 人力資源和社会保障部国家職業資格管理. (n.d.).
    http://ms.nvq.net.cn/
  13. 中英職業資格証書工作網. (n.d.).「中英職業資格証書項目介紹」
    http://zyxm.osta.org.cn/htm/835/28170.html
  14. 中華人民共和国教育部. (n.d.).「1949‐2008年中等職業教育在校生人数増長状況」
    http://www.moe.gov.cn/edoas/website18/26/
    info1251088632781226.htm
  15. 中華人民共和国教育部. (2009).「江蘇省高等職業教育蓬勃発展」
    http://www.moe.edu.cn/edoas/website18/level3.jsp?
    tablename=2322&infoid=1255321558207279
  16. 中華人民共和国人力資源社会保障部. (n.d.).「職業資格証書制度基本概念」
    http://w1.mohrss.gov.cn/gb/ywzn/
    2006-02/14/content_106387.htm
  17. 中国国家統計局. (2009).「中国労働統計年鑑2008年(初版)」
    北京:中国統計出版社.
  18. 中国法律信息網. (2009).「国務院法制弁就“職業技能培訓和鑑定条例”征意見」
    http://www.law-star.com/cacnew/200908/275042698.htm
  19. 中国労働力市場. (2009).「人力資源和社会保障部長張小建:堅持質量第一 構建効机制 推進職業技能鑑定事業又好又快発展」
    http://www.lm.gov.cn/gb/training/2009-09/15/
    content_324357.htm
  20. 労働社会保障部. (1999).「中華人民共和国国家職業分類大典1999年初版」

印刷用PDFページ

このページの内容をプリントアウトしたい方は、以下のPDFファイルをクリックしてください。

中国-職業能力基準、職業能力評価制度のPDFファイル(418KB)

掲載されている内容をご利用になる際は、こちらを一読いただきますようお願いいたします。
各国の情報はPDFファイルでも作成されています。PDFファイルを見るためには、Adobe Readerというソフトが必要です。
Adobe Readerは無料で配布されています。ダウンロード・インストールする場合には、下のアイコンをクリックしてください。
Get Reader

▲ ページトップへ