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カンボジア

更新年月日:2008年1月18日

雇用労働関係法令

1.1 雇用労働関連法令一覧

カンボジアにおける雇用と労働は、カンボジア憲法、労働法、行政規則、習慣法、国際法などにより規定されている。以下の法令は、雇用と労働に関する法律の主要な規定を紹介するものである。また、社会経済発展の変化に合わせ、規定は随時修正されることがあるので注意が必要である。

  1. カンボジア王国憲法(1993年)
  2. 法令
    1. 入国管理法(1994年)
    2. 労働法(1997年)
    3. 労働者社会保障法(2002年)
    4. 労働法139条、144条修正法(2007年6月8日)
  3. 行政規則
    1. 第57号 閣僚会議令 「カンボジア人労働力の国外送出」1995年7月20日
    2. 第75号 閣僚会議令 「非移民外国人のカンボジア入国、出国、滞在を許可する手順」1999年8月20日
    3. 第70号 閣僚会議令 「カンボジア労働力の国外送出及び訓練に責任を負う機関の設立」2006年7月25日
    4. 第651号 閣僚会議令 「カンボジア労働力の国外送出及び訓練に責任を負う機関の構成員」2006年9月20日
    5. 第555号 内務省大臣令 「外国人居住許可の管理」1995年11月14日
    6. 第100号 労働大臣令 「休日の延期」 2002年4月11日
    7. 第267号 労働大臣令「特別休暇」2001年10月11日
    8. 第80号 労働大臣令 「時間外労働」1999年3月1日
    9. 第10号 労働大臣令 「有給祝日手当」1999年2月4日
    10. 第144号 労働大臣令 「夜間の年少者の雇用禁止」2002年6月10日
    11. 第106号 労働大臣令 「年少者の危険な作業場での雇用禁止」2004年4月26日
    12. 第287号 労働大臣令 「労働協約の登録、発行、監視に関する手順」 2001年11月5日
    13. 第305号 労働大臣令
      「企業レベルでの労働者代表団体組織の結成及び団体協約作成のための団体交渉の権利」2001年11月22日
    14. 第021号 労働職業訓練省大臣令 「専門組織の登録」 2006年2月15日
    15. 第318号 労働大臣令 「個人の労働争議解決の手順」 2001年11月29日
    16. 第317号 労働大臣令 「団体労働争議の解決手順」 2001年11月29日
    17. 第099号 労働大臣令 「裁定委員会」 2004年4月21日
    18. 第099号 労働職業訓練省大臣令 「裁定委員会の任命」 2006年5月11日
    19. 第243号 労働大臣令 「労働災害と障害への補償の通達」 2002年9月10日
    20. 第26号 労働大臣令 「雇用に関する通達」 2000年12月27日
    21. 第413号 労働大臣令 「外国人労働者に対する労働許可と雇用カード」 2005年3月23日
    22. 第56号共同大臣令 労働大臣令 「労働許可と雇用カード発行の手数料」 2001年3月20日
    23. 第161号 労働大臣令 「外国人の雇用」 2001年7月16日
    24. 第206号 労働職業訓練大臣令 「有給祝日」2007年8月22日
    25. 第185号 労働職業訓練省通達 「夜間労働賃金」2007年8月14日
    26. 第14号 労働省通達 「企業と組織に対する就業規則の適用」 2002年8月16日
  4. 国際法
    1. ILO's Convention No. 29 concerning Forced or Compulsory Labor (1930) ratified by Cambodia on February 24, 1969
    2. ILO"s Convention No. 87 concerning Freedom of Association and Protection of the Right to Organize and Collective Bargaining(1948) ratified by Cambodia on August 23, 1999
    3. ILO"s Convention No. 98 concerning Right to Organize and Collective Bargaining(1949) ratified by Cambodia on August 23, 1999
    4. ILO"s Convention No. 100 concerning Equal Remuneration for Men and Women Workers for Work of Equal Value(1953) ratified by Cambodia on August 23, 1999
    5. ILO"s Convention No. 105 concerning Abolition of Forced Labor(1957) ratified by Cambodia on August 23, 1999
    6. ILO"s Convention No. 111 concerning Discrimination(Employment and Occupation)(1958) ratified by Cambodia on August 23, 1999
    7. ILO"s Convention No. 138 concerning Minimum Age(1973) ratified by Cambodia on August 23, 1999
    8. ILO"s Convention No. 182 concerning the Prohibition and Immediate Action for the Elimination of the Worst Forms of Child Labor ratified by Cambodia on October 24, 2005
    9. United Nations' Convention concerning Elimination of All Forms of Discrimination Against Women(ratified by Cambodia on October 17, 1980)

1.2 労働基準関係法令

1.2.1 労働契約(労働契約、雇用期間等の規定)

労働法 第65条では、雇用者と被雇用者の雇用関係である労働契約について規定されている。労働法は、労働法に従わなければならないすべての労働者の労働契約を規定するものである。労働契約における最低限の規定であり、雇用者は労働法に規定された水準の報酬を労働者に与え、労働者を保護することが重要とされる。

  1. 口頭契約と書面契約
    第65条によれば、労働契約は書面か口頭のいずれかで結ばれる。書面での契約は、地域の習慣に従って作成して署名することができ、必要であれば無料で登記が行える。口頭での契約は、明確に定義されていないとしても、就業規則で決められた条件での雇用者と被雇用者との暗黙の合意であると見なされる。
    このように労働者を雇用する際、労働法では口頭契約及び書面契約が認められてはいるが、実質的には書面での労働契約締結が強く推奨されている。
  2. 労働契約の分類
    労働法では、被雇用者の業務内容や勤務時間によって、労働契約の形態や労働契約終了に関してさまざまな規定をしている。
    第66条によれば、だれもが期間限定、あるいは無限期で時間を基準に雇用される。そして、以下の2種類の労働契約形態がある。
    1. 有期労働契約
    2. 無期労働契約
  3. 有期労働契約
    労働法 第67条は労働契約について規定している。有期労働契約とされるためには、労働契約を結ぶ際、以下の条件を満たさなければならない。
    1. 書面による契約であること。(日雇い労働者、パートタイム労働者に関する例外あり)
    2. 2年以内の契約であること。
    3. 正確な契約開始日と終了日が契約書に記載されていること。

    しかし、第67条第3項によれば、契約開始日と終了日を特定の日と明記せずにそれらの期日を決める方法もあり、次のような場合には、労働者は正確な契約終了日を知らされなくても良いことになっている。

    1. 一時休暇を取得した労働者の補充としての雇用の場合
    2. 季節労働
    3. 突発的に発生した作業への雇用
    4. 企業による不定期に生じる作業への雇用

    日雇い、パートタイムでの労働契約など、日ごとや週ごとで賃金を受け取る短期間労働は、契約終了日を明記しなくてもよい有期労働契約であるとされる。(第67条 第6項)
    有期労働契約は、何度でも更新することができるが、更新した契約は最長でも2年を超えてはならない。この規定に違反した場合、その契約は無期労働契約とされる。(第67条 第2項)
    有期労働契約の終了に関して、カンボジア王国労働法は、契約法の一般原則と少し異なり、被雇用者への雇用者による契約終了の通知義務を規定している。有期労働契約に特定された終了日に関して、第73条 第5項によれば、雇用者は、被雇用者に対して契約終了日までに契約更新を行わないことを通知しなければならない。契約終了と更新を行わないことを通知することで、労働者に新たな就職先を探す時間を与えるものである。加えて、第5項によれば、雇用者が規定どおりに通知を行わない場合、契約は最初の契約期間と等しい期間の契約で自動的に更新されるか、または、もとの有期労働契約とその後の更新された契約の合計期間が2年以上である場合、無限期間契約となる。必ず雇用主が、契約の更新を行わない旨を被雇用者に通知しなくてはならない。

  4. 無期労働契約
    無期労働契約は、契約時に意図的に、あるいは、意図せずに契約時や契約中に有期労働契約が無期労働契約に変更されることで結ばれる。
    有期労働契約は、以下の3つの条件により無限期間契約に変更される。
    1. 有期労働契約が書面で結ばれておらず、無期労働契約となる場合
      (第67条 第7項)
    2. 有期労働契約期間が2年以上で結ばれており、無期労働契約となる場合(第67条 第2項)
    3. 2年以内の有期労働契約が終了後も暗黙のうちに業務が引き続き行われ、契約が無期労働契約となる場合(第67条 第8項)
    有期労働契約終了後に、無期労働契約に移行する場合、労働者の雇用年数は、両方の契約期間を含める。(第73条 第7項)。

1.2.2 解雇規定

  1. 有期労働契約の終了
    有期労働契約は、契約に明記された終了日に終了する。(前述の通知義務を怠った場合を除く。)しかし、契約者のいずれかにより、有期労働契約終了日前に契約解除を決定することができる。第73条は、早期契約解除の法的根拠について規定している。一方の契約者がこうした法的根拠なしに契約解除することは契約違反であり、違反していない側が損害補償を受ける権利を持つ。
    第73条により規定された早期契約解除の法的根拠とは、次の3つである。
    1. 両者が早期契約解除に合意した場合。
    2. 契約者のいずれかによる深刻な不正があった場合。
    3. 不可抗力による場合。
    雇用者及び被雇用者の双方が合意すれば、契約終了日前に契約を解除することができ、契約解除により損害が生じた場合でも、損害を補償する必要はない。この場合は、書面での合意が必要で、労働監査官が証人となり両者により署名されなければならない。(第73条 第1項)
    雇用者又は被雇用者のいずれかに重大な過失があった場合、有期労働契約を解除することができる。過失がなかった側は、法的に契約解除することが認められる。過失をおかした側は、契約不履行に対する損害を補償しなければならない。労働法 第83条では、雇用者側の重大な過失の例を次のように規定している。
    1. 被雇用者が理解すれば契約しないだろうと考えられる状況で、契約書に署名するようにそそのかすための詐欺的な行為
    2. 賃金の全部もしくは一部の支払い拒否
    3. 繰り返される賃金支払いの遅れ
    4. 暴言、脅迫、暴力、暴行
    5. 労働者に十分な作業を提供できないこと
    6. 法律で要求されている職場での安全衛生措置の欠如
    労働者側には、以下の重大な過失事例がある。
    1. 窃盗、横領、着服
    2. 採用時や雇用期間中の詐欺行為(例えば、偽の身分証明の提示、労働妨害、労働契約履行拒否、機密漏えいなど)
    3. 規律や、安全衛生に関する規則への重大な違反
    4. 雇用者や他の労働者への脅迫、暴言、暴行
    5. ほかの労働者が重大な違反をするよう扇動すること
    6. 組織内での政治的活動、宣伝、デモ活動
    その他の有期労働契約の早期解除に法的に認められた理由は、不可抗力である。不可抗力とは、雇用者及び被雇用者のいずれもコントロールできない事象が発生することである。雇用者は、以下の不可抗力が生じた場合、義務を果たす必要はない。
    1. 公的機関による組織の閉鎖
    2. 長期にわたり業務再開ができないほどの物的破壊を引き起こす大災害(洪水、地震、戦争など)
    3. 雇用者の死亡による組織閉鎖(この場合、被雇用者は、契約解除通知期間に等しい賃金の補償を受ける権利を有する)
    被雇用者は、以下の不可抗力が生じた場合、義務を果たす必要はないとされる。
    1. 慢性的な病気、精神疾患、身体障害(この場合も、雇用者は事前契約解除通知の義務を有する)
    2. 入獄
    1. 法的正当性がない場合の雇用者による契約解除
      被雇用者による重大な過失がなく、不可抗力でもない場合で、雇用者が契約満了前に契約解除を希望する場合、被雇用者は契約不履行に関する補償と損害賠償を求める権利を有する。法的正当性なしに被雇用者を解雇する場合、被雇用者は、(1)解雇に関わる賠償、(2)損害賠償、(3)事前通知に代わる補償を受ける権利を有する。
      第89条では、雇用期間に基づき解雇された被雇用者に対して支払われる解雇の際の賠償額に関わるガイドラインを規定している。
      損害に関する第73条 3項の規定によれば、先述の法的に正当な理由で被雇用者の希望により契約を満了以前に終了する場合、被雇用者は、少なくとも契約終了までに受け取ることができる報酬に等しい額を受け取ることができる。加えて、雇用者が事前通知なしで、もしくは事前通知期間を遵守せずに契約解除を望む場合は、雇用者は、被雇用者が契約期間中に受け取ることができる賃金とすべての形態の手当てを支払う義務がある。(第77条)
      逆に、被雇用者が第73条 第1項と第2項で規定された法的正当性なしに被雇用者の希望により契約解除を行う場合、雇用者は、生じる損害に匹敵する補償を行わなければならない(第73条第4項)。
    2. 有期労働契約の退職金
      第73条 第6項によれば、契約が終了した場合、雇用者は、契約期間と賃金に比例した退職金を支払わなければならない。退職金の正確な額は、労働協約により定められる。労働協約で定められていない場合は、退職金額は、少なくとも契約期間中に支払われた賃金の5%としなければならない。
  2. 無期労働契約の終了
    第74条によれば、雇用者が無期労働契約の終了を望む場合、雇用者は正当な理由を持ち、事前通告期間を守らなければならない。第74条 第2項には、雇用者が契約解除できる正当な理由が挙げられている。これらの理由は、仕事に対する労働者の技術や資質、労働者の素行や性格、事業体の活動規定に関するものでなくてはならない。
    第75条によると、事前通知の必要最低期間は、それまでの雇用期間により7日間から3カ月である。雇用者は、契約終了を望むが、事前通知期間を遵守できない場合、労働者に補償する義務がある。しかし、労働者が試用期間中である場合や重大な不正を行った場合、不可抗力が生じた場合は、雇用者は事前通知なしに契約を解除することができる。
    労働者が不正を行っておらず、第86条に示された状況(慢性の病気や投獄など)になく、また不可抗力も発生していない場合で雇用者が無期労働契約の終了を望む場合、雇用者は、事前通告に代わる補償、損害賠償、その他補償からなる額を解雇した労働者に支払わなければならない。第116条によれば、労働契約が終了した場合、賃金とすべての種類の補償については、労働終了後48時間以内に支払いを行わなければならない。有期及び無期労働契約が終了する場合、労働者は、雇用者から雇用証明書を受け取る権利を持つ。要求があった場合、雇用者はこの証明書を発行するか、もしくは労働者への損害を補償しなければならない。(第93条)

1.2.3 賃金、労働時間、休憩、休日、年次有給休暇、時間外及び休日労働、時間外の割増賃金

  1. 賃金
    労働法 第102条によれば、賃金は、現金に転換できる労働とサービスへの報酬として定められ、合意と国家の規定により決められ、すでに行われた労働、もしくはこれから行われる労働に対して雇用者から労働者に与えられる。第103条によれば、「賃金」には、基礎賃金、残業手当、コミッション、賞与、利益分配、祝儀、製品購入時の割引などの対価、法律の規定額を超える家族手当、休日手当、休日手当補償、障害及び出産による離職期間中に労働者へ支払われる金額を含む。
    賃金には、健康保険、法律で定められた家族手当、通勤手当、労働者の作業補助のために特定の労働者に特別に支払われる手当は含まれない。 カンボジアの雇用者は、保証された最低賃金について心得ておく必要がある。第107条によれば、労働省は労働諮問委員会からの諮問を受けて最低賃金を設定する権利を有し、最低賃金は景気動向や物価水準に応じて適宜調整されなければならない。それ故、1997年1月に、労働省(当時、社会保障・労働・退役軍人省と呼ばれていた)は、カンボジア縫製業協会と労働者団体との協議会と共に、1997年3月3日付 第6号社会保障・労働・退役軍人省通達に記されたように、縫製業労働者に対する月当たりの最低賃金を40USドルと決めた。この通達は、2000年7月18日付第17号労働省通達に差し替えられ、縫製業労働者への最低賃金は、月45USドルに引き上げられた。労働省が最低賃金を設定したのは、縫製業のみである。
  2. 労働時間
    労働法 第137条から第143条は、労働時間について規定している。第137条によれば、1日の基本労働時間は8時間であり、週当たりの基本労働時間は48時間である。第138条によれば、雇用者は、1日24時間操業するためのシフト制を採用することができる。この場合、各シフトは1日8時間を超えてはいけない。例えば、24時間操業が必要となるホテルでは、3シフト制とし、第1シフトを午前9時から午後5時、第2シフトは午後5時から午前1時、第3シフトを午前1時から午前9時とすることができる。雇用者は、シフトによっては夜間労働(午後10時から午前5時)となることを考慮に入れなければならず、通常賃金よりも100%増しの賃金が支払われる。
    第138条 第2項によれば、雇用者は、必要があれば労働者の1日の労働時間を午前と午後などで、2回に分割することができる。
  3. 休日
    労働法 第145条から160条は、週当たりの休日に関して規定している。2002年4月11日付「週当たりの休日の延期」に関する第100号労働職業訓練省大臣令では、週当たりの休日に関連した追加的な規定がなされている。
    第147条によれば、週当たりの休暇は、少なくとも24時間連続して与えなければならず、すべての労働者は、原則として日曜日を休日とする。しかし、第148条の規定に従い、通常の休日(日曜日)を変更することができる。すべての社員が日曜日を休日とすることで企業の通常の操業に支障がある場合、以下のいずれかで休日を決めることができる。
    すべての社員が日曜日以外を休日とする。
    日曜日正午から月曜日正午までとする。
    すべての社員が順番に休日を取る、
    このような場合、労働省への認可の申請が必要とされる。
    第145条から第156条は、例外に関する詳細を規定しており、また、第157条から第160条は、例外を実施するために従わなければならない手順を決めている。
    第160条によれば、雇用者は特定の状況において、週当たりの休日を延期することができる。延期するいかなる理由においても、雇用者は労働監査官の許可を得なければならない。2002年4月11日付大臣令第No. 100号労働省は、週当たりの休日の延期に関連した第160条に対する追加的な説明を与えている。
  4. 祝日
    第161条から第165条は、有給で休むことのできる祝日に関して規定している。加えて、労働省は毎年、祝日リストを含む大臣令を発行している。例えば、2006年の祝日に関しては、「有給祝日」に関する2005年12月2日付大臣令第1886号が公布された。労働法と関連する規定の主旨は、企業におけるすべての労働者が、祝日を享受する権利を持ち、同時に、通常の業務日に働いているのと同様、祝日に関しても給与を受け取ることができるというもの。
    祝日が日曜日となる場合は、月曜日が振替休日となることにも気をつけなくてはならない。(第162条)
  5. 年次有給休暇
    年次有給休暇とは、労働者が休息や休暇を取ることができる有給の期間のことである。労働者は、労働法第166条から第170条に規定されているように有給休暇を得る権利を持つ。
    第166条によると、すべての労働者には、最低でも連続する雇用の1カ月に1.5日の割合で雇用者により年次有給休暇が与えられなければならない。つまり雇用者はこの規定以上の有給休暇を与えてもよい。この条文の主旨は、労働者は年間18日の有給休暇を得ることができるということである。(1.5日/月×12カ月=18日/年)
    年次有給休暇日数は、勤務3年間に1日の割合で増加する。(第166条 第4項)もし、同じ会社に4年勤務した場合、年次有給休暇は19日となる。
    第167条 第1項によれば、労働者は1年間勤務した後に有給休暇を利用する権利が発生する。つまり、労働者は、勤務1年目に取得した有給休暇を勤務2年目に利用することができるということである。
    労働者が有給休暇を利用する権利を獲得する前に労働契約が終了した場合、月当たり1.5日で計算された賠償が労働者に対し支払われる。第167 条第3項は、有給休暇放棄に関する合意と有給休暇に替わる補償を決定した団体交渉での合意を無効とする規則を規定している。
    有給祝日と病気休暇は、年間の有給休暇に含まれない。(第166条 第5項)第169条では、労働者が実際に働いていなくとも有給休暇を獲得することができる期間に関して規定している。これらの期間とは、週ごとの休日、有給祝日、病気休暇、産休、事前通知期間を必要な年次休暇、労働者の家族に直接関係する事項が生じた場合に認められる最大7日間の特別休暇、となっている。
    しかし、個人的な理由による特別休暇は、その埋め合わせがされない場合は有給休暇を獲得できるための期間に含まれない。(第169条第3項)
  6. 特別休暇
    第171条は、労働者の特別休暇について規定しており、その第4項を明確にするために、労働省は、2001年10月11日に、「特別休暇」に関する大臣令第267労働省を公布した。
    第171条によれば、雇用者は、被雇用者の家族に直接関係する事象が生じた場合、特別休暇を認める権利を有する。大臣令第267労働省は、雇用者は、7日以内であれば以下の個人的理由をもとに有給で特別休暇を認めることができるとしている。
    1. 被雇用者自身の結婚
    2. 被雇用者の妻の出産
    3. 被雇用者の子どもの結婚
    4. 配偶者、子ども、両親の病気・死亡など
    年次有給休暇日数が残っている場合は、雇用者は年次有給休暇から特別休暇を差し引いてもよい。年次有給休暇日数が残っていなければ、雇用者は特別休暇に相当する時間分を相殺するために労働者に仕事をするよう求めることができる。(大臣令 第267第2条)
    大臣令 第267第3条と第4条によれば、相殺のための仕事は、特別休暇取得後90日以内の通常の業務日に、1日あたりの労働時間が10時間を越えず、週当たり54時間を超えないという条件の元で行われるとしており、通常の時間給により給与が支払われる。
  7. 病気休暇
    労働法のいくつかの条で、病気休暇に関して触れており、労働者は6カ月間の病気休暇を取得する権利を有する。
    例えば、第71条 第3項によれば、医師による診断書がある場合の労働者の病欠は、6カ月に限られるが、復職できるようになるまで延長することもできる。第72条 第3項では、契約期間中に病気休暇を取得している期間も、労働者が勤続年数を加算することができると明確にではないが示唆している。
    雇用者は、病気休暇中の労働者に対して給与を支払う義務はない。しかし、労働省は、企業の内部規定に有給での病気休暇中を含めることを求めている。第22条によれば、8人以上雇用するすべての企業は、企業の内部規則を作成しなければならない。第24条によれば、企業の内部規則は、効力を持つ前に、労働監査官による評価と認可を受けなければならない。実際、労働監査官が企業の内部規則を認可する際に、内部規則に以下の病気休暇に関する規則を含めることを企業に求めている。
    1. 病気にかかった労働者が医師の診断書を提出した場合、企業は、1カ月目は賃金全額を支払う。
    2. 2カ月目と3カ月目は賃金の60%を支払う。4カ月目から6カ月目までは賃金は支払われないが、勤続年数は加算される。労働者が6カ月以上病気休暇で休んだ場合、企業は法律に従い労働者を解雇することができる。
  8. 時間外労働
    第139条は、雇用者が被雇用者に例外的作業や緊急作業のため時間外労働を求めることを認めている。第139条に加えて、労働省は、1999年3月1日に「時間外労働」に関する大臣令第80 労働省を公布した。この指示は、企業が労働者に残業を求める際にとらなければならない手順を規定している。
  9. 休日出勤
    第164条によれば、作業の特性により休日も企業活動を中断することができない場合、労働者に休日出勤を求めることができる。休日出勤を行った労働者は、通常給与に加えて休日出勤手当を受け取ることができる。1994年2月4日付の第10号 労働省大臣令「休日出勤に対する手当」において、休日出勤手当について規定されている。
  10. 時間外手当
    労働法第139条、第144条の解釈の違いにより、数多くの労使紛争が発生したため、この2つの条項は以下のとおり2007年7月20日付の勅令No.NS/RKr/0707/020にて改正された。
    1. 第139条
      例外的、緊急的業務のために労働者が時間外労働を要求された場合、超過分の労働時間については通常の時間給の50%増しで支払われなければならない。もし、時間外労働が夜間(22時?5時)あるいは休日であった場合は100%増しとなる。
    2. 第144条
      この法律において、「夜間」は22時から翌朝5時までの時間帯を含む、連続した11時間のことを指し、「夜間労働」は22時から翌朝5時までの間に行われた労働を指す。通常の夜間労働に対しては30%増しの賃金が支払われる。
      労働職業訓練省は、この2つの新しい概念を明確にするため通達 第185「夜間労働賃金」を2007年8月14日付けで発行した。これにより夜間労働賃金について規定する1999年10月19日付け労働省通達第024号は廃止された。

1.2.4 年少者、女性、労働安全衛生、アウトソーシング(委託業務や派遣労働)

  1. 年少者
    労働法 第172条から第181条は、以下について規定している。
    1. 賃金労働を行うことができる年少者の最低年齢
    2. 若年労働者の労働時間と労働環境
    3. 年少者が就業できる業種
    これらの規定に加えて、労働省は、2002年6月10日付第144号 労働省大臣令「深夜の年少者の雇用禁止」、2004年4月26日付第106号 労働省大臣令「年少者の危険な作業場での雇用禁止」の2つの大臣令を公布した。 さらに、カンボジア王国は、最低年齢に関する協定 第138(1999年8月23日に批准)、(2)若年労働者の最低環境での作業禁止と即時停止に関する協定 第182(2005年10月24日批准)の2つのILO協定を批准した。 以下は、雇用者が年少者の雇用に関して注意を払わなければならない労働法の重要な規定である。
    • 第177条
      • 第1項 賃金労働を行える最低年齢は15歳である。
      • 第2項 健康や安全、道徳を害する職種での最低年齢は、18歳である。この規定の適用を受ける職種は、労働省の大臣令により決められ、労働監督委員会の諮問を受ける。
      • 第3項 上記第2項の規定に関わらず、労働省は、労働監督委員会の諮問の後、十分な指導や職業訓練を条件として、上記の職種においても最低年齢を15歳とすることができる。
      • 第4項 上記第1項の規定に関わらず、12歳から15歳の年少者は、以下の規定に従い雇用されることができる。
        1. 作業が、健康や安全、道徳を害するものでないこと。
        2. 作業が、学校や職業訓練への通学に影響を与えないこと。
    • 第174条
      • 18歳以下の者は、地下の坑道での作業を行うことはできない。
  2. 女性
    カンボジア王国憲法は、労働者としての女性の権利に関する多くの重要な規定を含んでいる。カンボジアも、職場での女性の権利を保護する国際的な協定や条約を認めており、例えば、すべての女性に対する差別の排除に関する条約(The Convention on the Elimination of All Forms of Discrimination against Women:CEDAW)に調印している。CEDAWの原則は、性別による差別が禁じられているカンボジア憲法や労働法に反映されている。
    以下は、女性の作業における権利、等しい報酬の支払い、女性の搾取、出産休暇などに関するカンボジア憲法と労働法の規定である。
    労働法 第12条では、女性の作業における権利に関する性別による差別禁止に関して規定している。
    カンボジア憲法第36条によれば、女性は、「等しい労働に等しい支払い(もしくは、等しい価値の労働に等しい支払い)」を享受する権利を持つ。
    労働法第172条は、女性と若年労働者に対するいかなる性的暴力も禁じている。
    労働法第182条によれば、女性は90日間の出産休暇をとる権利を持ち、雇用者が女性を出産休暇中に解雇することを禁じている。出産休暇の期間中、女性は、賃金の半分に相当する額を雇用者から受け取る権利を持つ。(第183条)
    労働法 第184条から第187条では、女性が授乳と育児のために1日1時間の休息を取る権利を規定している。
  3. 労働安全衛生
    労働法 第8章は、労働者の安全衛生に関して規定しており、家族経営などといった小規模事業をのぞき、すべての雇用者に適用される。
    第299条と第230条によれば、雇用者は、労働者に対して衛生的な作業環境を保つ必要があるとしている。
    • 第299条
      すべての組織と作業場は、衛生的に保たれ、安全衛生基準を満たさなければならず、労働者の健康が保たれる作業環境を維持しなければならない。
    • 第230条
      すべての組織と作業場は、労働者の安全性を保証しなければならない。機械・設備・移動手段・工具・装置は、最も安全な状態で導入・維持されなければならない。工具、装置、機械製品を利用する作業の管理は、労働者の安全性が保障されるように適切に運営されなければならない。
    上記2つの条文は、それらを履行する措置を決定するため、労働省とその他の関係省庁に、必要とされる施設の質・清潔さ・衛生状態・飲食・寮のほかに、可能であれば、作業場・座席配置・空調・労働者の保護装置・防護服・作業場の採光と騒音などの健康事項を含む省指令を発行することを求めている。
    大臣令は、また、転落のリスク・重量物の運搬・危険な機械や装置からの保護・隔離された環境での作業に対する保護措置・液体物質流出のリスク・火災の予防といった安全性に関する内容を含まなければならない。現在までに、労働省は、以下の安全衛生に関する大臣令(Prakas)を発行してきた。
    1. Prakas No. 052 on "Setting up Hygiene Toilet" dated February 10, 2000
    2. Prakas No. 053 on “Work Stations and the Seating Arrangements" dated February 10, 2000
    3. Prakas No. 054 on “Provision of Pure Drinking Water" dated February 10, 2000
    4. Prakas No. 124 on “Moving Heavy Objects Manually" dated June 15, 2001
    5. Prakas No. 125 on “Ventilation and Sanitation at the Work Place" dated June 15, 2001
    6. Prakas No. 138 on “Noise Levels at the Workplace" dated April 22, 2003
    7. Prakas No. 139 on “Work in Confined Area" dated April 22, 2003
    8. Prakas No. 484 on “Light and Lighting" dated December 23, 2003
  4. 労働法 第233条から第237条は、健康及び安全性の監査の規制と手順を規定している。第233条によれば、作業場での安全衛生に関連した規定の実効性を確保するために、労働監査官は、作業場を定期的に訪問しなければならず、安全性の専門家もこうした監査に参加しなければならない。労働監査官は、正式な査察報告が作成される前に、違反のある雇用者に通知しなければならない。この通知は、問題解決の期限を伴った警告を雇用者に対して与え、問題点を解決する機会を与えるものである。しかし、監査官が労働者の安全衛生に対して深刻な影響があると判断した場合、正式な報告書は、通知期間終了を待たずに直ちに報告されなければならない(第234条)。
    第238条から第247条は、雇用者に労働者への労働健康サービスの提供を求めている。例えば、第238条では、雇用者はすべての正規雇用した労働者に対して無償のメディカルケアを提供する責任を有する。雇用者が50人以上雇用する場合、雇用者は、中心的な職場の構内に恒常的な医務室を設置しなければならない(第242条)。また、雇用者は、化学物質にさらされることへの保護やワクチン接種に関連した労働者の支出補填の要求を受ける(第245条)。
  5. アウトソーシング(委託や派遣労働)
    現在、カンボジアでは、アウトソーシングに関わる法律は制定されていない。

1.2.5 就業規則、労働協約

  1. 就業規則
    第22条から第31条は、就業規則の作成手順、内容、懲戒規則及び小企業の就業規則、就業規則の公布に関して規定している。加えて、これらの規定を実行する目的で、労働省は、2002年8月16日に、「企業と組織に対する就業規則の適用」に関する第14号労働省通達を発行した。
  2. 就業規則採用の手順
    労働法 第24条によれば、労働者の代表との協議の後、企業の管理者は、企業開設3カ月以内に就業規則を作成しなければならない。そして、効力を持つ前に、就業規則は労働監査官により承認を受けなければならない。労働監査官は、60日以内に就業規則を承認しなければならない。就業規則の修正は、同様の手順により行われなければならない。(通達 第14号の第6項)
  3. 就業規則の内容
    第23条によれば、就業規則は、労働法の一般規定と労働協約によると規定されており、また、雇用条件、賃金・手当ての計算・支払い、労働時間、休日、通知期間、安全衛生措置、労働者の義務と罰則に関する規定を含まなければならない。通達 第14号は、すべてのこれらの条件を含む就業規則のモデルを提示している。
  4. 就業規則における規律
    規律に関する一般的な就業規則によれば、労働者が遅刻した場合や、健康・安全措置に従わない場合などには、雇用者は、労働者に規律統制を課すことができる。しかし、第26、27、28条によれば、企業が労働規則を準備している場合、すべての雇用者が従わなければならない規律に関連した規定がある。
    第26条によれば、雇用者は、労働者が不正を行ってから15日以内に免職を行うことはできない。労働者が免職により罰せられる深刻な不正を行ったが、雇用者が不正発覚から7日以内に労働者の免職を決定しない場合、雇用者は、その不正に対する労働者の免職権を放棄することになる(第26条第2項)。
    第27条によれば、罰則は、不正の程度に比例的でなければならない。労働監査官は、この程度を管理する権利を持つ。
    第28条は、雇用者が同じ不正に対して罰金と二重の制裁を課すことを禁じている。第28条における「罰金」とは、規定の労働報酬の減額につながる措置を意味する。
  5. 小規模企業の就業規則
    第31条によれば、8人以下の労働者を雇用している小企業・組織は、就業規則を整備する必要はない。小企業・組織が就業規則を整備しない場合、雇用者は労働者の不正の程度に応じて、警告、けん責、6日以内の停職、通知後の解雇、通知なしの解雇などの罰則措置をとることができる。
  6. 就業規則の公布と掲示
    第29条によれば、就業規則は、配布され、そして容易に目にすることができる場所、例えば、作業場などに掲示されなければならず、また、適格に保存されなければならない。
  7. 労働協約
    労働法 第96条から第101条は、「団体労働協約」もしくは「労働協約」と法的に呼ばれる労働協約に関して規定している。法律の規定に加えて、労働省は、2001年11月5日付 第287号 労働省大臣令「労働協約の登録、発行、監視に関する手順」、2001年11月22日付大臣令 第305号 労働省「企業における労働者の代表者と企業レベルでの労働協約を形成するための団体交渉に関する権利」の2つの大臣令を公布した。
    労働法 第96条では、「団体労働協約」又は、「労働協約」とは、(a)雇用者、雇用者集団、雇用者を代表する1つ以上の組織と、(b)被雇用者を代表する1つ以上の労働組合との間の書面による合意のことである。
  8. 労働者の代表
    第96条 第2項(b)によれば、企業・組織内に労働者を代表する労働組合がない場合、労働協約は、雇用者と労働法 第10章第3項の条件により選出された者との間でなされる。
    1つの企業内に複数の労働組合が存在する場合、どの労働組合が労働者を代表する組織であり、雇用者と協議を行う権利を持つかといった問題が生じる。大臣令第305の第6条によれば、労働組合の構成員が他の組合と比べて絶対的に多い組合が、企業における労働者の代表である。
  9. 労働協約により扱われる問題
    第96条から第101条に加えて、労働協約に関連する事項を含んだいくつかの規定がある。例えば、第13条によれば、労働協約は労働法の規定以上に労働者への手当てを支給するよう規定しなければならない。第23条によれば、企業や組織の内部規定には、労働法の規定と労働協約を採用しなければならない。労働協約は、有期労働契約の雇用解除に対する支払いを決定しなければならない。(第73条)
    また、労働協約は、より好ましい有給休暇(第166条)と個人による労働争議と団体労働争議の和解(第301条と第303条)、及び調停が失敗に終わった際に用いられる調停を用いることができる(第309条)。
  10. 労働協約により扱われない項目
    労働協約は、既存の法律及び規制と矛盾しないものとしなければならない。(第98条)
    第129条によれば、労働協約において、労働法で規定されていない賃金引下げを行うことはできない。労働協約は、有給休暇に関する労働者の権利を妨げることはできず、他方、有給休暇買い取りを認めるものである。(第167条)
    第183条によれば、労働協約は、出産休暇や関連する手当てに関する女性の権利を妨げることはできない。
  11. 労働協約の期間
    第96条 第3項は、労働協約とは固定期間あるいは期間を定めないで決められると規定されている。労働協約が固定期間で決められる場合、有効期間は3年以内としなくてはならない。企業内に労働組合がなく、労働者の代表が雇用者と交渉を行う場合、この合意の有効期間は、1年以内である。
  12. 労働協約の終了通知
    第96条によれば、固定期間の労働協約は、一方の当事者が他方の当事者に対して、3カ月前までに通知を行うことで終了することができる。期間を定めない労働協約も終了することができるが、終了を通知してから1年間は適用される。
  13. 労働協約の登録・公布・監視
    大臣令 第287号は、以下のように、労働協約の登録・公布・監視に関するガイドラインを規定している。
    大臣令第287号の第4条は、雇用者もしくは雇用者組織は、労働協約が省で調印された場合は省の労働局、プノンペンで調印された場合は労働監察局において、労働協約、その添付書類及び追加的契約の登録を行わなければならない。
    第5条は、雇用者に、企業のすべての職場に労働協約を掲示することを求めている。
    労働監査官は、店員や企業の管理職への調査や労働者への直接の聞き取りにより労働協約の実施を監視することができる。(第7条)

1.2.6 その他の重要法律の要約

  1. 「工場及び手工業管理法」(2006年6月23日)
    2006年に発令された「工場及び手工業管理法」にも、労働基準に関連した条項がある。例えば、第10条では、工場設立運営にあたり、工場所有者はカンボジア人技術者や専門家を優先しなくてはならないと規定している。加えて同条項では、外国人技術者及び専門家を採用する条件は現行法に準じると規定している。工場の安全性に関しては、同法第24条2項にて、技術的能力のないものは、工場設立に携わってはならないとしている。
    1. 第45条
      第24条に違反した工場所有者は、5百万?2千5百万リエルの罰金が課せられる。
      違反により事故が発生した場合、工場所有者は被害者の損害に対する補償が義務付けられる。その場合、現行法に従い、産業省の担当者が事故に関しての判断を法廷に委ねるものとする。
    2. 第50条
      第10条及び25条に違反した工場所有者は、労働法に従い罰金及び補償金が課せられる。

1.3 労使関係法令

1.3.1 労働組合

カンボジア王国憲法には、労働者の労働組合に関する権利を保証するいくつかの条項がある。労働法 第11章は、企業における労働組合と労働者の代表に関して規定している。さらに、カンボジアは、以下の労働者の権利に関する国際労働機関(ILO)の2つの中心的な条約を批准した。1999年8月23日にカンボジアが批准した1948年の組織の自由と組織化の権利の保護に関する条約(条約第87)と、1949年の組織化の権利と団体交渉に関する条約(条約第98)である。
カンボジア王国憲法 第36条及び第37条は、カンボジア国民の労働組合に関する権利を規定し、保証している。以下は、労働組合の権利に関連した2つの条文の1部である。

  • 第299条
    すべての組織と作業場は、衛生的に保たれ、安全衛生基準を満たさなければならず、労働者の健康が保たれる作業環境を維持しなければならない。
  • 第230条
    すべての組織と作業場は、労働者の安全性を保証しなければならない。機械・設備・移動手段・工具・装置は、最も安全な状態で導入・維持されなければならない。工具、装置、機械製品を利用する作業の管理は、労働者の安全性が保障されるように適切に運営されなければならない。

労働組合の結成の権利、登録、権利と労働組合の保護に関する労働法の規定は、以下のとおりである。

  1. 労働組合結成の権利(第266条及び第267条)
    • 第266条
      被雇用者と雇用者は、差別や優先事項なしに、道徳的関心や物質的関心、学習、権利の保護を目的として、団体もしくは個人的に専門組織を形成する権利を有する。
      労働者の専門組織は、「労働組合」と呼ばれる。
      雇用者の専門組織は、「雇用者組織」と呼ばれる。
      この法では、雇用者と被雇用者双方を含む労働組合・組織の設立は禁止されている。
    • 第267条
      労働組合と雇用者の組織は、法律、公的秩序に違反しない範囲で、法規と管理規則を作成し、代表者を自由に選ぶことができる。
  2. 労働組合の登録
    労働法 第268条によれば、労働組合は、法律で規定された権利と便益を享受するために労働省に組合の法規と管理と運営の責任者のリストを提出しなければならず、提出後2カ月以内に労働省から連絡がない場合は、労働組合は登録されたものとみなされる。
    2006年2月15日付 第021号 労働職業訓練省大臣令「専門組織の登録」は、登録の必要条件と手順を明確にしている。
  3. 労働組合の権利
    第273条は、労働組合への参加と脱退の自由を規定している。
    第274条によれば、労働組合は、規定を満たせば法人格を得ることができる。法人として、労働組合はそれ自体の名称で裁判所に訴え、資産及び不動産を獲得し、契約を行う権利を持つ。
    第275条によれば、すべての労働組合は、学習、研究、昇進、道徳的関心や物的関心の保護に関して自由に討論することができる。
    第276条によれば、労働組合は、解散する場合、組合の法規に基づき資産を分配することができる。労働組合が解散する際に、労働組合法規に資産の配分に関する規定がない場合、組合は、国会で決定された規定に従い、資産を配分する必要がある。そうした規定がない場合、組合の資産は、同様な法的に根拠を持った組合、もしくは慈善団体に寄付することができるのみである。
  4. 組合の自由の保護
    雇用者の組織と比べて、労働組合は組織運営資金などの問題に直面し、組合の運営技術が低いとされる。結果として、組合が十分に機能せず、また、組織を管理する十分な時間を持たないため、民主的な方法で運営することが困難で組合員に対する雇用者の差別や組合への干渉が生じている。そのような現状を受け、組合と雇用者の間の交渉力を均衡に保つために、労働法は、こういった問題に関する規定を含んでいる。
  5. 労働組合の民主的な運営
    第272条によれば、労働組合のすべての構成員は、第269条の必要条件を満たす場合、組合の管理・運営に参加することができる。第270条では、規定を満たせば、外国人が労働組合を管理することを認めている。
    • 第269条
      専門組織の管理に責任を有するものは、(1)25歳以上であること、(2)クメール語で読み書きできること、(3)犯罪歴がないこと、(4)1年以上その職業に従事していること、の4つの条件を満たさなければならない。
    • 第270条
      外国人が労働者の専門組織の管理における代表者になるための条件は、(1)25歳以上であること、(2)クメール語で読み書きできること、(3)カンボジアの入国管理法に従った永住権を有していること、(4)カンボジアで最低2年間は継続して働いていること、の4つである。
  6. 組合差別の禁止
    第279条によれば、雇用者が、労働者の採用、作業の管理と配分、昇進、手当て、懲戒、解雇の際に、労働者の組合への加入、組合活動への参加に干渉することは禁じられている。
  7. 雇用者による干渉
    雇用者は、労働法第280条に規定されているように労働組合への干渉を禁じられている。
    第280条では、干渉とは、組合を雇用者もしくは雇用者の組織の管理下に置く目的で、雇用者や雇用者の組織により支配された組合の形成や財政支援やその他の措置により労働組合を支援することにより、労働組合を扇動することである。
    加えて、雇用者は、第281条により、労働者の賃金から組合費用を控除することは禁じられている。

1.3.2 労働争議解決システムに関する法令

個人及び集団による労働争議解決に関する労働法の規定は、和解もしくは調停により労働争議を解決する手順を規定している。労働争議が和解や調停により解決できない場合、労働争議の当事者は、労働裁判所に対して法的手段をとることが可能である。労働裁判所は、国会により可決された法律を制定しなければならない。しかし、現在のカンボジアにはそうした法律はなく、労働裁判所も存在していない。

  1. 調停
    1. 個人の労働争議
      労働法 第300条と第301条は、個々の労働争議解決の定義と手順を規定している。これらの規定に加えて、労働省は、2001年11月29日に第318号 労働省大臣令「個人の労働争議解決の手順」を発行した。
      個人の労働争議とは、雇用者と1人以上の労働者の間で生じる争議のことであり、労働契約、労働協約、法律や規定の解釈に関連するものである。(第300条 第1項)
      法的手段は時間を要し、費用も高くなるため、第300条によれば、訴訟を起こす前に、調停のために州や市の労働監査官に対して争議を付託することができる。
      第301条と大臣令第318号は、個人の労働争議解決の手順に関して規定している。
      個人の労働争議の解決のために法的措置をとる前に、当事者の一方は、労働監査官に争議を付託することができる。労働監査官は付託を受理し、双方の当事者から争議に関して聴取を行い、関連する法律、規定、労働協約、労働契約に基づいて調停を行う。この過程において、労働監査官は、当事者から別個に聴取を行わなければならない。聴取の議事録作成が必要とされ、労働監査官と争議に関連した情報提供者によって署名がなされなければならない。
      正当な理由なしに、争議を労働監査官に付託した当事者が、決められた日から3日以内に労働監査官に情報提供をしない場合、調停は無効となる。また、他方の当事者が、正当な理由なしに、定められた日から3日以内に労働監査官との会合に出席しない場合、その当事者は、罰則を負う。
      労働監査官は関連する情報を収集した後、すべての当事者を調停の会合に招集しなければならない。調停の結果は労働監査官により、正式な報告書に記載されなければならない。報告書は、労働監査官、双方の当事者により署名され、それぞれ認証を得た写しを受け取る。労働監査官の面前で作成された合意書は、法的効力を有する。
      調停不成立の場合、当事者は、2カ月以内に法的措置をとることができる。
    2. 団体労働争議
      労働法 第302条から第308条と2001年11月29日付の「団体労働争議の解決手順」に関する労働省大臣令 第317号は、団体労働争議の調停の定義と手順を規定する。
      団体労働争議とは、労働条件、専門組織の権利の遂行、企業内での専門組織を認めること、その他の雇用者と被雇用者との間の問題に関する雇用者と複数の被雇用者との間の争議のことであり、企業の効率的な操業と社会の安定を脅かすものである。(第302条)
      団体労働争議が発生し、労働協約がその解決に関する規定を含んでいる場合、その争議の解決手順は、労働協約の規定に従わなければならない。
      他方、団体労働争議が発生し、労働協約にその解決手順がない場合、第303条によれば、争議の当事者は、州もしくは市の労働監査官に付託することとなり、労働査察官は正式に通知されていない場合でも、団体労働争議に関する情報収集を行うために、即座に法的な手順をとることができる。
      団体労働争議が労働監査官に付託された場合、労働監査官は、労働省に通知しなければならず、労働省は、48時間以内に調停者を任命しなければならない。
      団体労働争議に関連した追加的な情報収集は、上述の個人の労働争議と同様に実行される。
      調停は、労働省による指示がなされてから15日以内に実行しなければならない。この調停は、争議の両者が求める場合のみ再調査が行われる。調停期間の間、当事者はいかなる形態の争議も中止しなければならない。両当事者は、調停者が求めるすべての会合に出席しなければならない。正当な理由なしに、これらの会合を欠席した場合、その当事者は、法律により規定された罰金を受ける。
      調停が合意に至り、両者により調印され、調停官により認証を受ける。合意は、争議の両当事者間での労働協約として効力を持つ。労働者の代表が労働組合でない場合、合意は、労働組合もしくは組合の代表者を拘束するものではない。(第307条)
      逆に、調停が合意に至らなかった場合、調停官は、調停が失敗に至った点を記した報告書を作成しなければならない。調停官は、この報告書を調停終了後48時間以内に労働省へ送付しなければならない。この場合、団体労働争議は、以下の裁定により解決の手続きを取らなければならない。
  2. 仲裁
    労働法の第309条から第316条は、団体労働争議解決に関する手順を規定している。団体労働争議の調停が合意に至らない場合、紛争を解決するために、以下の手順が用いられる。
    1. 労働協約に規定された裁定手続き
    2. 争議に関わるすべての当事者が合意した手続き
    3. 次のように、労働法に規定された裁定手続き
    裁定委員会に関する労働法の規定を明確にし、効力を持つものとする目的で、労働省は2004年4月21日に、第099号大臣令「裁定委員会」を発行した。
    毎年、労働に関係する省は、裁定委員会の構成員の指名に関する大臣令を発行してきた。例えば、2006年に、労働省は、2006年5月11日付 第099号 労働職業訓練省大臣令「裁定委員会の任命」を発行した。
    団体労働争議の調停が失敗に終わった場合、労働省は、調停官からの報告を受け取った後、3日以内に裁定委員会に事例を付託しなければならない。裁定委員会は、付託を受け取った後3日以内に会合を必ず開かなければならない。
    裁定委員会は、公平な決定をなさなければならない。裁定を完了するために、裁定委員会は、企業と専門組織に対してすべての質問をなさなければならず、経済、会計、統計、財政、管理に関連した情報開示を当事者に求める権利を有する。委員会は、また、専門家の支援を請求することができる。
    委員会は、当事者から得られたすべての書類・情報の機密を保持しなければならない。裁定委員会のすべての部局は、民間部門でのみ行われる。
    裁定委員会は、付託を受け取ってから15日以内に決定を労働省に報告をしなければならない。また、労働省は、当事者に即座に通知しなければならない。当事者は、通知を受け取ってから8日以内に労働省により裁定決定に異議を申し立てること権利を有する。いずれの許可された期日以内に裁定決定の意義を申し立てない場合、裁定決定は、異議申し立て期間が終了後即座に効力を持つ。効力を持つ裁定決定は、労働協約と同様に登録されなければならない。裁定合意と効力を持つ裁定決定に関する報告は、争議の発生した企業と州や市の労働監査官の事務所に掲示しなければならない。
  3. 労働裁判所
    先述のように、現在、カンボジアには労働裁判所はない。労働法 第389条は、労働法の適用に関する労働争議は一般の裁判所に付託することを規定している。

1.4 労働保険関係法令

労働法の規定により定義されていた年金に関する社会保障法は、2002年9月に制定された。しかし、法律を適用可能なものとするために、本法の第6条は、労働者の健康保険、年金、労災保険に関連したすべての機構の管理を行う国家社会保障基金(NSSF)の公式化に関する閣僚会議令が必要とされた。

  • 社会保障法 第6条
    この法律が適用される雇用主及び労働者は、国家社会補償基金(NSSF)への保険金の支払いが強制される。保険金の支払い及び受取りの条件については、第3条に記述されているとおり、国家社会補償基金(NSSF)の公式化に関する閣僚会議令によって決定される。

国家社会保障基金(NSSF)の公式化に関する閣僚会議令は、議会で審議が行われ、2007年3月2日に首相により認可された。閣僚会議令の正式な名称は、「国家社会補償基金の設立に関する閣僚会議令」である。この社会保障に関する法律は、2008年3月には実際の運用が始まると期待されている。法律の導入にあたり、政府は社会保障政策の変換を求められている。例えば、社会保障を担当する省庁は、追加的な大臣令を発行するが、労働職業訓練省は経済省とともに共同大臣令を発行するのに加え、法律のいくつかの条文に関して効力を持たせるため、担当省庁は、保健省と経済財政省とともに、共同大臣令を発行する。

1.4.1 労働災害への補償

社会保障に関して規定した労働法 第12条から第22条は、労働者の事故の際の補償について規定している。補償の責任の仕組みについては、国家社会補償基金の設立に関する閣僚会議令に今後記載される予定であり、これを有効にするためには追加の大臣令も発行されなくてはならず、現時点では、労働法のみが労働災害補償に関して規定していることになる。労働法 第9章は、労働災害に対する補償を規定しており、この中で、労働省は労働法第9条の規定を明確にする目的で2002年9月10日に第243号 労働省大臣令「労働災害と障害への補償の通達」を公布した。また、「労働に関連した事故」の定義は、以下のように、労働法 第248条で規定されている。

  • 第248条
    労働者の過失の有無に関わらず、労働中あるいは労働時間内に事故が発生した場合、また場所や仕事の内容、賃金の有無に関わらず、雇用主のために働いている労働者あるいは実習生の身体に影響を与える事故の場合、労働に関連した事故とされる。
    同様に、通勤中の事故も、作業に関連しない理由で迂回等を行った際を除き、労働に関連した事故とみなされる。
    法律で規定されているすべての職業病は、作業に関連した事故とみなされ、同様に対処されなければならない。

第252条によれば、労働に関連した事故にあった労働者は、その影響が5勤務日以上継続する場合、雇用者から補償を受ける権利を持つ。しかし、4日以内の場合、その日数分の通常賃金が支払われるのみである。
第253条によれば、致命傷や身体に障害を残す事故への補償は、年金として事故を負ったものか遺産受取人に対して支払われる。
労働に関連した事故への補償は、大臣令 第243において、より詳細が規定されている。

1.4.2 雇用保険

「労働保険」は、「雇用保険」と「労働災害保険」の2つからなる。
雇用保険は、(1)失業した労働者に対して支払われる手当「失業保険」と、(2)労働者の一時解雇を防ぐために雇用者を支援する「雇用保険」の2つの機能を持つ。
現在、カンボジア王国では、失業手当も雇用保険のいずれも実施されていない。

1.4.3 健康保険

今日のカンボジア王国では、健康保険は民間の保険会社によって運営されている。これらの民間の保険会社は、火災、盗難といった生命保険以外の保険も顧客に提供する総合保険会社である。保健省により開発されたカンボジア王国における社会保険マスタープランによれば、労働関係以外のリスクに関する健康保険は、主に多国籍企業や合弁企業、NGOの最高幹部などによって購入されている。
カンボジア王国政府は、社会健康保険の重要性を認識しており、カンボジア王国における社会保険マスタープランは、世界保健機関(WHO)の技術支援により開発された。カンボジア王国の社会健康保険の目的は、安定的な財源メカニズム、平等性の推進、健康管理への合理的な家庭からの支出、保健機能の向上に主に焦点を当てている。これらすべての目標を達成するために、マスタープランは、さまざまな階層に対して多様な計画を確立する多元的なアプローチを推薦している。マスタープランによれば、多元的アプローチには、以下のものを含む。

  1. NSSFによる社会保障法での健康管理に加え、公・民両部門の労働者とその扶養家族に対する社会保障を通じた強制加入健康保険
  2. 健康保険計画に基づいた地域発展を通じた自発的な保険加入。初期の段階では、さまざまな開発支援者やNGO、非給与所得者とその家族に対する健康管理提供者によって計画は支持されなければならない。こうした地域の人々に対する社会健康保険は、カンボジアの人口台帳に登録されたすべての者を含まなければならない。
  3. 株式資産による社会的支援を行った後、経済的に困窮した人口への政府資金による健康保険の購入を行う。

マスタープランによれば、カンボジア全土でこれらの保険が利用可能となるには経済成長や社会健康保険を管理する組織の開発の進み方により8?10年が必要であると見られている。

1.4.4 年金

民間労働者の年金は、新しい社会保障法 第7条から第11条に規定されている。現法律は、国家社会保障基金の設立に関する閣僚会議令の適用が2008年に開始された後に効力を持つことになる。

1.4.5 その他(その他の社会保障に関する法律)

調査中

1.5 職業能力開発法令

1.5.1 職業能力開発システム(教育と訓練など)

調査中

1.5.2 職業能力評価システム

現在、職業能力開発と評価システムに関する草案が、検討中である。

1.6 雇用労働関係法令

1.6.1 職業紹介制度

労働法 第258条から第260条は、就業制度に関する手順を規定している。これらの手順を適切に実施する目的で、労働省は、2000年12月27日に第26号大臣令「雇用に関する通達」を発行した。
労働法 第285条によれば、就職活動中の者は、労働省の職業斡旋局、又は省市の雇用局に登録することができる。また、すべての雇用者は企業における求人を労働省の職業斡旋局、又は、省市の雇用局に通知することを求められている。雇用者は直接求人を行うことができるが、人材異動の申告に関する第21条の規定を満たさなければならない。

1.6.2 外国投資法により進出した企業で、海外から招聘され、就労する者の労働許可条件

労働法 第261条から第265条では、外国人労働者を雇用する際の、資格、手順、条件について規定している。また、カンボジア王国における外国人労働者の管理に関する以下の大臣令も発行されている。

  1. 2005年3月23日付 第413号労働省大臣令
    「外国人労働者に対する労働許可と雇用カード」
  2. 2001年3月20日付 第56号労働省共同大臣令
    「労働許可と雇用カード発行の手数料」
  3. 2001年7月16日付 第161号労働省大臣令
    「外国人の雇用」

第261条は、カンボジアで働く外国人に対する必要条件を規定しており、外国人は、労働省が発行する労働許可と雇用カードを取得しなければならない。労働許可と雇用カードを入手するためには、以下の条件を満たさなければならない。

  1. 合法的に入国していること
  2. 有効なパスポートを所持していること
  3. 有効な居住許可を所持していること
  4. 就労する職種に適格であり、伝染病に感染していないこと

大臣令第413は、カンボジア王国で就労するために労働許可と雇用カードの申請を望む外国人の手順とその他の必要なものを規定している。本大臣令第2条は、カンボジア王国での就労を望む外国人が、労働省に提出しなければならないものを以下のように規定している。

  1. 1000リエル証紙と3x4㎝の4枚の写真を添付した申請用紙1通
  2. 就労を希望する企業により作成されたその企業内のクメール人と外国人の人数を証明する書類1通
  3. パスポートのコピー1通
  4. 年間手数料100USドル
  5. 雇用者と外国人との間の労働契約もしくは労働契約に関する文書の通達1通
  6. 6カ月以内に出身国で発行された、その仕事に適していることを証明する証明書1通

上記の(2)は、企業の雇用者に、カンボジア人労働者と外国人労働者の数を申告することを求めており、これは、外国人労働者の比率が第161号大臣令で認められた割合(10%以内)を超えてはいけないためである。

1.6.3 海外から招聘され、就労する者の加入する義務のある制度

内務省外国人管理局は、カンボジア王国に入国するすべての外国人の居住許可を取り扱う義務を有する。カンボジア王国で居住・就労する外国人は、1999年8月20日付 閣僚会議令 第75号閣僚閣議令「非移民の外国人のカンボジアへの入国、出国、滞在を許可する手順」と1995年11月14日付 第55号 内務省大臣令 「外国人の居住許可の管理」などの入国管理法とその関連法規に従わなければならない。
非移民である外国人の居住許可に関連した入国管理法 第2部 第7条 第5項によれば、上記のビジネス関係設立の目的でカンボジア王国に入国する営業員、銀行員、その他のビジネスマンは、3カ月以上滞在することはできない。しかし、正当な理由を持ち、政府により許可された場合、さらに3カ月延長することができる。
入国管理法 第3条は、移民外国人に関して規定している。移民外国人とは、長期滞在、就業、工業、貿易、サービス、農業に関連した活動に従事することを目的にカンボジア王国に合法的に入国した外国人のことをさす。(第10条第1項)移民外国人としての認定は、内務省の大臣令により決定される。(第12条)
入国管理法 第14条は、すべての移民外国人に対して、居住許可の申請用紙を用意し、到着後48時間以内に、滞在希望地で省市公安の外国人管理局に届出を義務付けている。
入国管理法第16条によれば、居住許可は、当局の求めに応じて提示しなければならず、入国管理法の規定に従わない場合、居住許可は没収される。居住許可が没収される場合、7日以内に国外退去しなければならない。
入国管理法第19条によれば、労働省と共に内務省は、企業や組織で働く外国人の就労許可を調査する。閣僚会議令第75 号 第13条 第7項によれば、非移民外国人は、就労許可を持たない場合、カンボジアに長期滞在することができない。
入国管理法第21条によれば、1回目に発行される居住許可の有効期限は2年間であり、取得者が同法第14条に規定された手順に従うことを条件に、2年ごとに延長される。

1.6.4 その他雇用労働に関する法令

国外で働くカンボジア人労働者の雇用に関連した規定がいくつか存在する。1995年7月20日付け閣僚会議令 第57号「カンボジア人労働力の国外送出」、2006年7月25日付け閣僚会議令 第70号「カンボジア労働力の国外送出及び訓練に責任を負う機関の設立」及び2006年9月20日付け閣僚会議令 第651号「カンボジア労働力の国外送出及び訓練に責任を負う機関の構成員」である。


参考文献

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  2. カンボジア王国議会ウェブサイト, <http://www.national-assembly.org.kh/>
  3. カンボジア労働法 Labor Law 1997
  4. Immigration Law 1994
  5. Law on Social Security Schemes for Persons defined by the Provisions of the Labor Law, 2002
  6. Law on “Administration of Factory and Handicraft", May 2, 2006
  7. Law on “Amendment of Article 139 and 144 of the Labor Law", June 8, 2007
  8. Sub-Degree No.57 ANKr on “Dispatching Cambodian workers to work in foreign countries", July 20, 1995
  9. Sub-Degree No. 75 ANKr “The procedure for permitting non-immigrant foreigners to entering, exiting and staying in the Kingdom of Cambodia", August 20, 1999
  10. Sub-Degree No.70 ANKr on “the establishment of governing body responsible for training and dispatching Cambodian workers to work in foreign countries", July 25, 2006
  11. Sub-Degree No.70 ANKr on “membership of governing body responsible for training and dispatching Cambodian workers to work in foreign countries", September 20, 2006
  12. Ministry Interior' Prakas No. 555 PK “The administration of residency permit for foreigners", November 14, 1995
  13. Prakas No. 100 MOSALVY “Suspending weekly day off", April 11, 2002.
  14. Prakas No. 267 MOSALVY “Special Leave", October 11, 2001.
  15. Prakas No. 80 MOSALVY “Overtime Work out of Normal Work Hours", March 01, 1999
  16. Prakas No. 10 MOSALVY “Indemnity for working on paid holidays", February 04, 1999
  17. Prakas No. 144 MOSALVY “Derogation to Prohibition of Child Employment in the Night Time", June 10, 2002.
  18. 18. Prakas No. 106 MOSALVY “Prohibition of Child Work in Hazardous Work Places", April 26, 2004.
  19. Prakas No. 287 MOSALVY “Procedure for Registering, Publishing and Monitoring Enforcement of Collective Agreement", November 05, 2001.
  20. Prakas No. 305 MOSALVY “the Representativeness of Workers' Professional Organizations at the Enterprise Level and the Right to Collective Bargaining in order to Make Collective Agreement at the Enterprise Level", November 22, 2001.
  21. Prakas No. 021 MOLVT “Registration of Professional Organizations", February 15, 2006
  22. Prakas No. 318 MOSALVY “Procedures for Resolution of Individual Labor Disputes", November 29, 2001.
  23. Prakas No. 317 MOSALVY “Procedures for Resolution of Collective Labor Disputes", November 29, 2001.
  24. Prakas No. 099 MOSALVY “the Arbitration Council", April 21, 2004.
  25. Prakas No. 099 MOLVT “Appointment of the Arbitration Council", May 11, 2006
  26. Prakas No. 243 MOSALVY “Notice for Work-related Accident, Formula for Compensation and Degree of Disability", September 10, 2002
  27. Prakas No. 26 MOSALVY “Notification of Job Vacancies", December 27, 2000
  28. Prakas No. 413 MOSALVY “Work Permit and Employment Card for Foreign Workers", March 23, 2005
  29. Joint Prakas No. 56 MOSALVY “Fee for Issuing Work Permit and Employment Card", March 20, 2001
  30. Prakas No. 161 MOSALVY “Employment of Foreign Manpower", July 16, 2001
  31. Prakas No.206 MOLVT/PK on “Paid Holidays", August 22, 2007
  32. Circular No.024 MOSALVY on “Wage for Night Work", October 19, 1999
  33. Circular No.185 MOLVT/PK on “Wage for Night Work", August14, 2007
  34. Announcement No.14 MOSALVY “the Adaptation of Work Rules for Enterprises and Establishments", August 16, 2002
  35. ILO Convention No.29 concerning Forced or Compulsory Labor(1930) ratified by Cambodia on February 24, 1969
  36. ILO Convention No.87 concerning Freedom of Association and Protection of the Right to Organize and Collective Bargaining(1948) ratified by Cambodia on August 23, 1999
  37. ILO Convention No.98 concerning Right to Organize and Collective Bargaining(1949) ratified by Cambodia on August 23, 1999
  38. ILO Convention No.100 concerning Equal Remuneration for Men and Women Workers for Work of Equal Value(1953) ratified by Cambodia on August 23, 1999
  39. ILO Convention No.105 concerning Abolition of Forced Labor(1957) ratified by Cambodia on August 23, 1999
  40. ILO Convention No.111 concerning Discrimination(Employment and Occupation)(1958) ratified by Cambodia on August 23, 1999
  41. ILO Convention No. 138 concerning Minimum Age(1973) ratified by Cambodia on August 23, 1999
  42. ILO Convention No. 182 concerning the Prohibition and Immediate Action for the Elimination of the Worst Forms of Child Labor ratified by Cambodia on October 24, 2005
  43. United Nations' Convention concerning Elimination of All Forms of Discrimination against Women ratified by Cambodia on October 17, 1980
  44. Ministry of Health, Master Plan for Social Health Insurance in Cambodia, December 2005

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