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中国

作成年月日:2010年1月31日

職業能力開発の政策とその実施状況

3.1 職業能力開発の背景

 熟練労働者の需要と供給には大きな格差が存在しており、特に高級熟練労働者、技師、高級技師ではその状況が顕著になっている。そのため、中国においては職業訓練開発の促進は差し迫った課題となっており、ここ数年間、一連の関連法令及び通達が策定され、実施されている。

3.2 職業能力開発を進めるための国の政策

 2005年10月、国務院は職業教育の強化決議を発表し、経済及び社会の発展に寄与する職業教育開発の目的及び課題を示した。また、2006年4月、中国共産党中央委員会及び国務院において職業教育の強化決議が承認され、すべての省庁、企業、組織、社会全体が多様な形態及びレベルでの職業訓練を提供するために、その指導力を結集するとしている。その決議では、次の点が強調されている。

  1. 高度な科学技術及び設備設置という主要な国家プロジェクトに基づいた技術革新訓練の奨励
  2. 産業の技術改革及び技術革新に基づいた新たな科学技術、技能の訓練
  3. TVET(Technical and Vocational Education and Training:技術、職業教育及び訓練)学校と企業との連携強化
  4. 能力と業績を評価する高度な技能評価体系の浸透
  5. さまざまな情報から訓練基盤を選択し、訓練、カリキュラム、教材開発を包含する多様な体系構築の奨励

 さらに、「出稼ぎ労働者の訓練計画2003~10年」において地方労働者の流動化プロジェクト、2006年の「地方労働者の技術雇用計画」において地方労働者に訓練を実施している。そのほか、2007年から2年間、職業訓練校の全日制学生には政府から年間1,500人民元を付与することを保証した。2009年に打ち出された新たな政策や計画は、以下のとおりである。

  1. 特別職業訓練計画の実施
     世界金融危機が中国経済にもたらす影響に対応するために、就職の安定の保持や全分野における就職の促進、またサービス経済の安定した発展に対する職業訓練の重要な基礎作用を充分に発揮させることを目的として、中国政府は特別職業訓練計画の実施を決定した。その主たる内容は以下のとおりである。

    1. 指導思想及び目標とする任務
       特別職業訓練計画の実施にあたっては、共産党第17期三中全会並びに中央経済作業会議の精神を確実に遂行し、また科学的発展観の要求に則り、金融危機の影響を受けた各種労働者の就職需要に対し、技術・工業学校や各種職業訓練機関に委託して的確性のある技能訓練を大々的に実現しなければならない。また、訓練規模を拡大し、訓練期間を延長し、訓練への資金投入を拡大し、訓練能力を高めることにより、労働者の就職、再就職あるいは創業の能力を向上させ、就職情勢の安定を保持するよう努めなければならない。
       2009年~10年の約2年間を利用し、困難のある企業の在職従業員に対する技能向上訓練や職位職務の転換訓練を集中的に実施して、安定した就職の実現を援助する。失職して帰郷した農民工に対する職業技能訓練あるいは創業訓練を実施して、別の就職先への移転や郷里における創業の実現を促進する。失業者(失業登録を行っている大学卒業生、都市部に残留している失業農民工を含む)に対する中短期の技能訓練を実施して、再就職の実現を援助する。新成長労働力に対する予備的技能訓練を実施して、就職能力を向上させる。

    2. 積極的に実施する4種類の訓練
      1. 困難企業の従業員に対する在職訓練や職位転換訓練の実施
         人力資源社会保障部、財政部、国家税務総局が公布した『積極的な措置を講じ、企業の負担を軽減して就職情勢を安定させることに係る問題に関する通知』(人社部発[2008]117号、以下、『通知』と略する)が規定する条件に符合し、当地政府関連部門の認定を受けた困難企業である場合は、在職従業員に対し、技能向上、職位・業務の転換、安全生産等の分野における職業訓練を計画して実施し、従業員の職業技能や職業の素養を高めることができる。各地の労働保障部門は、企業の主体作用を充分に発揮させ、困難企業が従業員の在職訓練等を実施することにより従業員の集団を安定させることを奨励し、企業が従業員の訓練計画を制定・整備して、企業従業員訓練機関や技工学校に委託してその計画を実施するよう指導しなければならない。訓練に必要な資金は、規定に基づき企業の従業員教育訓練経費から支出するものとし、不足部分については、企業所在地の政府が就職専用資金から適切な支援を拠出することができる。企業の従業員に在職職業技能訓練を実施するための就職専用資金の使用を申請する困難企業は、国家規定に基づき従業員教育訓練経費を積立て、積極的に従業員の教育訓練を実施しなければならない。困難企業が在職訓練補助を申請する場合、『通知』が規定する職位補助あるいは社会保険補助を同時に申請してはならない。在職訓練補助の実施期間は2009年内である。困難企業は、具体的な在職訓練計画を制定する。訓練が終了して訓練を受けた従業員が職業訓練合格証書(職業技能資格証書)を取得した後は、訓練人員名簿、労働契約のコピー等の資料に基づき、当地人力資源社会保障部門に申請する。人力資源社会保障部門の審査を経て、財政部門が再審査を行った後、当地財政部門が最高でも訓練費用の50%を超えない割合で、補助資金を直接、企業が銀行で開設した基本口座に払い込まなければならない。困難企業の在職従業員の職業訓練補助の具体的な方法や基準は、省級の財政、人力資源社会保障部門が確定する。

      2. 失職して郷里に戻った農民工に対する実用技能訓練の実施
         失職して郷里に戻った農民工に対して、移転就職要望や労務輸出の意向に基づき、所在地労働保障部門が関連の訓練を計画して実施する。当地の産業構造の調整、企業の技術改造や新規着工建設プロジェクトの需要、国家が重点的に支持する鉄道、交通、建設、電力及び被災地区再建等の分野並びに労務輸出の需要と緊密に結合して、相応の訓練項目を計画し、農民工の技能水準を高めなければならない。技術や資金を持ち、自身で起業する意思のある農民工については、起業訓練の実施を計画し、プロジェクト開発の強化、開業指導、小額借入金、補助金の支給など、最初から最後まで一貫したサービスを実施して、起業をサポートする。農民工が各種職業訓練に参加する場合は、規定に基づき就職専用資金並びに関連専用資金から補助金を支給する。

      3. 都市部失業者に対する技能就職訓練の実施
         都市部における失業者(都市部で継続して仕事を探す失業農民工を含む)に対し、各地労働保障部門は、当地の実情と失業者の特徴を鑑み、3~6カ月間の再就職訓練を実施しなければならない。また、当地が重点的に開拓・発展させようとする就職領域と緊密に結合し、産業調整政策に符合する産業や発展が必要な職業(作業の種類)、都市部におけるサービス分野などの技法訓練項目を重点的に開発し、臨機で多様な訓練形式や手段により、訓練の実用性や適用性を高めなければならない。失業登録する大学生については、各地労働保障部門がその専攻のバックグラウンドを鑑みながら、関連領域の技能訓練を計画して参加させ、操作技能訓練を実施することにより、その就職能力を向上させなければならない。起業の意向のある失業者には、起業訓練を計画して参加させ、起業の促進を図るものとする。上述の人員の訓練に必要な資金については、規定に基づき就職専用資金や失業保険基金の中から補助金を支給する。

      4. 新成長労働力に対する技能予備訓練の実施
         農村の中高新卒者で進学できない者に対し、6~12カ月の労働予備訓練を計画して参加させ、技能水準や就職能力を向上させる。各地労働保障部門は、措置を講じて技術学校の学生募集規模を拡大し、産学協力を強化し、オーダーメイド訓練や方向性を定める訓練を通じて職業技能実習を強化し、計画的に資質の高い技能予備人材の育成を加速させなければならない。上述の人員の訓練に必要な資金については、規定に基づき就職専用資金の中から補助金を支給する。

    3. 更なる保障措置の実現
      1. 思想認識の向上と組織指導の強化
         各地労働保障部門は、科学的発展観の要求に基づき、職業訓練が特定時期において就職の促進や安定に対し重要な地位を占めることを認識している。経済の発展や社会の安定の維持において職業訓練が重要な役割を十分に果たすには、特別職業訓練計画を最近のサービス企業や労働者の重要な民生工程の1つとして実施し、当地の経済発展促進の全体配置に組み入れ、作業の実現を確保しなければならない。また、当地政府の指導のもとで、当地特別職業訓練計画を制定し、当地政府の許可を得た上で実施にうつした後は、目標任務を実現し、政策措置を整備し、作業の審査を強化して、計画や実施を確かなものにしなければならない。

      2. 資金政策の実現と、監督検査の強化
         各地労働保障部門は、財政部門との協力を強化し、特別訓練計画を実施する資金の保証をしなければならない。また、各種資金の監督管理を強化し、いかなる機構や個人も、補助資金を滞留させたり、独占したり、流用したり、詐取したりしてはならない。訓練過程の監督検査を強化し、事前、事中、事後の全過程監督を実施して、問題が発生すれば速やかに処理しなければならない。職業訓練の補助資金の管理や使用を規範化し、補助資金の使用の安全性や有効性を高めなければならない。各訓練機関に対して訓練台帳の作成を督促し、訓練計画、訓練人員の名簿等を適時社会に公開させなければならない。

      3. 資源の優勢の発揮と、サービス作業の強化
         各地労働保障部門は、街道や郷鎮の労働保障作業部門に委託し、労働者の訓練の需要や数を把握しなければならない。また、技術学校や各種職業訓練機関に広範に呼びかけ、訓練教師の質、学習の場所、訓練計画等の作業を確実に実現しなければならない。労働組合、婦女連合、共青団等の組織の作用を充分に発揮するとともに、規定に基づき、条件に符合する訓練機関において関連の政策を実現するものとする。発改委等の部門は、引続き中等職業教育の基礎能力の構築を強化し、訓練任務を受託した技術学校は、教育設備の改善を支持し、訓練計画の順調な実施を推し進めなければならない。各級職業技能鑑定機構は、労働者に対し、公平、公正、簡便で迅速な技能鑑定サービスを実施しなければならない。都市部に所在する無職の農村労働者の職業技能鑑定にも補助を支給し、鑑定費用を適切に減免する。公共就職サービス機構は、企業の労働者採用状況や労働者の就職状况をよく把握し、複数のルートを通じて速やかに採用情報を公布し、職業指導や職業紹介等の就職サービスを提供しなければならない。

      4. 技術サポートの強化と、訓練の質の向上
         訓練のサポートや、質の向上が強化されている。各地労働保障部門は、民間への委託を実施し、企業は訓練需要の予測作業にあたらなければならない。また、訓練需要に基づいて、訓練項目の開発や訓練教材、課程の研究開発作業を実施し、教材が適応する技術や技能人材の育成の水準を向上させなければならない。技術学校や職業訓練機関の教師のチーム構築を強化して、企業が高技能の人材を招聘できるようにし、教師の質や量を拡充するほか、ローテーション訓練、定期訓練、業務研修等の方法を実施して、教師の専門資質や技能水準を確実にアップさせなければならない。

  2. 2009年職業技能鑑定作業の要点
     2010年の職業技能鑑定作業に関する計画が公布されていないため、本報告書では、2009年の計画を掲載する。
     2009年の技能鑑定作業のガイドラインは、科学発展観を旗頭として、就職やサービス経済の発展促進を旨とし、高度技能人材層の確立に重点を置いている。職業技能鑑定作業を規範化し、職業技能鑑定の質を高め、技能人材の多元的評価システムを健全化して完備し、職業技能鑑定作業の基礎を固め、職業資格証書制度を促進して、健全で秩序ある発展をすることを目標としている。

    1. 就職の促進や特別職業訓練計画の実施と緊密に連動し、技能人材多元評価システムの構築を推進する
      1. 通年で技師、高級技師を新規に38万5,000人増加させる目標任務の実現に向けて、企業技能人材評価作業を全面的に推進する。『企業技能人材評価作業の推進に関する指導意見』の要求に基づき、高度技能人材の評価を重点とした企業技能人材評価作業を実施する。第1期として60社のテスト企業を選出して技能人材評価を積極的に実施し、適時第2期テスト企業を選出する。職業能力を発掘して完備することを目標とし、作業の業績に重点を置いて、職業道徳や職業知識の水準を重視した技能人材評価メカニズムを作成し、作業の現場状況や生産プロセスと結合して、試験並びに評価の方法を実施する。『中央企業技能人材評価作業規程』を検討、制定して、中央テスト企業の技能人材評価作業に対する業務指導や技術支持を強化する。テストの結果を総括し、企業技能人材評価作業を全面的に推し進める。各地においては、『企業技能人材評価作業の推進に関する指導意見』に基づいて作業の原則を確定し、鑑定作業の基礎ができている一部の省(市)所属の国有大中型企業を選出して、技能人材評価テスト作業を実施すること。また、各地では、短期的に生産が充足していない地方企業に対して職業技能訓練の実施を奨励するとともに、企業に対し、積極的に職業技能鑑定サービスを提供しなければならない。

      2. 学校における職業技能鑑定作業を積極的に実施する。各地では、条件に符合する技術学校を選定し、授業内容や職業基準の要求に一致することを原則として、カリキュラム認証のテスト作業を実施すること。職業学校のカリキュラム改革を積極的に指導し、プロセスを重視して試験を実施する学校鑑定モデルを模索しなければならない。学校と企業が協力して育成する高度技能人材や、技師学院、高級技工学校が育成する予備技師の評価モデルについては、テストケースを実施し、予備技師試験の実施方法を早期に整備しなければならない。各地では、高校生、特に見習いの高卒生に対して積極的に鑑定サービスを提供するとともに、高卒生側の要望に応じて、特別に職業技能鑑定を実施することもできる。各種各レベルの学校の在校生や卒業生に対し、コンピュータ先進技術試験や職業中核能力訓練試験サービスを提供し、就職能力や職業転換能力の向上を促進する。

      3. 特殊な人員層の職業技能鑑定作業を実施する。農村の移転労働力の特徴や就職需要に基づき、農民工の専門職業能力試験あるいは職業技能鑑定を計画し、実施する。レイオフ失業者に対して職業技能鑑定サービスを提供し、再就職を推進する。技能向上訓練あるいは転業転職訓練に参加する企業の待機人員については、企業の必要に基づき、特別の職業技能鑑定を手配する。労働予備制訓練に参加し、鑑定の必要な受講生については、当人の職業能力水準に基づき、初級技能を主とする鑑定サービスを提供する。積極的に政府関連部門と協力し、技能訓練に参加した退役軍人には職業技能鑑定サービスを提供する。就職困難な者、都市部で労務提供する農村労働者については、規定に基づく職業技能鑑定補助政策を適用する。また、農村部の建築技術者、基層技術人員並びに農村のインフラの管理、メンテナンス要員を重点とする農村の実用人材試験モデルを模索する。

    2. 職業資格関連活動の整理、規範化作業を継続的に実施し、職業資格証書の信頼性を維持する
      1. 国弁発[2007]73号文書の精神を徹底して実施し、職業資格関連活動の生理や規範化作業を実現する。人力資源社会保障部は、各地や関連部門の職業資格整理状況の総括や照合審査を基礎とし、1件あるいは1期ごとに、社会に職業資格整理結果を公表する。各地においては、整理公告の要求に基づき、真摯に照合審査を実施し、規定に厳格に照らして、職業技能鑑定を計画、実施する。その他の機構が職業資格の名目で実施する規定違反の訓練、試験、証書発行行為については、各地が関連部門と協力して査察、処分すること。小規模試験鑑定項目の規範的な管理を実現するために、人力資源社会保障部が直接計画して実施する小規模試験鑑定項目は地方に移管して実施し、項目の受入れと後続作業のリンクを実現するものとする。

      2. 全国統一鑑定作業を実現し、職業技能鑑定ブランドを確立する。各地においては、全国統一試験作業規程を厳格に実施し、全国統一鑑定試験会場の集中管理を強化しなければならない。出題や審査の質を重視し、監督管理メカニズムをさらに整備して、試験問題等の資料の安全や秘密保持を確保しなければならない。また、全国統一の職業試験方法の検討を強化し、メディアの活用や、シミュレーションを行うなど、各種技能試験の実施を模索しなければならない。従業者数の多い職業を少量選出して、各段階における質の監督管理を強化し、職業技能鑑定ブランドを構築し、全国統一試験の社会的影響力を高めなければならない。

      3. 早期に職業技能鑑定立法を実現し、職業資格制度を完備しなければならない。国務院法制弁公室に協力して、『職業技能訓練及び鑑定条例』の修正審査作業を推進する。『技能人員職業資格証書管理弁法』や『国外職業資格管理弁法』を検討し、制定する。また、『職業技能鑑定規定』、『職業技能鑑定作業規則』等の関連規定を適時改定する。

    3. 職業技能鑑定の品質管理システムの建設を強化し、職業技能鑑定の質を高める
      1. 職業技能鑑定の品質監督指導作業を強化する。国家級品質監督指導作業チームを成立させ、全国“統一試験日”の現場監督作業を実施する。職業資格の整理規範化作業と結合し、各地、各部門が実施する職業基準については、国家の問題データバンクを使用して試験事務管理等の鑑定業務を行い、部級の監督指導、並びに検査を計画し、実施する。

      2. 職業技能鑑定所(ステーション)の管理を強化する。職業技能鑑定所(ステーション)の資格条件基準を開発する。職業技能鑑定所(ステーション)の審査批准作業を厳格化し、鑑定所(ステーション)のグレード別管理メカニズムを模索して、モデルとなる鑑定所(ステーション)の構築を実現する。鑑定所(ステーション)自体の評価制度や品質管理責任に着手し、鑑定機構の品質管理システムの構築を推進して、不合格鑑定所(ステーション)の粛清を強化する。各地区、各産業部門においては、本地区、本産業の品質管理システムの構築を積極的に推進し、職業技能鑑定機構の質の管理水準を高めなければならない。

      3. 職業資格証書の発行管理作業を強化する。新版の職業資格証書を作成し、職業資格証書の申請発行手順、職業資格証書更新管理のソフトウエアを制定して、空白証書の発行を厳格化しなければならない。特別職業能力試験に合格した者に対し、特別職業能力証書に代えて職業資格証書を用いることを厳禁する。各地区、各産業部門においては、規定に基づき鑑定合格者数の統計報告業務を遂行し、証書発行管理作業と緊密に連携しなければならない。

      4. 鑑定品質の問合せに対するサービスを実施する。現在の質をグレードアップし、機能を追加して、鑑定業務に対する問合せや規則違反に対する処理処分作業を完遂しなければならない。各地区、各産業部門においては、これらのサービスのルートを拡充し、鑑定業務に対する問合せや規則違反に対する処理処分の作業を整備して、労働者や使用単位に対し、より良いサービスを提供しなければならない。

    4. 職業技能鑑定の基礎作業を強化し、職業技能鑑定に対するサポート体制の整備を進める
      1. 職業分類や職業基準の開発作業を加速する。『中華人民共和国職業分類大典』の改訂作業を開始する。新職業の審査承認及び公布作業を規範化するとともに、引き続き新職業の評価、論証及び情報公表作業を実施する。一般職業、新職業並びに産業特有職業(業種)の基準の開発や改定作業を計画、指導して実現し、特に、従業員数の多い製造業、建築業、サービス業等の分野における職業基準の開発や改定作業を重点的に推進する。各地においては、実状を鑑み、製造加工、建築、環境衛生、飲食サービスの分野から就職需要が大きく、操作技能が簡単で学びやすい単一の就職技能を選択して、早期に特別職業能力試験規範を開発し、人力資源社会保障部の許可を得た上で、テストケースとして作業を実施することもできる。

      2. 継続して国家試験問題データバンクの資源を充実させ、試験問題データバンク運用管理制度の構築を強化する。2009年版国家試験問題データバンクの試験問題資源の配布作業を実施しなければならない。10種の職業の技師、高級技師用の試験問題データバンクを開発、改定し、鑑定人数が比較的多い10種の一般職業の試験問題データバンクの開発、改定を計画し、デジタル制御加工類職業の模擬インテリジェンス化の試験問題データバンクを模索、開発するとともに、特別職業能力試験の問題資源との整合性を保たなければならない。国家試験問題データバンクの産業別データバンクの構築を加速するとともに、国家試験問題データバンクの地市級分割も、引き続き拡大していく。『職業訓練鑑定問題技術基準』、『職業技能鑑定の国家試験問題データバンクのネットワーク構築と運用に関する規程』、『職業技能鑑定の国家試験問題データバンク運用管理機構の評価基準』、『職業技能鑑定の国家試験問題データバンクの安全及び秘密保持作業規定』を改定し、国家試験問題データバンク運用管理制度の構築を強化し、国家試験問題データバンクの管理ソフトウエアの秘密保持システムを優良化する。

      3. 職業資格証書の検索作業を実現し、職業技能鑑定の情報化構築を全面的に推進する。職業資格証書の情報検索作業を加速し、2009年には職業資格証書を検索できる全国的ネットワークの構築を目指す。国家職業資格作業ネットの運用やメンテナンスを行い、作業ネットの基層所(ステーション)における使用を推し進める。オンラインによる試験事務管理システムの応用テストを引き続き拡大する。職業技能鑑定試験評価者の管理情報システムの試験運用作業を遂行する。国家職業資格管理データバンクのグレードアップ、メンテナンス作業を実施する。職業技能鑑定の四半期別統計作業を引き続き実施し、統計データに対する分析、応用を強化して、職業技能鑑定統計指標システムの整備を進める。

      4. 鑑定作業チームの建設を強化し、鑑定管理の水準を高める。『職業技能鑑定試験評価人員管理作業規程(試行)』を改定する。職業技能鑑定管理人員、試験評価人員、品質監督指導人員の模範訓練を計画し、実施する。各地区、各産業部門においては、管理や訓練を強化し、相応の管理弁法をさらに整備し、学習、訓練、検討、業務交流など数々の形を模索して、職業技能鑑定管理人員、試験評価人員、品質監督指導人員及び専門家チームの建設を推進しなければならない。

    5. 職業技能コンテストなどの活動を開催し、技能コンテストへの技術サポートを行う
      年度の全国職業技能コンテストなどの活動を計画し、実施する。政府関連部門と協同で全国職工職業技能大会、第4回振興杯青年職業技能大会、2009年中央企業技能大会を実施し、これら3大会を国家級1類コンテストとする。関連産業(単位)では、24の国家級2類コンテストを実施するほか、大型国有企業に対し、コンテスト活動の実施を指導する。また、「2009年技能コンテスト組織単位責任者訓練並びに検討交流活動」を主催する。コンテストの試験問題や技術点の評価作業を検討、整備するとともに、審判員チームの建設を強化し、さらに、コンテストに関する専門家バンクも引き続き整備を続ける。国際的技能組織との交流や協力を強化し、早期に国際技能組織に入らなければならない。

    6. 鑑定理論及び技術方法を検討し、宣伝作業を強化する
      職業技能鑑定理論及び技術の検討を強化する。組織展開『中国職業システムの発展』という課題に対する研究を計画して実施し、職業分類理論システムの構築を強化する。技能人材の多元的評価や職業技能鑑定理論システムの研究を実施する。企業技能人材評価、特別職業能力試験、職業中核能力評価に関する問題を研究する。また、職業技能鑑定の宣伝業務を強化する。全システムにおける情報交流メカニズムを構築し、職業技能鑑定サービス、就職及び企業における技能人材の育成や評価の宣伝に重きを置き、労働力市場ネットワーク、国家職業資格作業ネットワークを中心として、職業技能鑑定のテーマの宣伝や日常の宣伝業務を展開する。各地区、各産業においては、補助的な宣伝活動を積極的に展開し、専従者を定めて鑑定作業情報の採集や発送を実施する。

3.3 政府及び関連団体の制度、組織、機能

 中国における職業教育及び訓練は、主に人力資源社会保障部及び教育部によって管理、運営されている。人力資源社会保障部の役割には、訓練計画の展開、政策の進展、研修水準の開発、手順、試験及び評定の基準、ガイドライン等が含まれている。教育部は学校を拠点とした職業と一般学術的な教育について責任を持っている。教育部の調整管轄で運営されている職業教育は、一般的な職業教育と比べて分野が広く実践的とはいえない。職業訓練は主に専門学校で実施されるが、専門学校では、人力資源社会保障部が管轄する職業水準及び資格制度に沿ったプログラムが提供されている。専門学校で実施する長期的職業訓練コースにでは、次の3つのコースが設定されている。

  1. 中等学校の卒業生で、3年間の訓練を修了した者は、中級の国家職業資格である4級を取得する。1、2級は技師レベルとみなされ、3~5級は熟練レベルとみなされる。なお、専門学校でさらに2年間の教育を受けた者には、高級技師の3級が与えられる。
  2. 中等専門学校の卒業生で、3年間の教育訓練を受けた者は、高級技師3級が与えられる。
  3. 高級中等学校の卒業生で、4年間の教育訓練を受けた者は、技師2級が与えられる。

 専門学校は国家経済の進捗とともに誕生し、発展を遂げているが、現在では中国における技能育成の主要な基盤となっている。専門学校の本来の役割は、中級の技能を持つ熟練労働者の育成にあったが、経済の発展に呼応し、高級技術学校、技術学校が創設されたにもかかわらず、専門学校の役割は徐々に中級熟練労働者の育成からより高級熟練労働者、技師、高級技師の育成までに向上している。また、さらに専門学校では、異なる集団を異なる技能レベルの人材に育成するためにさまざまな職業訓練を実施している。2006年5月時点で、中国全土には、532校の主要な専門学校、401校の高級専門学校がある。国家人力資源社会保障部は、専門学校以外でも雇用訓練センター、企業での職業訓練、また、民間職業訓練機関、国内・海外の機関の連携組織等の職業訓練を管轄している。
 雇用訓練センターは、主に実務的な技能及び適応訓練に焦点を当てた職業訓練が実施されており、労働市場の新規参入者、転職者、失業者等が主要な対象であり、それらの人々の就職、再就職を具体化する職業技能の習得が職業訓練の基本となっている。
 企業での職業訓練は、企業自身が提供する施設によって運営されており、訓練センター、労働者のための企業内学校、さまざまなコースがその中に包含されている。企業での職業訓練は、通常、OFF-JT(職場外研修)、時間制訓練、余暇での訓練等の方法が用いられている。
 民間訓練機関は、中国における職業訓練体系の重要な部分を担っており、経済改革後、急速に発展を遂げている。多様な訓練コースは異なった要求を満たし、2003年末時点で約2万の民間訓練機関が存在し、その許容人員は年間600万人となっている。訓練機関の訓練生は、新規労働者、解雇者、出稼ぎ労働者に及んでいる。
 国内・海外の機関が提携して運営している職業訓練機関は、中国国内では中国と海外の教育及び訓練機関が提携して創設された職業訓練機関と見なされ、国民に職業訓練を実施することを目的としている。それらの機関の多くは、IT、言語、経営についての訓練に焦点を絞っている。
 中国労働者教育・職業訓練協会は、人力資源社会保障部と連携して政府と産業界、企業との架け橋となっている。その主要な機能及び責任は、職業教育及び訓練の促進、職業教育及び訓練制度改革の示唆、職業教育及び訓練に関する政策、法令の策定への参画等が挙げられる。
 中国には数多くの産業関連の団体(機械、エネルギー、繊維、建設、物資、石油、航空機、電力等の産業分野の団体)が存在するが、それらの団体は、各産業界の職業教育及び訓練制度の組織化、特別な職業技能の立ち上げ、白書製作、職業技能評価の運営等、重要な役割を果たしている。

3.4 予算と財源

 職業訓練にはさまざまな財源があり、政府予算から拠出される場合、企業から拠出される場合、訓練生自身が支払う場合、社会財政補助による場合、寄付や補助による場合などである。国家規定によると、企業は従業員給与総額の1.5%を従業員の教育に用いなければならず、技術者への技術要求が高い場合や利益が多い場合は、2.5%まで割合を引き上げることができる。また、地方政府の雇用基金や失業保険基金のうち一定の割合(通常は15%)は、就業前訓練や失業者への再訓練に使用しなければならないとも定められている。

表3‐1 就職訓練センターの資金源(2007年)
(単位:億人民元)
財政補助 67,2042.0
職業訓練助成金 1,173,586.8
訓練収入 343,641.1
その他の収入 84,891.9
合 計 2,274,161.8
※出典:
中国統計出版社、「中国労働統計年鑑2008」

 表3‐1を見ると、職業訓練センターへの補助金の多くは政府から拠出されていることがわかる。第11次5カ年計画(2006~10年)によると、中央政府は、職業能力開発の4つの主要プロジェクトに140億元を投じるとのことであり、次の内容が含まれている。

  1. 模範職業学校設立プロジェクト
    20億元を投じ、優れた職業学校を100校設立して、職業教育や職業訓練における範を示す存在とする。これは中央の財政が高等職業教育に初めて投じる巨額投資である。
  2. 実践訓練施設設立プロジェクト
    20億元を投じ、2,000カ所の訓練施設を設立して、職業訓練と職業能力鑑定機能を完備する。
  3. 県級の職業教育センター設立プロジェクト
    1,000カ所の県級職業教育センターを設立する。
  4. 模範高等職業学校設立及び教師の資質向上プロジェクト
    20億元を投じ、中心となる20万人の教師に訓練を実施する。また、中央政府は貧困家庭出身の400万人の学生に対し、職業教育を受けられるよう支援する。政府は、学生が、実践的で産業のニーズにマッチした職業訓練コースを受講することを奨励する。

 2009年の国務院の「職業教育の改革並びに発展状況に関する報告」によると、2003年から2008年の間に中央財政は累計で約100億元の資金を投じ、1,396カ所の職業教育実習訓練施設、2,200校の県級職業教育センターや模範中等職業学校、100校の国家模範高等職業技術学院の建設を重点的に支援した。また、「中等職業学校教師資質向上計画」を立て、実行した。2006年から2009年には、さらに180億元以上を投じ、貧困家庭出身者への職業教育を支援した。政府補助を受けている中級技術学校の学生は90%に達している一方、補助を受けている高等技術学校や大学の学生は20%に留まっている。
 中央政府の予算以外に、補助金の大部分は地方政府から拠出されている。例えば、2006年から2009年までに、貧困家庭出身の学生が職業教育を受けるために地方政府が拠出した補助金は220億元を超えている。職業訓練助成金政策を打ち出している地方政府もある。北京市を例にとると、2009年4月、北京市人力資源社会保障局並びに北京市財政局は、北京市職業訓練補助管理弁法を公布した。その主たる内容は次のとおりである。

  • 職業訓練補助とは、資格条件を備え、かつ市が認定した訓練機関が、北京市都市部失業者及び農村移転就職労働力に対し無料で職業訓練を行う場合に支給する補助金を指す。職業訓練補助は、失業保険基金から拠出する。
  • 北京市都市部失業者求職証あるいは北京市農村労働力移転就業証を取得した者は、自身の条件や就職希望に基づき、無料で技能訓練や起業訓練に参加することができる。
  • 職業訓練補助には、職業指導訓練補助、職業技能訓練補助、職業技能鑑定補助、起業訓練補助が含まれる。起業訓練補助は、職業技能訓練補助や職業技能鑑定補助と重複して受けることはできない。
  • 職業技能訓練補助は、実際の訓練人数に応じて、1,100元/人の基準で給付される。具体的な補助基準は「北京市職業技能訓練職業(職種)補助基準目録」に準ずる。訓練合格率が90%に達し、就職率が60%に達する訓練機関は、補助金の全額を受けることができ、訓練合格率90%未満、あるいは就職率60%未満の場合は、補助金の60%が支給される。
  • 職業指導訓練補助は、実際の訓練人数に基づき、20元/人が支給される。
  • 職業技能鑑定補助は、市人力資源社会保障部門、価格管理部門が規定する費用徴収基準に基づき、職業技能鑑定に参加する実際の人数に応じて全額が補助される。
  • 起業訓練補助は、訓練クラスの実際の訓練人数に応じて、2,400元/人の基準により2段階にわけて申請、補助を実施する。訓練合格率が80%に達した場合(「起業訓練合格証書」に準ずる)、補助基準の40%を支給する。訓練合格率が80%未満の場合、補助基準の20%を支給する。訓練後1年以内に、継続調査並びに開業指導を通じて、起業成功率が30%に達した場合(訓練後に取得した営業許可証に準ずる)、補助基準の60%を支給する。起業成功率が30%未満の場合、補助基準の20%を支給する。
  • 職業訓練補助基準は、市人力資源社会保障局、市財政局が、物価水準やコストに基づいて相応に調整し、定期的に公布する。

3.5 外国・国際機関からの援助

 中国の改革及び市場開放の展開に伴い、諸外国、国際機関からの支援が進められており、中国は具体的に職業教育の分野についての国際協力及び交流に関与している。近年、政府は職業教育が良好に発展している諸外国に使節団を派遣しており、海外の職業教育の使節団を受入れると同時に海外の専門家を招聘し、中国において講演を行っている。また、同時に政府は世界銀行、ILO、EU、ほかの国際機関との接触を増加させており、中国と他国との二国間協力及び交流は急激に増加している。

  1. 世界銀行との協力
     近年、世界銀行と3つの協力プロジェジェクトを運営している。中国の国営企業改革の取り組みを援助し、世界銀行は1995年から国営企業の構造再構築及び労動者の流動性を支援する投資の個別作業及び財務面等を通じて援助活動を実施しているが、プロジェクトの目指すものは次のとおりである。
    • 労働市場の機能化を進め、労働者の流動性を促進させる政策、法的な改革の推進
    • 企業及び国営企業での余剰労動者、失業者、出稼ぎ労働者への転進の支援を提供する労働市場の運営及び管理の許容力の改善
    • 国営企業の余剰労働者、失業者、出稼ぎ労働者の生産性及び流動性の向上させるため、組織の改革を支援し、効果的な訓練を実施する

     職業訓練の促進に関連して、計画の効果性を高める組織能力の確立、職業訓練のすべてのシステムの効果的な管理を支援するために3,310万米ドルが使用されている。徳陽市、武漢市、維坊市では、市の管轄地域での訓練プログラム策定及び調整させるために、VTCCs(Vocational Training Coordination Commissions:職業訓練調整委員会)を創設することを市の条例として制定している。VTCCsのメンバーには、雇用者、労働者、関連する政府諸機関の関係者が含まれている。国家レベルでは、VSTGC(Vocational Skill Testing Guidance Center:国家職業技能評価指導センター)がこのプロジェクトを支援しており、職業技能水準を定着させるための能力開発の専門家及び基金を提供している。世界銀行の支援を受けた通信制学習プロジェクトは2001年に開始され、寧夏自治区における技術者向けの訓練に見られるように、世界銀行はハードウェア及び技術水準を提供している。同時に寧夏自治区の周辺地域の省からの訓練機関の職員は訓練を計画し、通信制教育で教えている。寧夏自治区の経験に基づき、中国西部地域の職業訓練の促進を目的として、この地域の貴州、昆明、その他8都市等で追跡調査プログラムが開始され、通信制教育センターが創設されている。また、世界銀行、ほかの国際機関からのコースを除いても、中国西部地域の通信制教育センターでは、ますます多くのコースが計画され、具体的に実施されている。2007年度版の世界銀行の「1億5千万人の出稼ぎ労働者の流動化対策について」の報告書によれば、出稼ぎ労働者の技能向上及び雇用プロジェクト(5,000万米ドル)は、この巨大な人口の変動という中国の試みを支援するために開始されるとしている。
     世界銀行は、寧夏、山東省、安徽省及び自治区、労働社会保障部と連携して出稼ぎ労働者の技能発展プログラムを向上させている。そのほかの事項については、世界銀行は雇用者と訓練機関との連携を強化させることを図るとともに、出稼ぎ労働者の要求に対応した技能就業サービスを支援しており、それによって、出稼ぎ労働者の都会での就業機会の向上が期待されている。また、そのことによって出稼ぎ労働者の権利意識の増進、必要に応じた法的サービスの利用を支援することが見込まれている。

  2. EUとの協働
     2006年、中国政府は人的資源の発展についてのEUとの協働プロジェクトに調印を行ったが、これはEUが5年間にわたって1,500万ユーロの支援を実施するという内容であった。中国政府とEUとの双方で承認された基盤に立ち、中国とEUとの合弁事業体又は国営企業の管理者と労働者が、品質、安全性、生産性、経理、販売管理の訓練に参加するという内容となっている。

  3. ILOとの協働
     ILOの支援に基づいて、「Start Your Business(SYB)プロジェクト」が2001年に開始され、中国全土50以上の都市を網羅し、その対象訓練者は63万人に及んでいる。教材はこのプロジェクトのために中国語版に改定されており、内容としては1)SYBの意識、2)SYBの計画、3)SYBのプログラムを含んでいる。このプロジェクトの研修生の60%は、その後自ら起業しており、200万人の雇用が創出されている。

    表3‐2 SYBプロジェクト(2004~06年)
    研修者数(人) 起業又は自営業
    の修了生数(人)
    起業又は自営業
    の成功率(%)
    2004 407,000 229,000 60.0
    2005 510,000 290,000 61.7
    2006 630,000 347,000 62.9
    ※出典:
    中国鉄道出版社「中国における職業訓練開発レポート2007」
  4.  
  5. 国家及び国際機関との協働
     企業レベルで多くのプロジェクトが存在しているが、1つの事例としてBMW中国株式会社とGTZ(Deutsche Gesellschaft fur Technische Zusammenarbeit:ドイツ技術協力公社)の協働が挙げられる。GTZは国際協力組織であり、主にドイツの連邦経済協力開発省に関する業務を実施している。また、ドイツのほかの省庁、国際機関を代表して欧州評議会、国際連合、世界銀行等の業務を行っており、同様に一般企業の代行も行っている。このプロジェクトは2006年に開始されているが、その目的は技術者と雇用者の職業能力の向上を目指すものである。中国の状況に基づき、ドイツからの教育課程及び教材を紹介することにより、メカトロニクスコースが展開している。また、同時に遼寧省の多数の職業学校の講師を対象として、ドイツからの専門家が訓練課程を実施するプロジェクトも行われている。
     GTZはさまざまな公私提携事業に従事しているが、その他の事例としては、中国西部地域における職業資格及び雇用促進プロジェクトが挙げられる。陜西金針服装有限会社との連携においては、GTZは2005年に銅川地区の失業者訓練のために訓練センターを創設した。無料で受講できるこのプロジェクトの目的は、服飾関連分野での雇用機会を向上させるためであった。対象となる集団は、陜西金針服装有限会社の労働者だけでなく、ほかの服飾生産企業の労働者、起業しようとする者も含まれている。
     上述以外にも雇用促進及び訓練の遼寧省での2005年のプロジェクトがある。BMW中国株式会社、労働社会保障局、山西省発展改革委員会と連携して、GTZは多くの国営企業が閉鎖に追い込まれたような市場経済の変化に伴う地方の失業者問題対策の一助として、職業訓練プログラムを開設している。このプログラムの目的は、地方の自動車産業を支える技術を持つ労働者の供給とともに、熟練労働者を輩出させることである。

3.6 職業能力開発の政策評価

 2008年、中国政府は職業能力開発政策において、特に以下の分野で大きく進展した。

  1. 熟練人材の育成の進歩
     地方政府は中央の指導精神を着実に履行し、高度熟練技術人材の育成強化を図り、措置を講じて熟練人材を育成した。中国では熟練工は1億人を超えているが、2008年には技術者及び中級技術者38万1,400人が追加され、2007年の18.8%増となった。その状況は次のとおりである。

    1. 高度熟練技術人材の育成作業が強化された。高度熟練技術人材育成のために、高級技術学校、技術専門校、大企業などにより、287カ所の国家模範人材育成施設が設立された。東部地区が引き続き改革のリーダーをつとめており、上海、深圳、青島、無錫及びその他の東部地区の都市では、先陣を切って、高度で、模範的で、公共の訓練施設があちこちに設立された。これらの施設は地元産業の発展や政府の投資、社会財政とも密接に関っている。

    2. 一連の国家職業熟練技術競技会が始まった。2008年には、23の国家級競技会と数十の省級競技会が開かれた。1,000万人を超える企業従業員や学生が競技会に参加し、多くの優れた人材が登場した。

    3. 高度熟練技術人材を用いる革新的なメカニズムが実施された。北京市、河北省、江蘇省をはじめとする10以上の省や市において、「主任技術者(チーフ技術者)」や「主任社員(チーフスタッフ)」を設けて、高度熟練技術人材の役割をフルに活用し、学生に技術を伝授する試みが始まった。

    4. 高度熟練技術人材を育成する動機付けの方法が強化された。第1期として400人の高度熟練技術人材が、国務院の許可の下に、2008年の国務院特別手当を受けた。そのうち20人は「全中国熟練技術賞」を受賞し、300人は国家技術専門家の称号を受け、80の単位が人材育成に卓越した貢献をしたことの表彰を受けた。約半数の省で政府の補助金システムが構築され、遼寧省、山東省、青海省なども含まれている。これらの奨励は、いずれも多くの労働者のやる気を大いに喚起するものである。

    5. 補助金が増額された。広東省、江蘇省、内モンゴル自治区、天津市、広西チワン族自治区、海南省、成都市やその他の省や市では、高度熟練技術人材の育成や職業学校への投資を拡充するために、補助金を増額するあらゆる試みが行われた。広東省では、高度熟練技術人材の訓練施設や技術機関の研修センターの設立に対し、第11次5カ年計画の期間中に1億4,000万元を投じる年間財政割当を行った。江蘇省では、行政による一部企業への教育補助や、技術人材育成への投資を実現した。成都市政府は、約10億元を投じ、技術者育成ネットワークを立ち上げた。これにより、学校運営と技術学校との連携強化が大いに進んだ。

  2. 技術学校改革の着実な進捗
     各地の地方政府は、積極的に措置を講じ、技術学校の現状改革を促進した。その状況は次のとおりである。

    1. 技術学校が学生受入れを拡充した。2008年には、3,075校の技術教育機関が161万人の学生を受入れたが、これは前年に比して3万人の増加である。広東省、山東省、江蘇省、山西省、河北省の5省では、10万人以上の受入れを行い、中でも広東省は20万人を超えている。また、江西省、雲南省、安徽省の3省は、30%以上の増加率で上位を占めている。技術学校に通う学生の数は400万人に達しており、各校の平均在学生数は1,300人である。1万人を超える学生を有する「旗艦」機構も顕れ始めた。

    2. 育成レベルが徐々に向上している。中国には485の技術教育機関があり、そのうち50機関は国家人力資源社会保障部(MOHRSS)に記録されている。技術教育機関で学ぶ学生のうち、高等以上の技術課程の学生は102万人に達しており、2007年に比して40%増加している。

    3. 教育機関の学校経営の特徴がさらに顕著になってきた。技術教育機関は、学校教育と企業での生産や実習とを密接に組み合わせるということをコンセプトに掲げ、学校と企業の協力体制の促進に大いに努力している。また、操作技術の訓練実習に注力し、職業能力の育成を強化している。全国における技術教育機関卒業生の平均就職率は96%である。

    4. 技術教育機関が社会訓練の実施における役割を積極的に果たしている。2008年には、前年比5.3%増の400万人に各種の短期、中期訓練コースを設定した。また、就職できなかった大学卒業生の約6万人に技術訓練を施したほか、失業者、職を失った農民工、新興労働力、企業の在職従業員などに対し、継続的に訓練を行っている。

    5. 震災地域への職業訓練を完遂した。2008年5月、四川省、山西省、甘粛省では壊滅的な地震が発生し、被災地には中国全土からさまざまな分野における復興支援が提供された。江蘇省、河北省、北京市など15の省や市の103校の主要技術学校では、被災地の学生2,737人を無条件で受入れ、宿舎を提供し、国務院総理から賞賛された。

  3. 多様な職業技能訓練の進歩
     2008年、中国政府は年頭の計画に従って、610万人に再就職訓練を、81万人に起業訓練を、そして800万人以上の農民工に移転就職訓練を実施した。その状況は次のとおりである。

    1. 起業訓練が積極的に実施され、地方政府は精力的に起業訓練を行った。実践的な訓練の実現を促すために、地方政府は訓練補助基準の改善などを通じて教師の強化を行い、失業者、大学卒業者、都市から地方に戻った農民工のニーズに見合う訓練を計画した。江西省、山西省、吉林省、新疆ウィグル自治区における起業訓練補助の支給基準は、1,000元を超えている。教師の訓練や訓練結果の鑑定の強化を通じて、河南省、黒龍江省、浙江省、寧夏回族自治区では起業訓練において良好な実績をあげている。

    2. 訓練成績に対する政府調達メカニズムが改善された。人力資源社会保障部は2008年12月に就職に対する行政補助規定を規範化して公布し、職業訓練補助の支給対象や支給方法、手順を一層明確にした。また、訓練成績や訓練の適切性、貢献性に対する政府調達メカニズムを完備するための基礎を築いた。

    3. 特別職業訓練プログラムが開始された。2009年初め、人力資源社会保障部は国家発展改革委員会や財政部と共同で、特別訓練プログラムの実施を計画し、国際金融危機の影響を乗り越えることを目標とした。現在、約20の省では既にこの分野での支援の文書や計画が公布されている。プログラムの安定した実現を積極的に推進するために、河北省、河南省、四川省、甘粛省を含む各省では、投入資金を増額して、訓練の目標や対象者を拡充するとともに、訓練や秩序正しい改革の管理を強化している。

    4. 私立の職業訓練学校の発展が標準化されている。2008年、人力資源社会保障部は全国の私立の職業訓練学校に対する監督管理を計画し、実施した。特に関連文書を公布し、私立の職業訓練学校に対する管理強化を要求した。上海市や河南省を含む各省、市では、私立学校に対しネットワーク化された管理を実施することで、発展の調節を行い、訓練の過程や職業訓練の増強に対する監督管理を強化している。

  4. 職業資格証書制度の一層の改善
     2008年、人力資源社会保障部は、さまざまな段階における職業資格制度の改善を続け、職業技能試験を強化した。約1,337万人が職業技能試験を受験し、そのうち1,137万人が資格証書を取得した。その状況は次のとおりである。

    1. 職業資格の整理と標準化の作業が実施された。国務院の要求に基づき、職業資格目録の整理作業が計画され、作成後のリストは国務院への報告を経て、人力資源社会保障部が社会に公布する。

    2. 企業の熟練技術人材鑑定の試験的作業が進められている。2008年、人力資源社会保障部は、企業の熟練技術人材の評価作業を加速する旨の指導意見を公布し、大中企業60社に対し、試験的な作業を実施した。

    3. 職業技能試験の監督管理が強化された。人力資源社会保障部は各級において、効果的な措置を講じ、システムの設計、品質管理システムの構築、試験管理などの分野における職業技能試験の監督を強化するとしている。福建省、重慶市などを含む省や市では、品質管理システムの構築や職業資格証書検索システムの利用を通して、試験の質の監督を強化するとしている。また、人力資源社会保障部は独自に計画した小規模の実験的試験プロジェクトを地方政府に移管し、職業技能試験の標準化を図っている。

  5. 基礎作業の一層の強化
     中央、地方政府のすべての人力資源社会保障部門は、訓練の開発を統制したり、訓練の質を改善することにより、職業技能構築の基礎作業を一層強化するとしている。

    1. 法規や規定の制定作業が加速された。国務院法制弁公室は、職業技能の訓練や試験に関する規定の草案について、関連部門の意見を求めている。

    2. 能力の構築が強化された。2008年、5つの専門分野において約500人の高度熟練教師約500人に対するモデル訓練が実施され、主要な技術教育機関の校長には初めて高等セミナーが開催された。これらの訓練やセミナーは、教師や管理の能力を強化する上で積極的な役割を果たしている。

    3. 教材の開発や教授方法の研究が加速されている。「教材制作のための4つのプロジェクト」が計画され、技術教育機関のための精巧な教材、高度熟練技術人材のための訓練教材、農民工のための訓練教材、教師のための訓練教材の制作に関するプロジェクトが実施されている。高度熟練技術人材については、100種類におよぶ適切な訓練教材の開発や修正が組織されている。メカトロニクスを専攻する高度熟練技術人材の訓練においては、マルチメディアデータベースが利用され、高度熟練技術人材に対する研究が始まっている。

    4. 国家の職業基準や試験問題データバンクを検索システムが良好に作動している。国家職業基準は既に108種類が公布され、職業技能試験の国家試験の問題データバンクも編集されて2008年にはスタートの運びとなった。さらに、新規職業8種類の情報も公開されている。

    5. 情報の管理が強化されている。技術学校の電子登録や情報統計の管理ソフトが開発され、技術学校に対する国家の奨学金政策実施を効果的に管理するツールとして、使用が始まっている。

3.7 職業能力開発の実施概況

 職業訓練関係のさまざまな情報については、下記のウェブサイトから見ることができる。

 最近10年間にわたって専門学校及び職業教育の開発は、大きな課題とされ、訓練者数は大きく減少していると認識されている。最近、政府は職業訓練について多様かつ有効的な手段を用いることに大いに関心を寄せ、それによって次第に状況は変化してきている。労働社会保障部発展統計によれば、2007年末時点で専門学校は2,995校、職業訓練センターは3,173校、民間の職業訓練機関は21万8,111校となっている。教育部の統計によれば、2005年時点で職業教育学校は1万1,611校、1,325万人の訓練生がいるとされている。職業教育及び訓練校の全日制の生徒を除いて、地方労働者、一時帰休者、失業者といった訓練生の大部分は、さまざまな職業訓練機関で訓練を受けている。事例を挙げれば、880万人の出稼ぎ労働者は、政府の財政支援を受けている職業訓練機関において、オーダーメイド方式の訓練を受けており、760万人の訓練生は、2006年末の時点で地方諸都市において雇用されている。民間職業訓練機関に在籍している訓練生と再就業者向けの訓練生数は以下のとおりである。

表3‐3 民間職業訓練機関に在籍している訓練生(2005~06年)(単位:百万人)
  在籍訓練生数 訓練後の就業者数
2005年 8.21 5.56
2006年 9.55 7.46
※出典:
中国鉄道出版社「中国における職業訓練開発レポート2007」

表3‐4 再雇用向けの訓練生数(2004~06年)(単位:百万人)
  訓練生数 再就労者数
2004年 4.95 3.48
2005年 6.10 4.00
2006年 6.45 4.25
※出典:
中国鉄道出版社「中国における職業訓練開発レポート2007」

 一方で、教員、校舎面積、図書館等の施設、教育設備等の不足は新たな問題となってきている。2006年に教育部が実施した調査によれば、教員と生徒の比率は、1:31.7となっており、教育部が定めている1:13.5という基準を大きく上回っている。生徒1人当たりの校舎面積は、教育部の基準を1.3㎡下回る14.89㎡で、図書館の蔵書数は生徒1人当たり26.76冊で、2003年時点での33.77冊を下回っている。教育関連の設備については、2005年の段階では2,330.22人民元の評価とされているが、2003年に行われた同様の調査においては、3,497.34人民元であった。

3.8 公共職業訓練開発機関

 公共の職業訓機関の一例として、広東軽工職業技術学院(GITC)を取り上げる。

3.8.1 目的、組織、施設など

 GITCは1999年に設立された高等職業技術学院で、その前身は1933年創立の「広東省第一職業学校」であり、広東省教育部門により運営されている。同校は、2006年に教育部による高等職業専門学校人材育成業務水準で「優秀」との評価されている。また、2007年には、広東省における模範校になっている。GITCは広州と南海の2つのキャンパスを持ち、総面積は約719万5,300㎡で、そのうち広州キャンパスは約88万2,200㎡である。校舎の建築面積は44万6,000㎡で、学習用機械設備の総額は9,662万人民元となっている。実習実験室の総面積は12億5,000万㎡であり、実験室が145、校内実習施設が18、校外実習施設が650ある。
 GITCは高等職業教育の発展、地方経済への貢献、社会発展の促進を目標とし、軽工業を主として数々のコースを設定している。全部で13の学部学院(技術設計学院、コンピュータ学部、軽工業学部、コミュニケーション学部、食品生物学部、工作機械学部、管理学部、経済学部、観光学部、応用外国語学部、電子通信学部、自動車学部、教育学院)、68の専攻を有している。
 GITCは企業と合作して設立した香港唐宮ホテル管理学院など、18のサービス訓練機関を持っているほか、企業と合作して設立した東莞威特隆物流設備研究所など11の技術サービス機関を持っている。また多くの著名企業に対し、オーダーメイド形式の人材育成も実施している。さらに、イギリス、ドイツ、オーストラリア、インド、香港などの国や地域との交流や合作を模索している。

3.8.2 主要教材、予算と財源、訓練コース、訓練方法

 教材には原材料、消費材、プラントや設備メンテナンス用の部品などがあり、それぞれのコースで使用される。過去3年間には合計263種類の高等職業教育用教科書及び参考書を出版しており、そのうち21種類は、国家の第11次5カ年計画の中心となる教科書に選ばれている。
 主要財源は広東省政府の財政部である。学生からも費用を徴収するが、その額は広東省物価局の認可を受け、学部ごとに異なる。2009年における学部別年間費用(学生から徴収する費用)は、社会科学系が5,000元、技術及び外国語系が6,000元、芸術設計系が1万500元となっている。さらに、特別な専攻においては費用が高く、例えば物流輸送は1万2,000元、ビジネス英語(国際ビジネスマネジメントを含む)は1万3,800元である。このほか、学生は寮費として年間1,300元を払わなければならない。
 また、GITCは企業や公的機関からの費用拠出を受けた調査プロジェクトも実施しており、一例としては、広州造紙股份有限公司と協力して始めた1,500万元の技術革新プロジェクトが挙げられる。

3.8.3 代表的なカリキュラムとその開発方法、教材とその開発方法、指導員、訓練生の募集、訓練生に対する優遇措置

 GITCには68の専攻があり、各専攻には複数のカリキュラムが設定されている。その一部を表3‐5で紹介する。詳細はGITCのウェブサイト(http://zsb.gdqy.edu.cn/)を参照。

表3‐5 GITCのコース
主要訓練コース カリキュラム 主要訓練コース カリキュラム
広告デザイン
(芸術設計学院)
CAD 工業分析及び検査(軽工業学部) 化学分析
グラフィック創造 計器分析
広告コピーライター 微生物の検査技術
伝統的装飾デザイン 残留薬物の検査技術
広告デザインの指導 軽工業製品の検査技術
広告のケーススタディ 製品基準
広告メディア操作の実践 製品の品質と安全
広告プランニング 有機化学
広告デザイン 計算機応用基礎
包装、装飾デザイン 出版及び発行
(コミュニケーション学部)
編集の理論と実践
標識、VI デザイン 既刊物の編集と発行
デジタル制御技術(コンピュータ学部) 機械製図及びコンピュータ製図 出版と発行の基礎
機械設計の基礎 電子出版技術
機械製造技術 マーケティング
コンピュータ補助設計 出版物の市場調査
デジタル制御機械 出版物の宣伝、販売促進
金型 CAD/CAM 出版のマネジメント
電気技術 出版の法律法規
センサー及び測定技術 印刷及びメディアテクノロジー概論
工作機械の電気制御及びPLC 書籍の装丁とレイアウトデザイン
デジタル制御工作機械の実践訓練 物流管理
(経営学部)
物流管理の基礎
自動車製造技術(自動車学部) 機械製図 倉庫保管と配送の管理
エンジニアリングの基礎 物流輸送の技術と実務
電気技術 サプライチェーンの管理
電子技術 第三者物流管理
エンジの原理及び自動車理論 配送センターの運行管理
自動車入門 国際貨物輸送ビジネスと通関実務
エンジンの構造とメンテナンス 物流システムの計画
シャーシの構造とメンテナンス 物流技術
自動車の電気機器とステレオシステム 近代的物流装備及び技術
自動車の空調 ERPの原理と応用
自動車の電子制御技術 物流コストの管理
自動車改造技術の基礎 物流専用英語
自動車の測定試験技術 物流の法律法規
自動車整備会社のマネジメント 物流の経済地理
自動車部品の知識 チェーン店舗経営と配送管理
自動車修理 Eコマースとネット販売
  国際貿易の原理と応用
※注
GITCでは、短期研修用コースも用意している。

  1. カリキュラム
     GITCにおけるカリキュラムは、主として国家人力資源社会保障部に属する中国就職及び技術訓練機関(CETTIC)が、貿易委員会(特に産業や学術機関の専門家)の協力を受けて作成している。また、GITCは、技術のプロセスや生産設備、企業の規模に応じて、その需要に見合うカリキュラムの開発も行っている。現在、GITCは4つの国家級高級品質課程と11の省級高級品質課程を有している。

  2. 教材
     CETTICは、技術学校や専門家に対する教材開発を実施している。基本的に指導教本を含む教材で貿易実務、貿易理論及び試験をカバーしているほか、上述のように、GITC独自で発行している教科書や参考書もある。

  3. 教師
     GITCには現在全日制在学生が1万6,520人おり、教職員は1,116人、専任教師は803人である。専門別教師のうち、企業での勤務経験がある者は全体の51.1%を占めている。また、高級教師は専任教師総数の36.16%を占め、博士以上の学位を有する教師は青年教師総数の56.1%を占めている。GITCはテクノロジーと人材育成を結合させ、民間企業からも兼職講師を招聘している。

  4. 訓練生の募集
     訓練生は2つのグループに分類され、1つは高校を卒業し、学位免状を取得できる長期間の訓練を受ける者のグループである。このグループの訓練生は、国家大学入試試験を受け、合格ラインを超えていなければならず、かつ、訓練コースに入る前には厳しい健康チェックを受けなければならない。このグループの訓練は、9月にスタートする。もう1つのグループは、前者の学術分野とは異なり、社会人訓練生として参加する短期訓練である。GITCは、2007~08年の教育年度において約1万9,000人の社会人訓練生を受入れている。社会人訓練生は、新聞やウェブサイトを見て、あるいは公的な就職サービスセンターから紹介されて、応募してくるとのことである。

  5. 訓練生に対する助成金
     中央政府が第11次5カ年計画(2006~10年)で職業教育及び訓練に対する予算を引き上げたことから、職業訓練校に在籍する全日制の学生はすべて、第1及び第2学年において2,000元/人の政府補助金を受けることができる。3年目になると、主要な資金源は実習となる。貧困ラインを下回る家庭の学生には、4,000元/年が補助される。また、優秀な学生は、大学の奨学金を受けることができる。このほか、貧困家庭出身者には、学校が学生ローンの申請を助けることもある。

  6. 就職支援
     GITCに設置されたキャリア支援オフィスは、『就職政策の宣伝、就職ガイダンスの実施、市場需要の情報収集、卒業生就職イベントの開催、卒業生就職状況の調査の実施』など、学校全体の学生の就職やキャリア開発について、指導や支援を担当している。2006、2007、 2008年の全卒業生の就職率は、それぞれ99.46%、99.49%、99.52%であった。詳細はウェブサイト(http://jyzx.gdqy.edu.cn/)を参照のこと。

3.8.4 修了生の取得資格、修了生へのアフターケア、修了生の就職状況

  1. 資格の取得
     3年間の訓練を受け、職業資格の判定に合格すると、学歴証書と職業資格証書の両方を取得することができる。

  2. 修了生へのアフターケア
     GITCキャリア支援オフィスでは、修了生に対する就職支援を行っている。近年、技術者に対する高い需要から、GITC卒業生の就職率はほぼ100%を維持しており、2年生の時点で既に雇用者との間に雇用契約を締結し、卒業と同時当該工場/企業に勤務する者もいる。一般的にいえば、ここ数年におけるGITCの就職は楽観的である。

  3. 卒業生の進路
     GITC卒業生の追跡調査は行われておらず、進路の統計も取られていないが、学校側が知りえた限りによると、卒業生の多くは企業と契約を締結して働いており、企業には著名企業が何社も含まれているとのことである。

3.9 民間企業が行う職業訓練への支援体制

 中外合作による職業訓練開発を促進するために、2006年、労働社会保障部は「中外合作職業技能訓練学校設立管理弁法」を公布した。ここでは、中外合作職業技能訓練学校に入学した学生は、国家により許可された職業技能試験機関を経て、国家職業資格証書に相当する証書を獲得すると規定している。同弁法は7章61条からなり、2006年10月1日より施行されている。
 同弁法は、「国家は、経済発展や労働力市場の技能労働者に対する需要並びに特徴に基づき、国外の先進技術、先進的な訓練方法を有する質の良い職業技能訓練資源の導入を奨励する。国家は、国内の新興職業分野や喫緊に需要のある高技能を必要とする職業分野における中外合作の学校設立を奨励する。中外合作職業技能訓練機関は、法律法規の規定に基づき、国家が民間学校に与える補助や奨励政策を享受することができる」と規定している。
 また、中外合作職業技能訓練機関の設立に、いくつかの特別な基準、例えば、1)校長あるいは主要行政責任者は中国国籍を有し、中国国内に定住しており、大学本科以上の学歴あるいは高級専門技術職務任職資格、高級以上の国家職業資格を有していること、2)5,000冊以上の図書資料と必要な閲覧場所を有していること、3)投入する設立資金は、設立する学校のレベルや規模に適した額であり、固定資産50万元以上を有し、登録資本金は50万元以上であり、安定した経費財源を有していること、4)専従教師の人数が教師総数の3分の1を下回らないこと、などを定め、さらに、次のように規定している。

  • 中外合作職業技能訓練機関の設立は、省、自治区、直轄市の政府労働社会保障部門により審査承認を受ける。中外合作学校の設立者は、合作契約に基づき、期限どおりに満額の設立資金を出資しなければならない。
  • 中外合作職業技能訓練機関が存続している期間中は、中外合作学校設立者は設立資金を回収したり、設立経費を流用したりしてはならない。中外合作職業技能訓練学校設立基金の残額は、引き続き教育活動や学習条件の改善に用いなければならない。
  • 中外合作職業技能訓練学校の費用徴収項目やその基準は、価格設定に関する国家規定に基づいて確定し、公表しなければならない。
  • 中外合作職業技能訓練学校が、無許可で費用徴収項目を増やしたり、徴収基準を引き上げたりした場合、労働保障行政部門が当該学校の中国側の教育機構に対し、過剰に徴収した費用を返還するよう命令するとともに、価格主管部門が、関連の法律や行政法規の規定に基づき処罰を科す。
  • 中外合作職業技能訓練学校が虚偽の生徒募集規則を公表したり、虚偽生徒募集広告を出したり、金銭を詐取した場合、労働保障行政部門が当該学校の中国側の教育機構に対し、徴収した費用を返還するよう命令するとともに、違法所得を没収し、さらに、違法所得の3倍以下で、総額3万元以下の罰金を科す。
    また、中外合作職業技能訓練機関の組織や活動については、次のように規定している。
  • 中外合作職業技能訓練機関は、学籍や学習指導の管理、教師の管理、学生の管理、衛生安全の管理、設備の管理、財務資産の管理等の各項制度を制定しなければならない。
  • 中外合作職業技能訓練機関は、「中外合作学校設立条例」の規定に基づき理事会、董事会を設立し、専従の校長あるいは主要行政責任者を選任しなければならない。校長あるいは主要行政責任者は、法に基づき独立して教育指導や行政管理を行う職権を有する。
  • 中外合作職業技能訓練機関は、大学本科以上の学歴並びに一定の外国語コミュニケーション能力を有し、中級以上の専門技術職務任職資格を有する専従学習指導管理人員を配備しなければならない。
  • 中外合作職業技能訓練機関及び学校設立プロジェクトは、生徒募集規則あるいは訓練生との間に締結した訓練契約に基づき、相応のカリキュラムを開設し、職業技能訓練を実施し、その訓練の質を保証しなければならない。
  • 中外合作職業技能訓練機関及び学校設立プロジェクトは、国家の関連規定に基づき訓練証書あるいは修業証書を発行しなければならない。職業技能訓練を受けた学生は、政府が批准する職業技能鑑定機構による鑑定に合格した場合、国家関連規定に基づき相応の国家職業資格証書を取得することができる。
  • 中外合作職業技能訓練機関は、法に基づき本機構の資産を自主管理し、使用するが、公益事業に基づき取得した土地、校舎等の資産の用途を変更してはならない。
  • 中外合作職業技能訓練学校設立プロジェクトに携る中国の教育機構は、法に基づき中外合作職業技能訓練学校設立プロジェクトの財務管理を行うものとし、学校の財務口座には中外合作職業技能訓練学校設立プロジェクトの専用項目を設置し、収支業務を統一して取り扱わなければならない。
  • 中外合作職業技能訓練機関及び学校設立プロジェクトは、営利性の経営活動に従事してはならない。

参考文献

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